Photo Life

NIKKOR Z DX MC 35mm f/1.7

2025/11/19
NIKKOR Z DX MC 35mm f/1.7

マイクロレンズ「NIKKOR Z DX MC 35mm f/1.7」 の特徴と機能

10月31日にニコンのミラーレスカメラDXフォーマット(APS-C)用のマイクロレンズ「NIKKOR Z DX MC 35mm f/1.7」レンズが発売になりました。MCとはマイクロレンズの総称で、今までのラインナップにMC50mm、MC105mmがありますが、DX専用は今回初めて。撮影最短距離はわずか0.16m、絞りはF1.7と明るく、重量は220g、防塵・防滴に配慮した設計です。軽くて明るく、被写体にぐっと寄れるので、Z50U、Zfc,Z30のカメラユーザーにうれしい一本ですね。

目次

    レンズの中央部に段差があるのでマニュアルでピントを合わせたいときも指のかかりやバランスが良く使いやすいです。コントロールリングはフォーカス(M/A)の切り替えのほか、「絞り」「露出補正」「ISO感度」など機能を割りあてることもできます。

    Nikon Z50UにNIKKOR Z DX MC 35mm f/1.7をつけるとこのようなサイズ感です。小さすぎず大きすぎず手になじみます。レンズはステッピングモーターでAF駆動音が抑えられているので動画や静かな環境にも適しています。また、撮影中に構図内でピント位置を変えても画角の変化が目立ちにくいフォーカスブリージングにも配慮されています。

    MC1本でマクロ撮影からスナップまで

    「NIKKOR Z DX MC 35mm f/1.7」は35mm換算で52.5mm相当になる標準域の画角で、被写体に近づいて撮れば花の部分や猫の肉球など小さいものを等倍で大きくとらえることができ、離れて撮ればF1.7の被写界深度で柔らかいボケのある写真を撮ることもできるので、マクロ撮影からテーブルフォトやスナップまでさまざまなシーンで楽しめます。

    足元に咲いている小さい花に近づいて撮ってみることにしました。覆いかぶさるアングルで光を遮るので、絞りは自動的に少し変わります。それでも高低差のある植物との距離感をボケで立体的に描写することができ、硬く丸いフォルムもふわっと肉眼以上の可愛らしさです。風も吹いていたので、一度AFで合わせたあとにピントリングを動かしてマニュアルフォーカスで撮りましたが、滑らかに動かせるのでスムースでした。

    作例@
    • カメラ:NikonZ50 U
    • レンズ:NIKKOR Z DX MC35mmf/1.7
    • 絞り値:F2.8
    • 露出時間:1/500秒
    • ISO:100
    • 露出補正:WB自然光オート
    • 露出モード:標準プログラム

    キレイなバラの中央部分を最短撮影距離で捉えると色も花びらもダイナミック。花びらの花脈や凹凸まで柔らかな質感でリアルに描写できました。カメラのピクチャーコントロールをニュートラルにして階調豊かにしています。マイクロレンズは近距離で撮ると、被写界深度が浅くボケが大きくなる特徴があるので、花びらをしっかり描写するために絞りをF14まで絞り込みました。

    作例A
    • カメラ:NikonZ50 U
    • レンズ: NIKKOR Z DX MC35mmf/1.7
    • 絞り値:F14
    • 露出時間:1/500秒
    • ISO:4500
    • 露出補正:+0.3
    • 露出モード:WB自然光オート

    ブーツと多肉植物、その向こうにお店をのぞいている人がいる瞬間をさりげなくスナップ。マイクロレンズは近寄って撮るイメージがありますが、被写体と自由な距離感で気軽に撮ることができます。35mmF1.7の単焦点レンズとして使えるので便利です。

    作例B
    • カメラ:NikonZ50 U
    • レンズ:NIKKOR Z DX MC35mmf/1.7
    • 絞り値:F2.2
    • 露出時間:1/60秒
    • ISO:250
    • 露出補正:+0.3
    • 露出モード:WBオート1

    看板に近づいて、奥に続く長い路地と一緒に。標準画角の自然な遠近感で一瞬MCレンズということを忘れるぐらいです。そしてさすがF1.7のボケ感。クリエイティブピクチャーコントロールの「メランコリック」で雰囲気を出してみました。

    作例C
    • カメラ:NikonZ50 U
    • レンズ:NIKKOR Z DX MC35mmf/1.7
    • 絞り値:F1.8
    • 露出時間:1/320秒
    • ISO:100
    • 露出補正:+0.3
    • 露出モード:WBオート1

    高円寺にあるオシャレなアンティーク&雑貨店「MALTO」に立ち寄りました。羊のオブジェの後ろには鏡やフレームが飾ってあります。映り込む光の反射をボカすと、透明感も増して羊の凛々(りり)しさ も際立ちました。開放値F1.7で撮ると周辺光量が少し落ちますが、F2.2まで絞るとスッキリです。また、被写体と背景の距離が近いときも明るいレンズでボカすことができるのがうれしいです。

    作例D
    • カメラ:NikonZ50 U
    • レンズ:NIKKOR Z DX MC35mmf/1.7
    • 絞り値:F2.2
    • 露出時間:1/60秒
    • ISO:320
    • 露出補正:-1.0
    • 露出モード:WB自然光オート

    ガラスの扉越しに目に入る赤いグラスはさまざまな光で輝いてゴージャスでした。グラスの凹凸と透明感を強調するように捉えてみると、ボケ感の中にシャープでエッジが立つ描写が美しく、浮き上がるような雰囲気。MC35mmはテーブルフォトでも使いやすいレンズです。

    作例E
    • カメラ:NikonZ50 U
    • レンズ:NIKKOR Z DX MC35mmf/1.7
    • 絞り値:F2
    • 露出時間:1/50秒
    • ISO:160
    • 露出モード:WB晴天日陰

    オーナメントに近づいて眺めると細かな装飾が目に留まりました。近づいて撮ると生地の光沢やラインストーンのきらめきや陰影が立体的。マイクロレンズは質感や素材も緻密に描写することができます。カメラ内の「加算合成」でボケを重ねてクリスマスの暖かい雰囲気になりました。

    作例F
    • カメラ:NikonZ50 U
    • レンズ:NIKKOR Z DX MC35mmf/1.7
    • 絞り値:F2.2
    • 露出時間:1/60秒
    • ISO:450
    • 露出補正:-0.3
    • 露出モード:WB晴天日陰

    色のコントラスト、丸と線のフォルムをポイントにドライフラワーの一部分を大きく捉えるとボケ感が柔らかく、重なり合う枝にボリューム感も表現できました。雰囲気重視のイメージ寄りスナップも楽しいです。

    作例G
    • カメラ:NikonZ50 U
    • レンズ:NIKKOR Z DX MC35mmf/1.7
    • 絞り値:F2.1
    • 露出時間:1/60秒
    • ISO:100
    • 露出補正:+1.3
    • 露出モード: WBオート1

    可愛いねこと遊びながらカメラを床に置いてローアングルでスナップしました。寝転がり、顔を上げた瞬間を狙いましたが、AFのスピードで困ることなく撮れました。顔周りのしなやかなヒゲ、ふんわりした毛並みの柔らかさを感じる描写に赤トラのグラデーションも美しいです。

    作例H
    • カメラ:NikonZ50 U
    • レンズ:NIKKOR Z DX MC35mmf/1.7
    • 絞り値:F2.2
    • 露出時間:1/80秒
    • ISO:1250
    • 露出補正:+0.3
    • 露出モード:WBオート1

    マイクロレンズは花や昆虫などネイチャーで使うイメージがありますが、猫や小動物でも活躍します。被写体まで近づける撮影最短距離が短いマイクロレンズで捉えると、肉球のように小さい部分も画面いっぱいに、肉球を守るふさふさした毛も強調できるので触りたくなるような臨場感も伝わります。

    作例I
    • カメラ:NikonZ50 U
    • レンズ:NIKKOR Z DX MC35mmf/1.7
    • 絞り値:F2.4
    • 露出時間:1/80秒
    • ISO:2200
    • 露出補正:+1.0
    • 露出モード:WBオート1

    まとめ

    普段気づかない繊細な部分にぐっと近づいてマクロ的に撮ると、不思議な魅力やマイクロレンズならではの楽しさを知ることができます。またF1.7の明るさはAPS-Cでも大きなボケのある描写で暗い室内でも美しく、雰囲気のある写真を撮ることもできます。220gの軽量コンパクトなレンズはカメラに付けて長時間の持ち運びにも快適。撮影する距離感で様々な表現ができるので、スナップ&マクロとして日常から旅先までの幅広シーンで活躍してくれる1本になると思います。

     
    この記事で紹介した商品
    カメラレンズ NIKKOR Z DX MC 35mm f/1.7
    カメラレンズ NIKKOR Z DX MC 35mm f/1.7
    [ニコンZ /単焦点レンズ]
    小さな世界をダイナミックに、ボケも楽しめる明るい標準マイクロレンズ
    ビックカメラ.comで見る
    BicPhotoStyle(過去の記事)
    BicPhotoStyle(過去の記事)
    2024年1月までにビックカメラ.comで掲載された記事はこちらをご覧ください

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    ミゾタユキ
    文・写真
    ミゾタユキ
    日本大学藝術学部映画学科撮影コース卒。シーンの中のワンショットに魅かれ写真の世界へ。カメラ誌やWEB、セミナー講師、フォトコンテストの審査などを通じて写真の楽しさを伝える活動にも携わる。撮影会&web講評「フォトプラネッタ」主宰。著書「カメラでパチリ へやねこ そとねこ」、共著「美しいボケの教科書」など多数。 日本作例写真家協会JSPA
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