徹底!家電比較

バリスタが本気で選ぶ!全自動コーヒーメーカー3機種徹底比較

2025/05/08
バリスタが本気で選ぶ!全自動コーヒーメーカー3機種徹底比較

BIC WAVE編集部が、人気の家電製品を徹底比較するこのコーナー。今回は、全自動コーヒーメーカー3台の中から、日々、スペシャルティコーヒーのおいしさを探求しているバリスタの川野優馬さんに“極上の一杯”を淹れられる1台を見つけてもらいました。

川野さんはスペシャルティコーヒー専門店「LIGHT UP COFFEE」の経営者であり、バリ島やベトナムでコーヒー生産も行っているバリスタです。

コーヒーの味を左右するのは、グラインダー?お湯の温度? 抽出方法? 今回、川野さんがもっともおいしく淹れるモードも試してみましたので、ぜひ参考にしてみてください。

目次

    バリスタに聞いた、おいしいコーヒーが淹れられる条件

    実際にコーヒーを淹れる前に、まずはおいしいコーヒーを淹れる条件とはどのようなものか、川野さんにお聞きしました。

    「やはり一番大切なのは、コーヒー豆選びですね。いくら腕がいいバリスタでも、優秀なコーヒーメーカーでも、豆が持っているフレーバー以上の味を出すことはできませんから。僕自身、コーヒーがこんなに味わい深いと知ったのは、シングルオリジンコーヒー(農場や生産者、品種や精製方法などの単位で一銘柄としたコーヒー)を飲んだのがきっかけでした。

    次に、粒度のそろった豆が挽けるグラインダーを選ぶことです。グラインダーとは焙煎したコーヒー豆を粉状にする器具のことですが、挽いた豆の中に粗いものと細かいものが混ざっていると、均一においしさが抽出できません。そうなると甘みが足りなかったり、雑味につながったりします。

    さらに豆に合わせて粗挽き、細挽きなどの挽き目が選べるといいですね。全自動コーヒーメーカーはグラインダーが内蔵されているので、ここも重要なチェックポイントになるでしょう。

    ドリップ時の湯温は、温度が高いとコントラストがはっきりした味になりますし、湯温が低いとやさしい味わいになります」

    今回検証で使用したのは、川野さんが運営する「LIGHT UP COFFEE」で取り扱っているGUAMA - KENYA。浅煎りにすることで、甘さを引き出しているそうです。

    パナソニック、ツインバード、シロカの特徴

    3つの全自動コーヒーメーカーの実力をチェック! 左からパナソニック「NC-A58」、ツインバード「CM-D465B」、シロカ「カフェばこPRO SC-C251」

    おいしいコーヒーを淹れる条件を踏まえたうえで、さっそく試してみました。今回試用した3台はいずれもグラインダーが搭載され、コーヒー豆を挽いてドリップするところまで自動で行ってくれる全自動コーヒーマシンです。

    まずは1台ずつ特徴を紹介しましょう。

    6通りの味わいが楽しめる

    パナソニック「全自動コーヒーメーカー NC-A58(4杯用)」

    水を熱い管の中を循環させながら沸騰させることで、最適な温度に調整する沸騰循環システムを採用。「粗挽きフィルター」と「中細挽きフィルター」の付け替えと、「リッチ」「マイルド」「ストロング」の淹れ分けで、6通りの味わいが楽しめます。抽出後は自動でミルを洗浄してくれるのでお手入れの手間も軽減してくれます。

    “コーヒー界のレジェンド”が監修

    ツインバード「全自動コーヒーメーカー CM-D465B(6杯用)」

    “コーヒー界のレジェンド”と称されるカフェバッハ店主・田口護氏監修。豆の風味を損なわない低速臼式フラットミルは、金属加工の街として知られる新潟県の燕三条地域で作るステンレス製の刃を採用しています。挽き目は3段階、湯温は83℃と90℃から選択可能。6方向に注ぐシャワードリップなどプロのハンドドリップ技術が詰まった1台です。6杯タイプ。

    杯数に応じた豆や水の計量まで自動

    シロカ「全自動コーヒーメーカー カフェばこ PRO SC-C251(6杯用)」

    豆挽き、ドリップはもちろん設定した杯数に応じた豆や水の計量まで自動で行ってくれる進化系。グラインダーには、豆が均一に挽け、摩擦熱が少ないコーン式を採用しています。挽き目は細挽きから粗挽きまで無段階、湯温は高温(94℃)、低温(84℃)から選択可能。マグカップに直接抽出する「じかマグ」モードやタイマー予約機能など、便利な機能も充実。

    豆を挽くグラインダーの性能をチェック!

    グラインダーの性能は、コーヒーの味に大きくかかわってくるため、重要なチェックポイント。

    「コーヒーのおいしさをもっとも左右するのはコーヒー豆、その次がグラインダー」と川野さんが話すように、グラインダーの性能はおいしいコーヒーを淹れるうえで重要な要素です。ではどのように挽けるグラインダーが理想なのでしょうか。

    「理想は粒度がそろっていることです。そうすればムラなく均一に抽出できますが、そろっていないと味にばらつきが出てしまいます。特に“微粉”と呼ばれる細かい粉からは雑味が出やすいので、できるだけ微粉の出ないものがいいですね。またコーヒー豆は熱によって風味が損なわれやすいため、摩擦熱が起きにくいものもいいでしょう」

    なおグラインダーには大きく3つの方式があり、それぞれ仕上がりに違いがあります。

    低速臼式を採用するツインバードのグラインダー。

    プロペラ式・・・ブレンダーに搭載されているようなプロペラ状の刃を回転させ、コーヒー豆を粉砕する。
    臼式・・・上下の臼をかみ合わせ、じっくりすり潰す
    コーン式・・・固定された歯に、円錐(えんすい)状の歯をかみ合わせ、その間を通ったコーヒー豆を切り刻んでいく。

    川野さんによると、一般的にコーン式は粒度がそろいやすく、プロペラ式は微粉が出やすく摩擦熱が起きやすいそうです。

    今回もメーカーによって採用しているグラインダーが異なったため、結果にも違いが現れました。

    メーカー名 パナソニック ツインバード シロカ
    グラインダー プロペラ式 低速臼式 コーン式
    粒度
    コメント プロペラ式はどうしてもムラが起きがち。微粉が多く出てしまっています。 粒度はかなりそろっていますが、一部粗いものが見られるのが気になります。 とてもきれいにそろっています。これは期待できそう。
    D_2504_kadenhikakuB11.jpg D_2504_kadenhikakuB12.jpg D_2504_kadenhikakuB13.jpg

    特に粒度がそろっていると評価が高かったのが、コーン式を採用しているシロカ。グラインダーを見てみると、多くの歯が搭載されており、「これは細かく均一に刻めるわけだ」と高く評価していました。

    シロカのコーン式グラインダーは歯が細かくめぐらされており、粒度がそろったグラインドを実現している。

    実際に淹れてみよう

    一杯ずつ、香りを嗅いでから口に含む川野さん。納得のいく味になるまで、何度もモードを変えて淹れ直す様子はまさに職人の顔。

    ここからは1台ずつコーヒーを淹れながら、特徴をチェックしていきます。川野さんが特に注目したのは、抽出時間。

    「最初の一滴目が落ちるときから落ち切るまでは、約3分がベストです。それより短いとおいしさが抽出しきれず、長すぎると苦味や渋みが強く出る傾向にあります」。

    パナソニック

    コーヒーが1滴ずつ落ちる様子を真剣な様子で観察する川野さん。

    【1回目抽出】

    「水タンクは外せるので、給水しやすくていいですね。マイルド、リッチ。ストロングの3つのコースと粗挽き/中挽きの2種類のメッシュフィルターの使い分けで6通りの味わいが楽しめるのは、直感的で初心者にも使いやすいと思います。コーヒー豆の挽き方は2種類から選ぶことができます。

    ただ今回使ったのが浅煎りの豆なので「マイルド」で淹れてみましたが、コーヒーの色が薄く、成分が出切っていない感じがあります。実際、味も薄くて酸味が強い。雑味が舌に残るのは、やはり微粉があるからかもしれません」

    【2回目抽出】

    「先ほど薄かったので、推奨より豆の量を増やし、ストロングコースで淹れてみました。今度はゆっくり抽出され、色もしっかり出ていますね。甘さは少ないですが、味に厚みは増しました。パナソニックのコーヒーマシンは、深煎りのコーヒー豆に向いているのかもしれません」

    ツインバード

    「めっちゃいいシャワー!」とプロのバリスタも思わず興奮してしまうツインバードのシャワードリップ。

    【1回目抽出】

    「挽き目を3段階、抽出温度を83℃と90℃から選べるので、挽き目は浅煎りに適した「粗め」、温度は私が推奨する90℃で淹れてみましょう。豆の量は付属の計量カップで量るようですが、もっと味にこだわるなら計量カップではなく、デジタルスケールで正確に量ることをオススメします。グラインドは、かなりじっくり時間をかけています。摩擦熱が起きにくいのでいいと思います」

    付属カップでの計量では、コーヒー豆が大きいため正確に量ることができず苦戦。

    「お湯が沸いて落ちてきましたが……これはいいシャワー! 6本のシャワーがコーヒー粉にまんべんなく注がれていますし、注いでは止まるを繰り返す様子は、人が淹れているようです。コーヒーって淹れる工程も含めて楽しむものなのだと思っているので、その様子が見られるのは魅力ですね。

    ちょうど3分で抽出が完了しました。味はまろやかでおいしいですが、ちょっと酸味が気になりますかね。抽出後の粉を見ると粗めの粉が浮いているので、その影響かもしれません」

    【2回目抽出】

    「先ほどは粗挽きだったので、今度は同じ90℃の中挽きでやってみました。コーヒーが落ちる速度は先ほどと同じ約3分でいいですね。見た目の色は同じようですが、今度は香りをしっかり感じます。甘みが増し、雑味もなくクリアな味わい。とてもおいしいです。挽き目に多少ムラがあるので、これがなくなれば、もっと甘みが増すと思います。

    今回、私が用意した豆は90℃が適していると思いましたが、違う豆を使う場合や表現したい味わいによって、温度設定は83℃が合う場合もありますのでいろいろと試してみるのがいいでしょう」

    シロカ

    シロカの全自動コーヒーメーカーは、杯数や抽出量に合わせて水と豆を自動計量してくれるから、適当に入れておくだけでOK。

    【1回目抽出】

    「シロカは水と豆を自動計量してくれるのがいいですね。目分量にならず、正確に計量できますから。杯数や抽出温度、ドリップの量ときめ細かく選べるし、液晶画面に表示されるので迷わず使えるのは親切。では2杯、高温(94℃)、120cc……挽き目は無段階で選べるので、少し細かめにしましょう。

    挽き時間は早いですが、3分50秒とじっくり時間をかけて抽出しました。甘みがしっかり引き出されて、酸味も少なくバランスの取れたおいしさです」

    【2回目抽出】

    「もう少し豆を増やしたいけど、自動計量だから変えられないのかな……あ、コースボタン長押しで挽き時間を変えられるようです。自動で『3』なので、長めの『5』にしてみましょう。これはおいしい! 粗っぽさがなくまとまりがあって、ケニア豆の果実感をしっかり引き出しています。これが正解ですね!

    やはりグラインダーの性能がいいからでしょう。抽出後のフィルターを見ると、ほかに比べて上部のほうに粉がへばりついていませんよね。これはフィルターの目詰まりが少なく、粉が溢れなかった証し。つまり微粉が少なかったということです」

    ほかのコーヒーメーカーはフィルターの上部まで粉がついていましたが、シロカはほとんどついていません。これも“微粉が少ない”という1つの目安になるそう。

    各モデルの特徴まとめとおすすめポイント

    各コーヒーメーカーの特徴がわかるまで何度も抽出、試飲した結果をまとめました。

    パナソニック ツインバード シロカ
    杯数 4杯 6杯 4杯
    グラインダーの種類 プロペラ式 低速臼式 コーン式
    こだわり設定 コース設定を「マイルド」「リッチ」「ストロング」と「デカフェ豆」から選べる。
    メッシュフィルターによる2段階の挽き分が可能
    豆の挽き加減は3段階、抽出温度は83℃・90℃から選べる 豆の挽き加減は無段階、抽出温度は低温(約84℃)、高温(約94℃)から選べる
    豆・水の計量しやすさ 水タンクが外せ、給水しやすい。
    豆計量スプーンが付属
    豆計量カップが付属 ? ? 豆・水は自動計量されるため計量不要。豆の量は変更が可能
    その他特徴 ミル自動洗浄搭載 3杯以下抽出時に使えるドリッパーが付属 ? ? マグカップに直接淹れられる「じかマグ」モード搭載

    パナソニック

    水タンクが外れるので給水しやすく、ボタンも「コース」「豆/粉」を選んでスタートボタンを押すだけの手軽さ。短時間で抽出でき、抽出後はミルを自動洗浄してくれるなど、使いやすさへの配慮が感じられます。味わいを「マイルド」「リッチ」「ストロング」、2種類のメッシュフィルターの使い分けで、粗挽き/中挽きと変えられるので、好みや豆の特徴に合わせて使い分けるといいですね。グラインダーがプロペラ式なのが残念ですが、全自動が2万円を切る価格なので、豆から淹れる本格コーヒーを手軽に楽しみたい人にオススメです。

    ツインバード

    湯温が豆に合わせて83℃と90℃から選べたり、じっくり時間をかけて豆を挽いたり、随所にプロの技術が搭載されていました。特に心踊るのは、シャワードリップの様子が見られるところ。コーヒーの香りもダイレクトに伝わってきて、全自動でもハンドドリップのワクワク感が味わえます。挽いた豆の中に粗めのものが混ざっていたため、少し酸味が気になりましたが、抽出時間が絶妙でした。コーヒーを五感で味わいたい人に。

    シロカ

    コーヒーの味は豆や水の量の誤差によって味が変わってしまいますが、自動計量なら正確に量ってくれるので、挽き目と湯温の設定を一定にすれば、いつも通りおいしく淹れられます。グラインダーの性能も素晴らしく、粒度が均一だとおいしく淹れられるということを再確認しましたね。唯一、コーヒー豆を入れる豆ホッパーのフタがずれていると挽き目の設定もずれてしまうので(笑)、ここだけ気をつけたいですね。自分好みの味を探したいけれど面倒な設定は苦手という人にオススメです。

    マシン選びだけでなくコース選びも楽しんで

    今回3つの全自動コーヒーメーカーを試して実感したのは、コーヒーメーカーごとに味わいが大きく異なること。どの機種もそれぞれの特徴があり、豆の種類や湯温、挽き目の調整次第で味わいが変化するのも魅力です。そして同じコーヒーマシンでも湯温や挽き目の設定を変えるだけで、さらに違った味わいが楽しめるということ。 

    みなさんも今回の検証を参考に、ご自身のライフスタイルに合った1台を見つけてみてください。

     
    この記事で紹介した商品
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    Profile
    川野優馬
    バリスタ
    川野優馬
    LIGHT UP COFFEE代表取締役。株式会社WORC 代表取締役。慶應義塾大学在学中にコーヒーの魅力に取り憑かれ、2012年ラテアート全国大会で優勝。その後シングルオリジンコーヒーと出会い、スペシャリティコーヒー専門店「LIGHT UP COFFEE」を吉祥寺にオープン。現在は北沢店、三鷹店(焙煎所)と計3店舗を構え、経営者兼バリスタして活躍するほか、バリ島やベトナムでコーヒー生産も行っている。メディア出演も多数。
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    田中真紀子
    田中真紀子
    白物・美容家電ライター。早稲田大学卒業後、損害保険会社を経て、地域情報紙に転職。その後フリーとなり、住まいや家事など暮らしにまつわる記事を幅広く執筆する。自宅には最新家電を中心に200以上を所有し、年間300以上の記事執筆・監修に携わる。テレビ・ラジオにも多数出演。
    久保田翔也
    写真
    久保田翔也
    広告写真家・フードフォトグラファー。東京渋谷を拠点に活動。プロフェッショナルフード、ミシュランレストラン、建築、商品、広告などを主に撮影。大手企業の海外部門、広告撮影を始め、国内外で活動。一般社団法人 FPA 日本フードフォトグラファー協会 代表理事。公益社団法人 APA 日本広告写真家協会 正会員。ミシュランフォトグラファー。
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