圧力なしでもここまでできる!人気自動調理鍋2機種を本気で比べてみた

ここ数年で大きな進化を遂げた家電に、面倒な調理をサポートする電気自動調理鍋があります。その魅力は、なんといってもタイパのよさ。
そこで、本記事では数ある電気自動調理鍋のなかでも人気を二分するパナソニックとシャープの製品を比較。今回はかき混ぜ調理まで自動化できる「攪拌(かくはん)機能」を搭載し、あえて「圧力機能」非搭載の製品を選びました。
電気自動調理鍋が得意とする煮込み料理のほか、一般的に電気自動調理鍋が苦手とする炒め料理、そして攪拌機能を駆使したチャーハンの3品。これらの調理を通し、各製品の味や使いやすさ、性能を徹底比較します。
今回比較する製品の特徴は?
今回比較するのは、いずれも調理容量2.4Lで、約2~6人分の調理に向いた製品です。どちらも圧力機能はないものの、生肉や生魚を入れた状態でも最大15時間の予約ができる機能を搭載【※】。「朝に食材を入れて予約すれば、帰宅と同時に料理が完成」という生活を実現できます。
両製品ともに無線LAN機能にも対応しています。専用アプリと連携させることで、レシピの検索や自動調理メニューの追加も可能です。
【※】一部メニューは予約機能に対応していません。
パナソニック オートクッカービストロ「NF-AC700」はどんな製品?

パナソニック オートクッカービストロ「NF-AC700」の特徴は、1290Wという高い火力と、攪拌用の羽根が鍋底に配置されていること。鍋底をさらうように羽根が回転するため、具材をムラなくかき混ぜるのに適しています。汁気の少ない調理でも鍋底に焦げつきにくく、やわらかい具材を崩れさせずにかき混ぜるのにも向いた構造です。
メニューや2人、4人、6人の分量などに合わせて火力の強さや攪拌の速さ・向きを変えるプログラムを搭載し、おまかせでワンランク上の料理が出来上がります。

内蔵している自動メニューは26レシピ。そのほか、アプリでレシピをダウンロードして増やすことも可能。2024年8月時点のダウンロード可能なレシピ数は約120品です。
シャープ ヘルシオ ホットクック「KN-HW24H」はどんな製品?

シャープのヘルシオ ホットクック「KN-HW24H」は、攪拌機能を搭載した調理鍋のパイオニア。攪拌用の羽根はフタ部分に配置しており、普段は「まぜ技ユニット」に収納。必要なときだけ羽根が飛び出る構造を採用しています。

KN-HW24Hの特徴は3種類のセンサーを駆使した賢さ。鍋底用の温度センサーや蒸気センサー、まぜ技ユニットの負荷を検知する負荷センサーを駆使することで、食材の火の通り具合などを賢く判断。このため、食材の量が変わっても鍋が自動的に加熱時間を調整します。また、火の通り具合にあわせて混ぜ方も変えるため、柔らかい具材も潰すことなく攪拌できます。
10年続いたシリーズだけに、自動メニューの豊富さも特徴。内蔵する自動メニューは161レシピで、アプリと連携することでさらに400以上のレシピから自動メニューをダウンロードできます。別売りのヘラ形状をした「もっとクック」を導入することで、さらに料理バリエーションが増やせます。

まずは調理鍋が得意とする煮込み料理「ビーフシチュー」
電気自動調理鍋が得意とする料理といえば、やはり煮込み料理。ただし、今回レビューする製品はいずれも非圧力式なので「大きな肉が本当に柔らかくなるのか?」が心配な人もいるでしょう。
そこで、今回は一片が約50gある大きめの肉と、市販のビーフシチューのルウを利用した「ビーフシチュー」を作ります。いずれも同じ市販ルウを利用しますが、作り方や材料はそれぞれの公式レシピ(パナソニックとシャープ)に準拠しました。
どちらも美味しそうに出来上がりました。写真では伝わりませんがビーフシチューの香ばしい匂いが伝わってきます。
パナソニック

シャープ

パナソニック(公式レシピ) | シャープ(公式レシピ) | |
味 | ニンニクやローリエ、砂糖などの調味料も使うため、味はかなり濃厚。市販のルゥを使いながらも本格的なレストランのような味 | 具材の旨みをしっかり感じられるものの、クドさはなく比較的サッパリとした後味が印象的。野菜や肉本来の味を堪能したいならこちら。 |
肉の食感 | すね肉を使用。すね肉の固いコラーゲン部分は歯がなくても切れる柔らかさに。赤身部分もホロリと崩れる理想的な仕上がり。 | モモ肉を使用。中心までちゃんと柔らかいものの、やや弾力と繊維感も感じます。現場では「こちらのほうが肉らしさを感じて好き」という意見も。 |
加熱時間 目安 |
約1時間45分 | 約45分 |
総評 | 〇 | ◎ |
・どちらの製品も「市販のルゥを使ったとは思えないほど美味しい」 ・手間や調理時間で、手軽なシャープにわずかながら軍配 |
冷蔵庫の残り物は活用できるか? 「肉入り野菜炒め」
毎日の家事を楽にしたいなら、冷蔵庫にある余り物が活用できるかもチェックしたいですね。そこで、次に試すのは市販の炒め用カット野菜(もやし/キャベツ/ニンジン/ピーマン)と豚バラ肉を使った「肉入り野菜炒め」。いずれもピッタリの自動メニューはなかったため、パナソニックは「野菜炒め」、シャープは「豚肉ともやしの四川香味炒め」というメニューを利用。両製品ともに肉を調味料(しょうゆ/オイスターソース/鶏ガラスープ(顆粒)/胡椒)を先に揉み込んでおき、野菜といっしょに加熱調理しました。
パナソニック

シャープ

パナソニック(公式レシピ) | シャープ(公式レシピ) | |
味 | ほどよく焼き目がついているため、香ばしさがプラスされて旨みがアップ。ごはんに合いそうな味でした。 | 同じ材料ですが、焼き目がない分ややアッサリとした味に。野菜をたくさん食べたくなる味になりました。 |
食感 | 噛むと繊維感はあるものの、食感は総じて柔らかめ。特にモヤシは中心までシンナリとしていました。一方、肉は火が通りつつも柔らかい絶妙な火加減。 | 野菜は全体的に柔らかいものの、パナソニックよりややシャキッとした食感が感じられます。肉はこちらもプロが作ったような柔らかな仕上がり。 |
加熱時間 目安 |
約10 分 | 約15分 |
総評 | 〇 | 〇 |
・両製品ともに野菜はシャキシャキというよりシンナリとした仕上がり。 ・味は焼き目の香ばしさを感じられるパナソニックが優勢との声が多かったがビーフシチュー程の差はなかった。 |
攪拌機能の実力やいかに? 注目の「チャーハン」
最後は攪拌機能がある電気自動調理鍋ならではの料理「チャーハン」を比較します。こちらは両者ともに公式レシピ(パナソニックとシャープ)を忠実に再現。ただし、シャープは味付けの指定が「お好みの調味料」だったため、比較しやすいようパナソニックと同じ調味料で仕上げています。また、ごはんには市販のパックごはんを使いました。
パナソニック

シャープ

パナソニック(公式レシピ) | シャープ(公式レシピ) | |
味 | 食材全体のバランスがよく、チャーハンらしい優等生の味。 | 加熱に時間をかけているためか、全体的にメリハリのない味に。 |
食感 | もともとのごはん飯がやわらかめだったにもかかわらず、かなりパラパラの食感に調理できました。おこげ部分もパリッと香ばしい食感に。 | 調理終了後の鍋を確認すると、一部に混ぜムラがあり、かなりベチャッとした仕上がり。おこげもあるものの、おこげ部分もネットリとしています。 |
加熱時間 目安 |
約10分 | 約30分 |
総評 | 〇 | △ |
・唯一全員の意見が「パナソニックのほうが美味しい」と一致。 ・市販パックごはんがやわらかめだったため、後日、標準的なかたさのごはんで作ったところ、パラパラの美味しいチャーハンが作れた。 ・パナソニックはやわらかめのごはんでも美味しく作れるのは良い |
調理後の「洗いやすさ」に違いはあるの?
頻繁に使用するなら調理後の「洗いやすさ」も重要です。じつはパナソニックとシャープの製品では、洗いやすさに少し違いがありました。
パナソニック
洗う必要があるパーツは内鍋、内ぶた、そして攪拌用の羽根の3点とシンプル。ただし、鍋に羽根を取り付けるための凹凸があり、この部分はやや洗いにくく感じます。また、内ぶた以外は食洗機が利用できません。

シャープ
洗うパーツは内鍋、まぜ技ユニット、内ぶた、つゆ受け、蒸気口の5点。なかでも分解の必要がある「まぜ技ユニット」は洗うのが面倒。ただし、まぜ技ユニットは攪拌機能を使わない場合は洗う必要がありません。また、内鍋以外のパーツは食洗機に対応。

お手入れ性だけで比較した場合、食洗機を使う環境がある家庭ならシャープ、手洗いを主に使うならシンプルなパーツ構成のパナソニックがオススメです。
味の好み? 時短? 求めるモノにあわせた製品選びを
今回3種類の料理を電気自動調理鍋で作りましたが、両方の製品に共通して感じたのは電気自動調理鍋が得意とするのは「煮込み料理」ということ。ビーフシチューは両者異なる仕上がりでしたが、どちらの料理にも「自分で適当に作るより断然美味しい」という評価が多かったです。
一方、野菜炒めやチャーハンなどの炒め料理は、料理好きのスタッフからは「炒め物はフライパンで作ったほうが美味しいし、調理時間も短くできそう」という意見が出ました。ただし「もの凄く美味しいわけではないけれど、料理が苦手な人でも失敗がないのは安心」や「コンロが塞がっているときに『あと一品』が電気自動調理鍋で作れるのはありがたい」という声も。結局、どのような電気自動調理鍋が良いかは、使う人の料理の腕や、電気自動調理鍋に求める用途によって変わりそうです。
とはいえ、今回比較した製品はいずれも人気機種だけに、味も使い勝手も優秀。あえてそれぞれの特徴を明確にするなら、以下の通りになります。
・羽根が鍋底にあることでかき混ぜムラが少ない
・冷凍食材を解凍せず調理できる時短メニューが多い
・本体や操作パネルのデザインがシンプルでスタイリッシュ
・食材量が増減してもセンサーが美味しく調理してくれる
・自動メニューのバリエーションがとにかく豊富
・食洗機があればお手入れの手間を最小限にできる
家事をする人の料理の腕や、電気自動調理鍋で作りたい料理の傾向など、自分の生活環境を振り返ってぜひ自分にピッタリの製品を選んでほしいと思います。
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