ビックNews

乙女ゲーから青ブタ、ドラクエまで!エンタメ聖地を目指す藤沢店 滝口さん

2025/10/28
乙女ゲーから青ブタ、ドラクエまで!エンタメ聖地を目指す藤沢店  滝口さん

ビックカメラの名物販売員に話を聞く連載企画「ビックな仲間たち」。第14弾は藤沢店でゲームコーナーを担当する、エキスパートマイスターの滝口麻衣子さんです。

藤沢市はアニメやゲーム文化と深いつながりをもち、全国から多くのファンが聖地巡礼に訪れるエリア。なかでもとくに注目されている作品が、藤沢を舞台にした青春SFラブストーリー『青春ブタ野郎』シリーズです。藤沢店は物語の聖地としてさまざまなコラボ企画や展示を展開。イベント責任者でもある滝口さんは、幼い頃からゲーマーだった経験を活かし、ビックカメラ初の乙女ゲーム* 体験会も実現しています。

今回は、滝口さんから「エンタメの聖地」を目指す藤沢店の取り組みについてお話を聞きました。

* 女性向け恋愛ゲームのうち、主人公(プレイヤー)が女性のゲームの総称。「乙女ゲー」「乙女ゲ」「乙ゲー」などと略称される。

目次

    『金色のコルダ』の影響で、マイスター制度でも高みを目指す

    ──まずは滝口さんのご経歴を教えてください。

    2015年になんば店のゲームコーナー担当として中途入社し、勤務歴11年目 になります。現在は藤沢店に異動し、ゲームコーナーの責任者を務めています。

    ──ゲームを愛するようになったきっかけ、特に「乙女ゲーム」に惹かれた理由はなんですか?

    幼少の頃からゲームが好きでした。小学生のときに発売された『どうぶつの森』にハマり、そのプレイをきっかけにクラスの同級生と友達ができたことが、ゲームを通じて初めて感じた喜びです。

    乙女ゲームに深くハマったきっかけは、中学1年生のとき。姉がプレイしていた『ときめきメモリアル Girl’s Side 』との出会いでした。

    当時としては画期的なシステムで、好感度を上げていくと、それまで苗字でしか呼ばれなかったのに、下の名前で呼んでくれるようになるんです。好感度を上げるためのハードルを乗り越えて、名前を呼ばれる瞬間は最高で! 最初はノーマークだったキャラクターでも、下の名前で呼ばれると「おお~!」ってなるんですよね(笑)。

    そこから約40作以上の作品をプレイして、完全に乙女ゲーマーになりました。RPGも好きで、「ペルソナ」シリーズみたいに恋愛要素のあるものが特に好きですね。

    ──特定の商品群における深い知見と提案力を示す「エキスパートマイスター 」* に認定されていますが、認定を目指すモチベーションの源はどこにありましたか?

    もっとも好きな乙女ゲームは『金色のコルダ』で、作中の攻略対象のキャラの生き方に強く影響を受けています。

    作中では、才能をもった主人公が挫折したときに、かつて敗れた攻略対象の男性キャラクターから「お前はここで終わるのか?」という挑発的な手紙が届きます。その言葉を試練として受け止め、乗り越え、さらに高みを目指す姿に深く感銘を受けました。

    だからこそ、自分も作品の舞台である横浜に住み、理想の暮らしを叶えるために走り続けています。ビックカメラでマイスター制度が始まったとき、自然と「一番上を目指そう」と思えたのは、その原体験があったからなんです。

    * エキスパートマイスター :社内のマイスター制度という分類の中で、特定の細分化された分野の専門家という位置付けを示す。

    売場づくりには作品への知識を活用し、商品配置やデザインにも遊び心を取り入れている

    乙女ゲー体験会を通して来店きっかけに

    ──2024年1月に新作ゲームを試遊できる「乙女ゲーム体験会」を初開催。これまでに約10回開催していますが、乙女ゲーム体験会を企画した背景や狙いについて教えてください。

    ビックカメラでは多彩なジャンルのゲーム体験会がありますが、傾向としてはお子様や大人の男性をターゲットにしたものが多く、女性のエンタメ好きのお客様の来店は控えめだと感じていました。

    一方で、「乙女の街」と呼ばれる池袋には女性のエンタメファンが多く集まっています。乙女ゲーム体験会を実施すれば、池袋に訪れているような新たな顧客層を開拓できると考えました。 それに藤沢周辺も人口が増えており、その中には乙女ゲームファンも存在するはずだと。そうした方々の身近な拠点にな りたいという思いもありました。

    乙女ゲーム体験会の様子

    そこでメーカーご担当者様に熱意をもって交渉し、「オトメイト」* 作品 の体験会開催が実現。さらに体験会では、メーカー様のご協力により、発売記念スチル展示や店舗限定のオリジナル特典も用意できました。

    *オトメイト:アイディアファクトリー株式会社の女性向け恋愛ゲームブランド。

    ──それまで開催の前例のない「乙女ゲー体験会」を提案したときの社内の反応はどうでしたか?

    意外なことにとても前向きな反応だったので驚きでした。お客様によりよい体験をしていただくためにも現場に立つ販売員の想いや主体性を大切にしてくれており、こだわりのある売場を実現するためにも実施することに対して前向きな反応をもらえたんだと思います。

    別店舗では“けん玉”愛のあふれる販売員が、他店舗にはないような専門的なコーナーをつくった例もあり、各店舗の色がしっかり出るのがビックカメラの特徴です。その意味で、藤沢店はイベントも売場づくりも、自分の趣味がかなり反映されていますね(笑)。

    ──体験会に参加したお客様の反応で印象的だったことはありますか?

    等身大スタンディを目当てに遠方から足を運んでくださる方が多く、キャラクターと一緒に撮影して「体験会行ったよ」「発売日が楽しみ」と、SNSへ投稿してくださる様子が印象的です ね。

    また、初回から継続して参加してくださっている方が、最初はビックカメラのポイントカードをもたれていなかったのに、いつの間にか予約の際にビックカメラのアプリ会員に登録して、使ってくださるようになっていたんです。これは体験会を続けてきた成果だと実感でき、本当にうれしかったです。

    体験会後に感想ノートをデコレーション

    体験会感想ノート。キャラクターの写真などはイベント後に入れている

    ──体験会でお客様に楽しんでもらうために工夫をしていることはありますか?

    体験会の感想を記入できる「体験会感想ノート」を用意し、イベント終了後も保管していて、初プレイしたときの感想をいつでも読み返せるようにしているんです。

    私自身、乙女ゲーイベントで感想を書いた寄せ書きが、イベント後に現物が残らないのが少しさみしくて。書いたものが形として残るほうが一生の記念になると思って用意しました。藤沢は江の島や鎌倉の観光ついでに立ち寄られる方も多いので、再訪問の際に見返せたら喜ばれるかなと。

    感想ノートにキャラクター名が書かれていれば、そのキャラクターの写真を一緒に貼ったり、デコレーションを施したりしています。

    ──イベント終了後にレイアウトしているのですか?

    はい。たとえば「ラルス君カッコいい」と書いてあって、そこにラルス君の写真が載っていたら素敵じゃないですか。「自分でデコるのは得意じゃないから、すごく可愛くしてくれてうれしい」という声をXで見かけたときは、やってよかったと実感しましたね。

    ──乙女ゲーマーの方が、イベント以外の通常営業時に藤沢店を訪れた際も楽しめる工夫はありますか?

    乙女ゲーといったニッチジャンルのソフトは首都圏有数の品揃えにしています。一般的にゲームソフトを幅広く扱う店舗は多いものの、乙女ゲームの専用スペースを明確に設けて展開しているお店はほとんど見かけませんでした。

    そこで作品のテーマ別の括り、ランキング、新作、予約告知といった切り口を並立させ、乙女ゲーマーの多様な要望に応えられるコーナーづくりを意識しました。

    お客様が参加型でコーナーにご自身のおすすめタイトルを共有できる展示コーナーも作成し「何時間でも乙女ゲームコーナーにいたい」と思ってもらえるような売場づくりを目指しています。

    お客様同士がおすすめソフトを紹介し合えるコーナー

    作品愛が伝わり、青ブタの聖地に

    ──『青春ブタ野郎(以下、「青ブタ」)』シリーズの聖地、藤沢としてどのような取り組みをしていますか?

    藤沢店では「青ブタ」の展開に先立ち、同じく藤沢を舞台にした、原作者・鴨志田一が脚本を手がけたアニメ『Just Because!』を取り上げました。あわせて、作中で主人公が使用するカメラやイヤホンの訴求にも力を入れました。

    その流れを引き継ぎ、「青ブタ」との作品コラボも展開していきました。売場に「青ブタ」の原作小説を置いて鴨志田先生の小説のサイン会を開催したこともあります。

    「青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない」の放送・展開時期には、POP UP SHOPを開催し、新作グッズ販売と原画・特別展示を実施しました。DVD・Blu-ray発売日には「桜島麻衣」「ランドセルガール」「梓川花楓」の限定グッズである告知用のぼりが当たる抽選会も行いました。

    藤沢店限定!青ブタBlu-ray&DVD購入キャンペーン(終了済)
    藤沢店限定!青ブタBlu-ray&DVD購入キャンペーン(終了済)

    こうした取り組みを継続的に行っていったことで、少しずつ「ビックカメラ藤沢は聖地」と言っていただけるようになりました。

    現在も「青ブタ」のコーナーは用意してあります。展示されている「青ブタ」のミニキャラは、データを提供していただき、自分たちで制作したものです。担当の販売員はみんな「青ブタ」のファンで、作品愛を押し出して、完全に趣味でブースをどんどん拡張しています(笑)。

    独自に作成されたミニキャラ

    ──「青ブタ」ファンの方が巡礼の一環として来店したとき、どんな交流が生まれますか?

    グッズ販売期間は販売員がキャラクターの缶バッジやTシャツを身につけているので、「誰推しですか?」と話しかけていただいたり、「アニメ専門店みたいですごい!」とお誉めの言葉をいただいたりする場面もよくあります。

    関西・沖縄・北海道など遠方から「聖地だから」と足を運んでくださり、売場で喜びながら撮影される方が本当に多いです。頻繁に売場を訪れて、細かな変化をウォッチしてくれる人もいて、これからも大切におもてなししていきたいと考えています。

    取材時の「青ブタ」コーナーの様子

    ドラクエほか今後の展開について

    ──新作ゲームの発売日に合わせて店頭販売も実施しているようですが、今後はどんな作品が店頭販売される予定ですか?

    HD-2D版『ドラゴンクエストI&II』の10月30日発売に合わせ、通常の営業開始時間10時より早く、9時30分から店頭販売を行います。地域のお客様に発売当日、最速で購入いただける体験を提供するため、特設案内所と専用レジを設置予定です。

    「ごよやくうけつけちゅう!」のポップのデザインは『ドラクエ』を連想させるものに

    ──最後に藤沢近隣の方や、乙女ゲー好きの方へメッセージをお願いします。

    日頃よりご愛顧いただき、誠にありがとうございます。体験会のアンケート結果をもとに、皆様により一層ご満足いただける取り組みを進めてまいります。特典については、多くの方からご要望いただいているアクリルスタンドの提供もいつかは実現したいです。乙女ゲームの作品選びやゲーム設定についてのご相談も歓迎いたしますので、どうぞお気軽にお声がけください!

    当店では乙女ゲームだけでなく、スタッフの趣味や専門知識を活かした特設コーナーも充実させています。プラモデルやボードゲームの品揃えも豊富です。気軽にお立ち寄りいただくだけでも、まるでテーマパークのような楽しさを感じていただける空間づくりを心がけています。

    今後も藤沢店では、「好き」が集まる売場として、より充実した体験をご提供できるよう一同努めてまいります。

    レゴをはじめ他のコーナーも充実

    ※記事の内容は取材時点(2025年9月)の内容を基に構成・執筆しています。

     

    この記事を読んで気に入ってもらえた方は
    🤍いいねやSNSでのシェアをよろしくお願いします

    併せて読みたい関連記事
    Profile
    滝口麻衣子
    ゲームコーナー エキスパートマイスター 家電製品総合家電アドバイザー
    滝口麻衣子
    2015年なんば店中途入社。10年間ゲームコーナー担当。販売士2級保有。 趣味は漫画を読む事、イラストを描く事。野球観戦。 ※2025年10月1日より池袋本店勤務
    福永太郎
    福永太郎
    1988年東京生まれ。ライター・編集者。俳優、スポーツ選手、芸人などの著名人から、メーカー担当者や経営者まで幅広くインタビューを担当。家電専門メディアにてレビュー記事執筆も手がける。
    宮家和也
    写真
    宮家和也
    カメラマン。九州産業大学芸術学部写真学科卒。スタジオ恵比寿を経て、浅川英郎氏に師事。2009年に撮影会社株式会社クラウンクリエイトアソシエイツ設立。ミュージシャンや企業広告などの撮影をはじめ、ウェディング、キッズ撮影など人物ポートレートを得意とする。
    ビックカメラ藤沢店
    店舗紹介
    ビックカメラ藤沢店
    神奈川県"藤沢駅"北口のすぐ目の前!カメラ、家電、パソコン、オーディオなど親切丁寧にご案内いたします。
    所在地
    〒251-0052 神奈川県藤沢市藤沢559
    電話番号
    0466-29-1111(10:00~21:00)
    営業時間
    年中無休 10:00 ~ 21:00
    アクセス

    アクセスマップ




    店舗詳細で見る
    share
    • X
    • line
    • facebook
    • はてなブックマーク

    ABOUT このメディアについて

    ビックウェーブ(BIC WAVE)
    このメディアは、ビックカメラが運用しています。
    皆さまに新たな出会いや、発見などの「どきどき・わくわく」をさまざまなコンテンツに載せてお届けします!

    RANKING 人気記事

    ARCHIVE 月間アーカイブ

    TAG タグ

    RECOMMEND おすすめ記事