ビックな仲間たち

プラモデルの達人・林宗一郎さんが語る!ビックカメラ千葉駅前店で広がる模型の魅力

2024/11/01
プラモデルの達人・林宗一郎さんが語る!ビックカメラ千葉駅前店で広がる模型の魅力

ビックカメラの名物販売員に話を聞く連載企画「ビックな仲間たち」。第七弾は11月1日に2周年を迎えたビックカメラ千葉駅前店のプラモデルのスペシャリスト、林宗一郎さん 。千葉駅前店でプラモデルについて語らせたら右に出る者はいない林さんに、プラモデル愛とその魅力をお聞きしました。

目次

    幼少期からずっと大好きだったプラモデル

    ──林さんご自身の経歴について簡単に教えてください。

    ビックカメラには中途入社で、前職はホビー専門店のスタッフでした。その経験を活かし、現在はトイズコーナーでプラモデルを中心に担当しております。

    ──ホビーショップにもお勤めされていたということは、もともとプラモデルがお好きだったのですか?

    はい。幼少期から父の影響で工作、模型作りが好きで、自作のリモコン戦車や扇風機、木製戦艦等、そしてプラモデルととにかく手を動かしていました。

    またそういった模型作りの延長で、バイクも趣味になり、マシンをいじってレースを楽しんだりもしていました。家族や子どもができてからバイク趣味はちょっと落ち着いて、いまはプラモデルメインで楽しんでいます。

    おもちゃ・プラモデルはたくさんの人を呼べる「夢のある商材」

    ──先ほどお店を見させていただいて、オールジャンルの模型・工具が所狭しと並んでいるのにびっくりしました。ここまでの品揃えはまさに専門店と言えると思います。

    ありがとうございます。千葉駅前店は2022年11月1日にオープンしました。そのオープンの際にたくさんの人に来てもらえる商品ってなんだろうと社内で持ち上がったんです。その中で「おもちゃ・プラモデル」という声が上がりました。

    じつは発売日にお客様が並んでまで開店をお待ちいただく商品ってプラモデルやおもちゃ以外にほとんどありません。それだけ愛されているということもあり、社内でも本気で取り組んでみようとなりました。

    だからこそ「片手間でやってるんじゃないぞ! 」という気持ちで売場の図面を書き、店作りをしたんです。その後オープンから3か月後にさらにレイアウトを変更していまの形になっています。

    好きだからこそ経験した失敗を活かした売場作り

    ──林さんが実際におもちゃやプラモデルの販売をするようになって、最初に感じた難しさや魅力を教えてください。

    まずは「自分が良いと思ったもの」が必ずしも売れるとは限らないということです。私のようにホビーが好きな人間だからこその、ありがちな初歩的な失敗かもしれません。特にビックカメラのような店舗ですと、お子様からご年配の方までいらっしゃいます。むしろコアユーザーの方が数は少ないと言えるでしょう。

    だからこそ、しっかりといまのトレンドや世代を越えて手に取れるものをセレクトする必要があるのだと痛感させられました。その失敗は、いまの売場作りにも活かされています。

    ──たとえばどのようなところを工夫したのでしょうか?

    商品の陳列です。私たちのお店は、プラモデルのジャンルだけでなく、メーカーごとにも棚を分けています。それぞれのメーカーの入り口に「多くの世代で愛されているキャラクター」で、かつ「多くの人が完走できそうなプラモデル」を配置するようにしました。

    たとえばBANDAI SPIRITSが発売している「ポケプラ」(ポケットモンスターのポケモンをプラモデルにしたもの。可動モデルや固定モデルで展開されている)です。これをあえてエリアの一番最初に陳列しました。

    プラモデルと言えばまっさきに「ガンプラ」を思い浮かべる方も多いかも知れませんが、低年齢層は「ガンダム」を知らないというお客様もいまは多いです。

    しかしポケットモンスターはアニメ・ゲームともに全世代に愛されています。だから私たちはポケプラを入口にし、ポケプラをきっかけに入っていただき、ガンプラやその他さまざまなキャラクタープラモデルを見てもらおうという売場作りをしたのです。

    飛行機のプラモデルコーナーにおいても、昨今さまざまなイベントで活躍するブルーインパルス(航空自衛隊のアクロバットチーム)が使用する「T-4」のプラモデルを入口において、お客様が入ってきやすい雰囲気づくりをしています。

    凄いよりも楽しいを感じてほしい展示ケース

    ──販売員さんが完成させたものや、プラモデルを素組み(プラモデルを説明書通りに組んだもの。塗装や改造をしていないもの)したものが展示ケースに飾られているのも素敵です。

    展示に関しては、販売員が楽しんだり、いろいろ失敗したりして出来上がったプラモデルをPOP付きで飾ったり、プラモデルの素の姿をお客様に見ていただいて購入の参考にしてもらうために、あえて組んだだけのものを展示するようにしています。

    プロや上手な方が作ったものだけ展示してしまうと「凄い!」が勝ってしまって、そのプラモデル本来の姿が見えにくくなってしまうことがあるんです。だから、当店では最近プラモデルを始めた人だからこその大事な経験や、プラモデルのありのままの姿をケースの中に収めようと決めたのです。

    「初心者販売員が全塗装+筆塗りに挑戦しました!!」と書かれた手作り感満載のポップと作例。

    商品だけでなく「体験」もしっかりと提供したい

    ──商品がネットでも買える時代の中で、こうやってプラモデルのありのままの姿で組まれたものを直に見られるのは本当に良いですね。それに関連して、リアルな店舗でプラモデルを売るということに対して大切にしているものは何ですか?

    体験です。「このお店でしか楽しめない何かがある」と思ってもらえるような売場作り、接客を心がけています。おっしゃる通りプラモデルはいま、ネットで購入される方がほとんどです。しかし、実際にプラモデルの箱を見て、商品を手に取り、重みを感じてレジまで持っていく体験は、いつも心踊るものがあると思います。

    ビックカメラ限定カラーのプラモデルなど、その豊富な品揃えも千葉駅前店の強み。

    ──実際にお店で買ったプラモデルのほうが完成まで行きますよね

    私もそういうケースが多いです。だからこそ楽しく購入できて、さらにわからないことがあったら聞けるような雰囲気を作っています。実際にお店の人とお話ができるというのもリアル店舗ならではの強みです。

    初めてプラモデルを作ろうと買いに来てくれるお客様の多くは、プラモデルと一緒にどの工具を買ったら良いのか悩んでいることが多いです。ですので、私は工具や塗料を集めているエリアに頻繁にいるようにしています。

    好きなプラモデルを手に取ったお客様が「どの工具を買えばいいですか?」と私に聞きやすいように、または「工具お探しですか?」とお客様にひと声かけるように努めています。

    いまの工具・接着剤は本当に性能が上がっています。適切な工具・接着剤を選ぶことができれば、パーツを切ったり貼ったりするのが本当に楽しくなります。そして、いまの世の中にあるプラモデルの多くは形にできると思うのです。古いモデルなどは確かにひと手間必要ですが……。その手助けを、一人でも多くのお客様にするのが目標でもあります。

    ビックカメラとミネシマで共同開発したプラモデル製作用ニッパー「ビッパー」。

    ──特に現代のプラモデルのほとんどは作りやすいですよね。

    おっしゃる通りです。近年は3D造形を多用して開発されたプラモデルがほとんですから、パーツがずれていたりすることも少ないです。あとは良い工具を手にして、何個か作ってみるだけで様々なジャンルのプラモデルが楽しめると思います。

    お客様が作りたいゴールに寄り添った接客をしたい

    ──だからこそ、いまのプラモデルという商品においては「初心者向け」「上級者向け」と分けたりするのはどうなのかなと、常々私は思っています。林さんはこの初心者・上級者ということに対してお店の販売員としてどのように考えていますか?

    まったくその通りで、プラモデルのキット自体にそのようなレベルを設けるというのはちょっと違うと思っています。「初心者向け」「上級者向け」と言うのを見たり聞いたりすることで、お客様がそのプラモデルを手に取らなくなる可能性だってあるわけです。

    初心者や上級者という概念を言い換えるなら、そうですね……「ゴールの設け方」だと思っています。自分の中で、プラモデルを作ることに対してどのようなゴール設定を設けるかで取り組み方が変わってくると思います。

    ゴール設定とは、プラモデルをそのまま組んで飾りたいのか、プラモデルの完成見本のように全塗装して仕上げたいのか。やさしいのか難しいのか、という、その取り組みの差だと思っています。

    だから私たちの役目はプラモデルにレベルを設けて接客するのではなく、お客様がチャレンジしてみたい模型作りのイメージに寄り添い、アドバイスしていくことなんです。
     
    「初心者向けのプラモデルはありますか?」という質問は多いですが、まずはお客様が作りたいジャンルやモチーフ、チャレンジしたいことなどを丁寧に吸い上げて、お客様に合ったプラモデルや工具をおすすめしているようにしています。

    ビックカメラの中に「街の模型店」のような雰囲気を作り出したい

    ──お客様とより良いコミュニケーションを取るために行っていることはありますか?

    販売員みんなでプラモデルを楽しんでいます。私はプラモデルを長い間楽しんでいますので、それなりの知識はあります。ただスタッフの中には初めて作るという者ももちろんいます。そのようなスタッフと一緒になって私も新製品のプラモデルのサンプルを作ったり、工具・マテリアルを試したりしながらより知識を深めています。

    初めて作る販売員の意見や苦労話は本当に貴重で、これからプラモデルを楽しもうとしているお客様へアドバイスするときに大変役に立っています。

    また常連のお客様には「この工具使ってみてどうでしたか?」とこちらから質問したりして、意見も聞くようにしています。そうやってお客様とキャッチボールすることで、プラモデル・工具の知識、そしてコミュニケーションを深めています

    ──本当に昔の街の模型店のようですね

    それは私たちが目指すところのひとつでもあります。私自身小さい頃には何件も模型店をハシゴ して、プラモデル趣味に没頭しました。そのとき見た景色や、お店の人と話した経験は本当にいまの売場作りに活かされています。

    たとえば模型店の棚の上って、誕生日やクリスマスにしか買ってもらえないような夢の大型モデルが置いてあったと思います。あの景色が好きなので、いまのお店でもやろうと画策しています。絶賛レイアウト変更中です 。

    また模型メーカーのご協力のもと定期的に「プラモデル教室」 も開催しています。そうやって、これからも一人でも多くの人にプラモデルに触れてもらえるように、そしてお客様が自分だけの素敵なプラモデルを楽しめるように応援し続けることを持続していくことが、我々「千葉駅前店」 販売員の目標でもあります。

    「プラモデルの聖地」としての千葉駅

    じつは千葉駅周辺はホビーショップが徒歩圏内に密集していまして、それぞれのお店をハシゴしてお買い物を楽しめます。

    日本を代表する老舗のホビーショップ、世界を代表するミニチュアショップなどが、駅を降りたらすぐの場所に、この距離感で密集している町は地方では珍しいと思います。これだけのお店を揃える千葉駅は、プラモデル・ホビーの聖地のひとつになれるとも思っています。

    多くのお客様がご満足いただけるように、私たちやほかのお店も自分たちの特色を出しながら切磋琢磨しています。だからプラモデルが好き! ホビーが好きという人には、ぜひお買い物目的で千葉駅までお越しいただけたら幸いです。

     

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    Profile
    林宗一郎
    トイズコーナー
    林宗一郎
    2007年ビックカメラ入社。トイズ担当として有楽町店、新宿東口店を経て現在千葉駅前店に勤務。家電アドバイザー保有。趣味はプラモ、野球、ボクシング、釣り、バイクと多趣味。
    フミテシ
    フミテシ
    1983年生まれ。模型雑誌「月刊ホビージャパン」編集部、フィギュアメーカー「マックスファクトリー」を経て、現在は模型関係の記事や書籍をメインに編集しているフリーランスの編集者。模型webメディア「nippper」の副編集長も務めている。プラモとサッカーが大好きなニ児の父。
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    田島雄一
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    田島雄一
    千葉県出身。営業職、メッセンジャー(自転車便)、スタジオマンを経てフリーのカメラマンに。人物の撮影を中心に写真・動画問わず活動中。山登りなどよくしていたので、今後はアウトドア系の撮影も増やしていきたいと狙っている。週に1日は大学にて非常勤講師。 
    ビックカメラ千葉駅前店
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    ビックカメラ千葉駅前店
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    〒260-0015 千葉県千葉市中央区富士見2-1-1
    電話番号
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    10:00 ~ 21:00
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