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プロが教える花撮影!神代植物公園でバラを撮ってみた!

2025/06/19
プロが教える花撮影!神代植物公園でバラを撮ってみた!

ビックカメラの販売員が、プロのカメラマンに弟子入りしてワンランク上の撮影テクニックを学ぶ連載企画。

今回は、ビックカメラ ラゾーナ川崎店のカメラコーナー担当・亀山麗美さんが、東京都調布市の「神代植物公園」で花の撮影にチャレンジ。先生は、猫や動物、日常や旅先でみつけた情景を作品として撮り続けている写真家・ミゾタユキさんです。

季節を彩る、さまざまな花々。その姿をお手持ちのカメラで思い出にしてみませんか。

写真左からミゾタユキ先生(以下、ミゾタ)、ビックカメラの亀山麗美さん(以下、亀山)。

今回の撮影で使ったのは、ニコンの「Z50II」とそのレンズたち。

レンズは標準ズームレンズ「NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR」と、望遠域に強いズームレンズ「NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR」、そして花や虫など小さな被写体に威力を発揮するマクロレンズ「NIKKOR Z MC 50mm f/2.8」です。

まずはカメラの設定をしてみよう

まずは正しく撮影モードの設定ができているかミゾタ先生に 確認してもらいます。
亀山 私は普段からミラーレスカメラを使って野球やサッカーを撮ることが多いんですけど、花や植物を撮ることはほとんどなかったので、今日を楽しみにしていました。
ミゾタ 遠くから動きのあるスポーツ選手を撮るのに比べたら、花はほとんど動くことはないので簡単かもしれないですね(笑)。でも、その分いろんな表現があるので今日はそこを中心にレクチャーします。
亀山 よろしくお願いします!
ミゾタ 早速ですが、撮影前にカメラの設定をしてみましょう。 先ずカメラの上にある撮影ダイヤルで撮影モードを選びます。
■撮影モードは「絞り優先」
次に、液晶モニター横にある「i」ボタンを押してみてください。
この中で基本設定をしていきます。
■フォーカスモードは「AFS」
■AFエリアモードは「シングルポイント」
■ホワイトバランス(WB)は「自然光オート」
■ピクチャーコントロールは「NT(ニュートラル)」
亀山 設定できました。
ミゾタ いいですね。後からピクチャーコントロールやホワイトバランスを変えて撮ってみようと思っていますが、そのときも「i」ボタンから設定しますね。最後に少しだけカスタマイズしたいので、メニューボタンを押してください。 その中の静止画撮影メニューで
■ISO感度は「ISOオート」
・上限感度「ISO6400」
・シャッタースピードの低速限界1/125秒
メニューボタンを押して「ISO感度」から選びます
■アクティブD-ライティングを「オート」
今回使うレンズで手振れなく、日差しが強い中で白飛びを抑える簡単な設定ができました。これで準備は完了です! あとは楽しんで撮りましょう。
亀山 いい感じになったと思います!
ミゾタ 撮影シーンや被写体が決まっている場合は最初に設定を変更しておくことで、その後の撮影がスムーズになりますよ。それじゃあ早速撮影に出かけましょう。

スマホでは難しい「ボケの表現」にチャレンジ

ミゾタ先生撮影 Nikon Z50II + NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR f/6.3 ISO100 1/250 +0.3EV
ミゾタ 亀山さんは普段から写真を撮られるとのことですが、どんな写真が好きですか?
亀山 私はボケ感がある写真が好きです。
ミゾタ ボケをより多く作るなら、レンズの絞りを開放側(F値が小さい数値のほうです)、ズームを望遠側にして、できるだけ被写体(写真の主役)に近づきます。さらにできるだけ遠い場所を背景にするのがコツです。 向こうに葉と葉の隙間があるあたりを背景にして撮ってみてください。
亀山さん撮影 Nikon Z50II + NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR f/6.3 ISO100 1/400 250mm 0.0EV
ミゾタ 望遠レンズを使ってきれいに玉ボケが作れましたね。今日はお天気も良くてすごく人が多いですが、望遠レンズは混んでいる場所でも離れたところから上のほうなど狙いやすいメリットがありますね。
亀山 本当ですね。構図を決めて、あとは人が被らないタイミングをじっと待って撮れるのが便利です。
ミゾタ先生撮影 Nikon Z50II + NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR f/6.3 ISO100 1/320 190mm +0.3EV
ミゾタ 玉ボケを入れた写真を撮りたいときは逆光で隙間がある場所を探してみてください。レンズによって玉ボケの大きさも変わります。それも覚えておくと役立つと思いますよ。

マクロレンズで超アップ写真に挑戦

ミゾタ 次はマクロレンズでの撮影に挑戦してみましょう。亀山さんが普段撮るスポーツ写真では出番がないと思いますが、通常のレンズよりも被写体に近寄れるマクロレンズは、お花みたいに小さな被写体を撮るのにすごく便利なんですよ。
亀山さん撮影 Nikon Z50II + NIKKOR Z MC 50mm f/2.8 f/3.8 ISO100 1/400 50mm 0.0EV
亀山 こんなに近寄れるんですね! マクロレンズってピント合わせが難しいイメージがあったんですけど、ちゃんと合ってくれて驚きました。
ミゾタ そうですよね。最新のレンズとボディの組み合わせだと本当に使いやすくなっていますね。もっと思い切り寄ってみると、こんな写真も撮れますよ。
亀山 えっ、すごい!
ミゾタ先生撮影 Nikon Z50II + NIKKOR Z MC 50mm f/2.8 f/6.3 ISO100 1/800 50mm +0.3EV

露出補正で光と影を表現しよう

ミゾタ先生撮影 Nikon Z50II + NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR f/6.3 ISO100 1/800 50mm -1.3EV
ミゾタ 次は光と影のバランスを意識して撮ってみましょう。いまはちょうど真上に太陽があって、かなり強く光と影のコントラストが出ていますよね。これを意識してみてください。影を強調するなら露出補正をマイナスに振ってみるのがオススメです。
亀山 -0.3くらいですか?
ミゾタ -1.3とか-1.7くらいまで振ってみてもいいと思いますよ。
亀山さん撮影 Nikon Z50II + NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR f/6.3 ISO100 1/1000 50mm -1.7EV
亀山 -1.7ってかなり極端かと思ったんですけど、すごくカッコいい写真が撮れました。
木漏れ日のような雰囲気を演出。 ミゾタ先生撮影 Nikon Z50II + NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR f/6.3 ISO100 1/640 50mm -1.7EV
ミゾタ 木漏れ日みたいに、光が当たっている場所と当たっていない場所がある構図もオススメです。
亀山さん撮影 Nikon Z50II + NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR f/6.3 ISO100 1/125 50mm -1.7EV
亀山 マクロレンズとの組み合わせでもカッコいいですね!

条件縛りで広がる、写真の楽しさ

ミゾタ 続いては温室での室内撮影です。できるだけ感度を上げずに撮影できるよう、シャッタースピードの低速限界を1/60に変更してください。
亀山 はい、設定できました。
ミゾタ では、今日の撮影の締めくくりに、ルールを決めて撮影していろんな写真表現を楽しんでみましょう。まずは、広角16mm縛り!
亀山さん撮影 Nikon Z50II + NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR f/6.3 ISO100 1/160 16mm 0.0EV
亀山 広角だと写る範囲が広くて、余計なものが見切れてしまいがちですね。構図を考えるのが難しく、これは練習になりそうです。
ミゾタ先生撮影 Nikon Z50II + NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR f/3.5 ISO100 1/1000 16mm 0.0EV
ミゾタ 私はさらに広角16mmに加えてモノクロ縛りにしてみました。得意な画角や好きな色味とは別の撮り方をするのも楽しいですよね。
ミゾタ先生撮影 Nikon Z50II + NIKKOR Z MC 50mm f/2.8 f/6.3 ISO100 1/125 50mm +2.0EV
ミゾタ 次は50mmマクロ縛りで、ピクチャーコントロールを「リッチトーンポートレート」にしてみましょう。
亀山さん撮影 Nikon Z50II + NIKKOR Z MC 50mm f/2.8 f/3.5 ISO100 1/100 50mm +1.3EV
亀山 こんな感じかな?
ミゾタ 逆光や白い被写体は暗く写る特性があるので、露出補正をプラスにしてみましょう。
亀山 ファインダーを見ながら思い切って+1.3にしたら、前ボケの前に露出補正のバランスが上手くいってキレイですね。
ミゾタ 手前の被写体をボカす「前ボケ」をきれいに使っていい感じですね!
ミゾタ先生撮影 Nikon Z50II + NIKKOR Z MC 50mm f/2.8 f/3 ISO100 1/125 50mm +0.3EV
ミゾタ 最後はフィルターで遊んでみましょう。ニコンのカメラには「クリエイティブピクチャーコントロール」という画作りの機能があるので、これを使ってみるのはどうですか?
亀山さん撮影 Nikon Z50II + NIKKOR Z MC 50mm f/2.8 f/3.5 ISO100 1/200 50mm +0.3EV
亀山 あっ。この色味、私すごく好きです。
亀山 今日は普段と違う被写体を撮るだけじゃなく、いつもと違う撮影方法を試せてすごく勉強になりました。今回の学びを活かしてプライベートでも撮影してみたいと思いました。どうもありがとうございました!
ミゾタ 今回試した撮影方法は花だけじゃなく、さまざまな撮影シーンに応用できると思うので、ぜひこれからも写真を楽しんでくださいね。

これからいろいろな花が咲く季節。今回紹介したカメラ設定や撮影テクニックを使って、ぜひ身近な花の多彩な 表情を撮影して楽しんでみてください。
ミゾタ先生撮影 Nikon Z50II + NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR f/16 ISO100 1/200 31.5mm 0.0EV
撮影協力:神代植物公園
〒182-0017 東京都調布市深大寺元町5丁目31-10
TEL:042-483-2300

神代植物公園は、東京都調布市に位置する都内唯一の植物公園で、1961年に開園。約48万平方メートルの広大な敷地には、約4,800種、10万本以上の植物が植栽され、30のブロックに分けて展示されています。園内には、ばら園、つつじ園、うめ園、はぎ園などがあり、四季折々の花々を楽しめます。特にばら園は、2009年に世界バラ会連合から優秀庭園賞を受賞し、春と秋の「バラフェスタ」では多くの来園者で賑わいます。
 

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Profile
亀山麗美
カメラコーナー フォトマスター3級
亀山麗美
ビックカメラ ラゾーナ川崎店でカメラ担当。プロ野球やJリーグの観戦&撮影にハマっており、観たい試合がある日は遠方でも休みを取って応援に行ってしまう。好きなチームは読売ジャイアンツと浦和レッズで、シーズンシートを持っている。
ミゾタユキ
写真・講師
ミゾタユキ
日本大学藝術学部映画学科撮影コース卒。シーンの中のワンショットに魅かれ写真の世界へ。カメラ誌やWEB、セミナー講師、フォトコンテストの審査などを通じて写真の楽しさを伝える活動にも携わる。撮影会&web講評「フォトプラネッタ」主宰。著書「カメラでパチリ へやねこ そとねこ」、共著「美しいボケの教科書」など多数。 日本作例写真家協会JSPA
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照沼健太
文・写真
照沼健太
大学卒業後、「MTV PAPER」「MTVJAPAN.COM」の編集を担当。その後、株式会社インフォバーンにてWebコンテンツ制作、Webディレクション、SNSプランニング等の経験を積み、独立。「AMP」編集長を経て、音楽・カルチャー・広告等の分野にて編集者・ライター・カメラマンとして活動。2018年、コンテンツ制作を行うため『合同会社ホワイトライト』を設立。
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