ビックカメラ販売員が挑む!水族館撮影の極意をプロから学ぶ
ビックカメラの販売員が、プロのカメラマンに弟子入りしてワンランク上の撮影テクニックを学ぶ連載企画。
今回は、ビックカメラ 池袋カメラ・パソコン館 でカメラ担当3年目の齋藤翼さん(写真左)が、すみだ水族館を舞台に撮影にチャレンジ。先生は、水中写真や水族館撮影をメインに活躍しているあきさん(写真右)です。
暗くて撮影しづらいと思われる 水族館で、いったいどんな瞬間が切り取れるのでしょうか? 東京スカイツリータウン・ソラマチ®にある「すみだ水族館」で、齋藤さんが撮影にチャレンジしました。
イルカショー大好き販売員、すみだ水族館で撮影に挑戦 !
あき | 本日はよろしくお願いします。斎藤さんは、水族館のイルカショーを撮影するのが趣味とお聞きしました。 |
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斎藤 | はい。イルカが大好きで、いつもイルカを撮りに水族館に通っていますが、水槽での撮影は難しそうなのでいつもスルーしていました(笑)。 でも、すみだ水族館にはイルカはいないとのことなので、今日はがんばって水槽の生き物の撮影に挑戦したいと思います! |
あき | イルカ、いいですよね! でも、水槽の中の生き物たちもとても撮影しがいのある被写体なので、ぜひチャレンジしてみてください。 |
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水族館の撮影、知っておきたい4つのマナー
あきさん曰く、水族館の撮影で守ってほしいマナーがあるとのことで、まとめてみました。
1. ストロボ禁止
2. 周りの人への配慮
・三脚は使わない
・長時間の占領はしない
・カメラを肩に下げているときは お子さまの顔に当たるので注意する
3. 小道具を使って生き物の注意を引かない
4. 水槽にレンズをぶつけないようにする
以上4つのマナー、わかりましたか? それでは、水族館でレッツシューティング!
漂うクラゲを印象的に撮る方法
まずはクラゲ水槽です。すみだ水族館は、水盤型の巨大水槽でクラゲを展示しています。しかも、水槽の横からも撮影できるポイントがあります。上と横から撮影できるんです。
あき | クラゲは、あまり動きが素早くありませんし、被写体としては初心者向けかなと思います。まずは撮影していきましょう。 |
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齋藤 | クラゲのブースは照明が暗くて、微妙に被写体ぶれしますね。 |
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あき | いま、シャッタースピードはどれくらいですか? |
齋藤 | 1/30秒です。 |
あき | シャッタースピードが遅すぎますね。クラゲの場合、1/80秒はほしいところです。シャッタースピードを上げて撮ってみましょう。 レンズは、明るい単焦点レンズ、もしくはF2.8のズームレンズを使って、F値を小さく設定したほうがシャッタースピードを速くできます。被写体ブレなるべく防ぐためには、シャッタースピード優先モードでシャッタースピードを固定したほうがいいでしょう。慣れてきたらマニュアル設定でシャッタースピードとF値を自分で設定するのもいいですね。 シャッタースピードが足りなければISO感度を上げましょう。あまり上げすぎると画質が悪くなりますが、最近のカメラは高感度に強いので、ISO3200から6400くらいまでは上げてもいいと思います。 |
齋藤 | シャッタースピードを1/100秒まで上げました。 |
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あき | 被写体ぶれが抑えられてシャープに写るようになりましたね。次のポイントとしては「色」ですね。クラゲの一番美しく見えるのは「白」です。照明に合わせてホワイトバランスを変えるのもいいのですが、周囲の状況に合わせて自動でホワイトバランスを調整してくれる「オート」にするといいでしょう。 |
齋藤 | クラゲの撮影、楽しいですねー。横から撮影するときは、何を意識すればいいですか? |
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あき | この水族館のクラゲ水槽を横から撮るときは、奥行き感を意識するといいでしょう。あまり奥行きのある水槽でクラゲを撮影できる場所はないので、特徴的な写真になります。 |
あき | 奥行き感があるし、光も印象的でとてもいい写真になっていますね。いい感じではないでしょうか。 |
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齋藤さんは、水槽にレンズを近づけて撮影をするときに、ちゃんとレンズがぶつからないように指を添えていました。先生の教えをしっかり守っています。
サンゴ礁水槽でいきいきとした魚を撮る
お次はサンゴ礁水槽です。すみだ水族館のサンゴ礁水槽は、4面から見られる構造となっています。それでは、撮影スタート!
齋藤 | 海の中にいるようなイメージで、あえて魚にフォーカスせず、風景として撮影してみました。 |
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あき | 広角レンズを使い全体を撮る場合は、絞りを絞ったほうがいいですね。構図はいいと思います。ただ、下の砂地を入れるか入れないかという問題があります。本来の海の中を表現したいのならば入れたほうが正解ですが、写真として考えるなら入れないほうがいいかもしれません。 |
齋藤 | これは、魚にフォーカスした写真です。広角レンズで魚を追ったんですが、動きが速すぎてぶれている写真が多くなってしまいました。 |
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あき | 魚にフォーカスするのなら、24-70mmの標準ズームや50mmの単焦点などがいいでしょう。あとは、魚の動きをよく観察することです。魚には動いている瞬間と止まっている瞬間があります。魚の種類によっても特徴があるので、まずは観察して動きを見極めましょう。 あとは、 望遠レンズを使って撮るのもありですね。望遠レンズを使うと遠くから撮影することになるので、魚たちが警戒しません。結果としてガラス面に近づいてくることもあります。 |
齋藤 | わかりました。望遠レンズでチャレンジしてみます。 |
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あき | 暗い場所ではレンズを落としてしまう可能性があるので、しゃがんでレンズ交換しましょう。僕、レンズ落として壊してしまったことがあるので……。 |
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齋藤 | ナンヨウハギがほぼ同じところにいたので撮ってみました。 |
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あき | やはり、魚は横を向いているときがシャッターチャンスです。もしカメラの被写体検出機能に「動物」モードがあったら、使ってみるとピントが合う率が高くなります。AFは中央一点で「動物」モードがオススメです。望遠ズームで撮影したことで、圧縮効果が出て抜け感が出ますよね。 |
齋藤 | 魚を撮っていると動きに集中しちゃって、構図まで頭が回らないんですよね。 |
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あき | 被写体が中央にくる日の丸構図でいいと思いますよ。水槽の中には背景となるものがたくさんあるので、日の丸構図でもいい写真になります。 |
チンアナゴをかっこかわいく撮影しよう
水族館で人気があるのが、チンアナゴ。砂からにょろっと顔を出している姿がユーモラスです。齋藤さんはこのチンアナゴに興味を持ったらしく、せっせと撮影しています。
齋藤 | チンアナゴを望遠ズームを使い縦位置で撮影しました。奥行き感を出したかったので。 |
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あき | これはおもしろい構図ですね。ただ、主役がわかりにくいかなという印象です。主役のチンアナゴにピントは合っているんですけど、もっと寄らないとわかりにくいかな。レンズを50mmの単焦点に変えてみましょうか。そして、隣の水槽の照明が青いので、それを背景に使って撮ってみるとおもしろいですよ。 |
あき | 背景が白だと、チンアナゴの存在感が目立ちにくくなりますが、背景をうまく使うことでチンアナゴが目立ち、引き締まった写真になります。背景に人がいてもおもしろいと思います。ボケているので判別はできませんし。 |
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大水槽は映り込みに注意
水族館での人気水槽と言えば、やっぱり大水槽。「小笠原大水槽」では、大小さまざまな魚たちが優雅に泳ぐ姿を堪能できます。
齋藤 | 大水槽はガラス面が湾曲していることが多いので、撮るのが難しいんですよね。どうしても周囲の照明が映り込んでしまうんです。 |
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あき | 大水槽は難しい撮影スポットですよね。広角レンズを使ってダイナミックに撮影しようとすると、周囲が映り込んでしまったりします。これを防止するには、撮影する角度を調整するしかありません。広角レンズで撮るなら、ガラスの前に行くのもありですね。ただし、ほかのお客さんの邪魔にならないように配慮する必要があります。 あとは、望遠レンズで部分的に撮影するというのもおもしろいと思います。 |
広角レンズや望遠レンズ、50mmの単焦点レンズを使い、大水槽を撮影する齋藤さん。どんな写真になったのでしょうか?
あき | いいですねー。望遠レンズで水槽を撮るとちょっと違った表現になって、いつもと違う雰囲気になるのでオススメですよ。 |
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水中を滑空するペンギンを写し撮る
すみだ水族館の一番人気といえば、ペンギンです。あきさんも、ペンギンの撮影によく訪れるとのこと。
あき | 今日一番撮っていただきたかったのが、泳いでいるペンギンです。陸上で立っているペンギンを撮影するのもいいのですが、泳いでいるペンギンは撮りがいがあるんですよ(笑)。 |
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齋藤 | がんばって撮影します! |
齋藤 | 動きものなので、撮影するのは難しいですね…...。 |
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あき | そうですね。ここは室内水槽で暗いのでフォーカスが合いにくいですし、ペンギンの動きが立体的ですからね。でも、撮れたら楽しいじゃないですか! |
ということで、あきさんから泳いでいるペンギンを撮るためのポイントを教えていただきました。
ポイント | 詳細 |
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ペンギンの動きをよく観察する | ペンギンがどのルートをどのくらいのスピードで泳いでくるかを観察し、曲がるポイント、スピードが落ちる場所などを把握する。 |
照明の位置を確認する | 水槽内を照らす照明の位置を確認し、明るい場所を探す。 |
上記2つの条件を合わせて、撮影ポイントを決定する | ペンギンがスピードを落として泳ぎ、照明が当たるポイントを探し当てたら、そこにペンギンをくるのをひたすら待つ。 |
シャッタースピードは1/200を目安に | 泳いでくるペンギンはスピードが速いので、高速シャッターを推奨。 |
望遠レンズよりは標準レンズで | 望遠レンズではペンギンを追いにくいので、広角から標準レンズが適している。標準ズームレンズがあればそれを使う。 |
ということで、齋藤さんはペンギン撮影にチャレンジ! どんな写真が撮れたでしょうか?
齋藤 | うーん、さっきよりはよくなったと思いますけど、まだまだですね。これから腕を磨いていきたいと思います。 |
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あき | 齋藤さんも初めてにしてはよく撮れています。普段イルカショーを撮っているだけはあります。 |
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齋藤 | ペンギンは、鳥AFで合いますか? |
あき | 合いますよ。ピントを追うのが難しい場合は、鳥AFや動物AFを使えば、ピントが合う確率が上がる可能性があります。積極的に使ってみましょう。 |
水族館をおしゃれに切り取る
水族館に行くと大きな水槽ばかりに目がいってしまいますが、それ以外にも撮影スポットはあります。すみだ水族館には「万華鏡トンネル」という通路がありますが、とても幻想的なスポットです。
あき | ここは鏡と照明で幻想的な雰囲気になっているので、撮影にオススメなんですよ。 |
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齋藤さんはさっそく撮影しています。
さて、どんな写真になったのでしょうか。
あき | 真正面ではなく斜めからの撮影ですね。こちらのほうが奥行き感が出ます。いわゆる放射線構図です。このような写真の場合は広角レンズが適しています。 |
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齋藤 | ここでは色を鮮やかにしたかったので。ソニーのミラーレス一眼に搭載されているクリエイティブルックの「ビビッド」を適用しています。 |
あき | いいと思います。すごくかっこいいですね。バリエーションとしては高さを変えてみてもいいでしょう。ちなみに、この通路は天井も鏡張りになっているので、自撮りができますよ。 |
この撮影の様子がこちら。
いきなり上を向いて撮影しはじめたときは何かと思いましたが、おもしろい写真が撮れますね。
すみだ水族館には金魚水槽も数多く設置されています。ここもおしゃれスポット。
あき | 金魚水槽は横から撮る人がほとんどだと思いますが、金魚の種類によっては、上から見るために改良されているものもいます。そのような金魚は、俯瞰で撮影したほうがきれいです。そのとき、胸びれが横に動いている瞬間がベストです。 |
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齋藤 | 金魚水槽はいつも横からしか見ていなかったので、上から見るというのは新鮮ですね。 |
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ちなみに、上見の金魚はらんちゅうやタンチョウ などが有名です。もしこれらの金魚を撮影する機会があったら、ぜひ上から撮影してみてください。
生き物に興味を持つといい瞬間が撮れる
──これにて、水族館での撮影はお開き。齋藤さん、いかがでしたか?
齋藤 | いつもはイルカばかり撮っていたので、水槽の生き物を撮影するのはとても新鮮でした。ガラス越しでの撮影が多かったので、動物園などにも応用できると思います。自分の趣味であるイルカショーの撮影にもいかせるテクニックがあって、とても勉強になりました。 |
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あき | 齋藤さんは基本的な撮影の組み立て方はできる人なので、とても教えやすかったですね。僕が伝えたこともすぐに飲み込んで、撮影に応用してくれていたのかなと思います。 |
──最後に、あきさんから水族館での撮影について一言 お願いします。
あき | 水族館は限られたスペースではありますが、生き物が暮らしている間、同じ瞬間はありません。その気持ちを忘れずに、楽しみながら新しい発見をしていってほしいですね。また、この魚はどういう動きをするんだろう、どんな性格なんだろうと、生き物に対して興味を持つと、よりいい瞬間がわかりやすくなると思います。とにかく水族館での撮影を楽しんでいただきたいですね。 |
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お二人とも、本日は長い間ありがとうございました! これからも水族館でバシバシいい写真撮ってください。
〒131-0045
東京都墨田区押上一丁目1番2号
東京スカイツリータウン・ソラマチ5F・6F
TEL : 03-5619-1821(開館時間~18:00)
[アクセス]
● 東武スカイツリーライン「とうきょうスカイツリー」駅 すぐ
● 東武スカイツリーライン・東京メトロ半蔵門線・京成押上線・都営地下鉄浅草線「押
上(スカイツリー前)」駅 直通徒歩5分
詳しくはすみだ水族館公式Webサイトをご覧ください。
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