プロが教える撮影術

一眼カメラで子どもをかわいく撮影をしよう!販売員がやってみた

2024/06/12
一眼カメラで子どもをかわいく撮影をしよう!販売員がやってみた

家族の思い出を記録するために、カメラで撮影を楽しんでいる方も多いことでしょう。しかし、小さなお子さんを撮影するのは意外と難しいもの。そこで、ビックカメラのカメラコーナー販売員の永田さんがプロのカメラマンに弟子入り。講師をするのは写真スタジオ「わらべカンパニー」 のボスさん。撮影の基本から子ども撮影術まで、ワンランク上の撮影術を伝授していただきました。

目次

    No Moreぶれ写真。シャッタースピードに気をつけよう

    永田 今日はよろしくお願いします。私はよく娘を撮影するのですが、 ぶれてしまうことがたびたびあります。特に望遠レンズを使った場合は、ぶれていてがっかりするんですよね。ぶれを防止するには何に気をつければいいですか?
    ボス 写真の「ブレ」には大きく分けて2つあります。ひとつが手ぶれ、もうひとつが被写体ぶれというものです。
    ボス まず手ぶれですが、これはシャッタースピードが遅いときに置きやすい現象です。防止策としては、シャッタースピードを1/125秒以上、望遠レンズの場合は1/250秒以上に設定すること、そして撮影時に脇を締めてなるべくカメラを動かさないこと、シャッターを軽く押す(半押し)という基本的なことに気をつける必要があります。どうしてもシャッタースピードが遅くなってしまう場合は、三脚や一脚を使用することも考えましょう。 被写体ぶれは、動いているものを撮影するときに起こります。これは、カメラのシャッタースピードが被写体の動きよりも遅いことが原因です。防止策としては、シャッタースピードをなるべく高速にすること。1/250秒以上にするといいでしょう。
    永田 たまに娘が動きすぎてぶれていることがあるんですが、それはシャッタースピードが遅かったからなんですね。私はいつも絞り優先モードで撮ることが多いので、あまりシャッタースピードを気にしていませんでした。
    ボス マニュアルモードで撮影する場合は、まずシャッタースピードを決めて、次に絞り、最後にISO感度という順番で設定していくといいと思います。お子さんを撮る場合はマニュアルモードでは設定が追いつかないと思うので、シャッタースピード優先モードにして、1/125秒あるいは1/250秒にシャッタースピードを設定しておくのもいいですね 。

    手ぶれや被写体ぶれを防ぐためにはシャッタースピードに気を配る必要があります。モードをシャッタースピード優先(S)にして撮るというのも有効。永田さんには絞り優先から、シャッタースピード優先に挑戦してもらいました。by cわらべカンパニー

    ボス 今日のような日中の屋外ならシャッタースピードは1/800秒くらいになるのであまり気にしなくてもいいと思いますが、夕方や屋内での撮影では、シャッタースピードがかなり遅くなるので気をつけましょう。
    永田 はい。これからは、絞り優先モードだけじゃなくて、シャッタースピード優先モードも使っていきますね 。

    永田さん撮影。シャッタースピードを1/800秒にしたことで、被写体ぶれのない写真になりました。
    (α7 IV+FE 28-70mm F3.5-5.6 OSS 70mm F5.6 1/800)

    縦位置写真からの脱却。横位置で印象的な写真にする方法

    永田 娘を撮影していると、いつも同じパターンになってしまうんです。全身を入れたいと思うので縦位置が多くなってしまい、印象的にしようと背景をぼかした写真になりがちなんです。売り場の作例を撮るときは横位置が多いのですが、横位置だとどう撮っていいのかわからなくって。

    永田さん撮影 。縦位置の写真を撮りがちなのが悩み。
    (α7 IV+FE 28-70mm F3.5-5.6 OSS 43mm F4.5 1/1250)

    ボス お子さんを大きく映したいと思うと、どうしても縦位置が多くなりますよね。横位置で撮る場合は、背景も意識しましょう。春だったら桜、夏なら青空、秋なら紅葉というように、背景を意識して映すようにすると、季節感も出てより印象的な写真になると思います。

    横位置で背景も入れることで季節感や行った場所の思い出を演出できます。
    写真左上:(α7 IV+FE 28-70mm F3.5-5.6 OSS 70mm F5.6 1/800)
    写真右上:(α7 IV+FE 28-70mm F3.5-5.6 OSS 28mm F8 1/125)
    写真下:(α7 IV+FE 28-70mm F3.5-5.6 OSS 28mm F3.5 1/1600)

    永田さん撮影。横位置で背景も意識して撮影。永田さん撮影。横位置で背景も意識して撮影。
    (α7 IV+FE 28-70mm F3.5-5.6 OSS 28mm F3.5 1/2500)

    ボス 写真は、作品であると同時に「記録」でもあります。背景もしっかりと映しておくと、「あのときここに行ったなぁ」とか「こういうことがあったなぁ」というように、想い出として残りやすくなります。
    永田 横位置写真の場合、子どもの全身を映そうとすると、どうしても子どもが小さくなっちゃいますよね。そんなときはどうしたらいいでしょう?
    ボス 横位置の場合は、バストアップくらいにすると収まりがいいと思います。また、思いっきり身体のパーツに寄るのもおもしろいですね。

    永田さん撮影。お菓子を食べている手にググッと寄ってみました。
    (α7 IV+FE 28-70mm F3.5-5.6 OSS 300mm F5.6 1/800)

    永田 なるほど!全身ばかりじゃなくて、こういうカットも印象的でいいですね。

    ダイナミックに這いつくばって撮れ!

    永田 子どもを撮るとき、できるだけ目線を落とすようにしているのですが、どうしても上からの視点になりがちです。どうしたらいいでしょう?

    永田さん撮影。
    (α7 IV+FE 28-70mm F3.5-5.6 OSS 28mm F3.5 1/2500)

    ボス 思い切り下から煽って撮ると、ダイナミックな写真になります。ファインダーを覗きながら下から撮るなら、こうです!
    永田 こうですか!
    ボス そうです! 洋服が汚れても気にしない!!

    永田さん撮影。ローアングルから撮影。
    (α7 IV+FE 28-70mm F3.5-5.6 OSS 70mm F5.6 1/1000)

    ▲わらべカンパニー
    ボス 地べたに寝っ転がるのが難しいこともあるので、その場合は背面液晶を使って、下からのアングルを狙うのがいいでしょう。

    一部のデジカメは背面液晶が動くものがあります。ローアングルやハイアングルでの撮影の際に活用するといいでしょう。

    永田 最近のデジカメは背面液晶が動かせるものも多いので、こういうときに活用するといいんですね。

    永田さん撮影。
    (α7 IV+FE 28-70mm F3.5-5.6 OSS 31mm F3.5 1/2500)

    永田さん撮影。
    (α7 IV+FE 70-300mm F4.5-5.6 G OSS 143mm F14 1/250)

    永田さん撮影。背面液晶を使ってローアングルから撮影 。
    写真左:(α7 IV+FE 70-300mm F4.5-5.6 G OSS 72mm F18 1/160)
    写真右:(α7 IV+FE 28-70mm F3.5-5.6 OSS 70mm F5.6 1/200)

    望遠レンズでさりげない写真を

    永田 普段子どもを撮影するとき、標準ズームレンズと望遠ズームレンズを使うことが多いのですが、望遠レンズはどういうときに使うのが効果的ですか?
    ボス 望遠レンズは、被写体を大きく映せるという特徴がありますが、もうひとつ「遠くから撮影できる」というメリットがあります。つまり、被写体から撮影者が遠く離れることで、被写体がカメラを意識しなくなるんです。

    永田さん撮影。決めポーズの写真もいいが、もっと自然な写真も撮りたい。
    (α7 IV+FE 28-70mm F3.5-5.6 OSS 70mm F8 1/160)

    ボス 特にお子さんの場合、カメラを向けられると意識してしまってふざけてしまったり、ポーズを取ったり、嫌がる子もいると思います。でも、望遠レンズを使って遠くから撮影すれば、自然な表情の写真が撮りやすくなります。

    永田さん撮影。お菓子を食べているところを望遠レンズで撮影。自然な表情が撮れました。
    写真下(α7 IV+FE 70-300mm F4.5-5.6 G OSS 300mm F5.6 1/800)写真上(α7 IV+FE 70-300mm F4.5-5.6 G OSS 300mm F5.6 1/800)

    永田 なるほど。これは子どもの撮影だけじゃなくて、大人を撮影するときにも共通することかもしれませんね。

    写真が上手くなるにはたくさん失敗しよう

    永田 私はカメラ販売員としてカメラについて勉強したり、娘を撮影したりするのでカメラに触れる機会は多いほうだと思うのですが、もっと写真を上手になるためには、どんなところに気をつけたらいいのでしょうか。
    ボス 写真は失敗して上手くなっていくものだと思うんですよ。だからたくさん撮ってたくさん失敗するというのも重要だと思います。 でも、そこからどうしたらちゃんと映るのかを身体で覚えていくというのが必要ですね。いまのカメラはプログラムモードやオートモードできれいに撮影できると思うんですけど、マニュアルモードでシャッタースピードと絞りを自分で設定できるようになると、より表現の自由度が上がると思います。 あともうひとつ。撮影時に縛りを設けるというのもいいかもしれません。いまはズームレンズを使っていると思いますけど、「今日は28mmだけで撮る」とか「今日は50mmだけで撮る」と決めて、そこからレンズを変えないで1日撮影してみましょう。そうすると、自分が動いて構図を変える必要が出てきますし、「50mmならこのくらいの距離感か」ということがわかってきます。

    あらかじめ焦点距離を決めて1日撮影するといい練習になります。

    ボス 「24mmは広角なのでダイナミックに映るな」とか「70mmだと背景がぼけるな」とか、感覚的にわかってくると、撮影がさらに楽しくなると思います。
    永田 ズームレンズに慣れてしまうと、ファインダーを覗きながらズームしたりしてしまいますね。
    ボス できれば、それはやめたほうがいいですね。あらかじめレンズの焦点距離を決めてからファインダーを覗くという癖をつけたほうがいいでしょう。

    ワンランク上の子育て撮影を楽しもう

    永田さんは、カメラ販売員かつ娘さんを撮影する機会も多いということで、基本的な撮影術は身につけていましたが、プロカメラマンのアドバイスを聞いたことで、もうワンランク上の撮影術を手に入れたようです。

    初めは思い通りに撮れないことも多いかもしれませんが、たくさん撮影をしていくと、どんどん上手くなっていきます。ぜひ楽しみながらお子さんとの成長をいっぱい残してあげてください。

     

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    Profile
    永田さん
    カメラコーナー フォトマスター準1級
    永田さん
    ビックカメラ所沢駅店所属でカメラ担当。「お子さんを可愛く撮りたい」とお客さまからの相談があると、仕事のことをつい忘れて話し込んでしまうのが最近の悩み。学生時代からカメラが好きでフォトマスター準一級を取得している。
    三浦一紀
    三浦一紀
    フリーランスライター。デジタルガジェット系からエンタメ、ビジネス系まで幅広く取材・執筆・撮影などを行っている雑食性。デジタル系を扱うことが多いからか、アコースティックギターやフィルムカメラなどのアナログなものも好き。
    ボス(わらべカンパニー)
    写真
    ボス(わらべカンパニー)
    広告・雑誌・Web・動画等を中心に活動。2022年 わらべカンパニーを設立し、わらべ写真館を運営し始め『写真』=『記録』=『残す』の概念を目指し始める。わらべカンパニー
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