鉄道写真を撮ろう!太陽を味方につけると、もっと自由に楽しめる
遠くへ行かなくても、心を震わせる一枚は撮れる。
鉄道写真の魅力は、名所や希少車両だけにあるわけではありません。いつもの線路、見慣れた街並みも、太陽の角度と光線が変われば、まったく別の表情を見せてくれます。
本稿で提案するのは、光を主役に据えた「アマテラスな鉄道写真」。地元だからこそ何度も挑戦でき、失敗も次につながる。太陽を味方につけるだけで、鉄道写真はもっと自由に、もっと深く楽しめるのです。
ご近所から始める、「アマテラスな鉄道写真」
身近で楽しむ鉄道写真。多種多様な車両が、四季折々の風景の中を走り抜けていく日本は、まさしく鉄道写真を楽しむのにはうってつけな場所です。
「でも、なかなか遠くに撮影に行けないんだよなあ」「忙しくて時間も無いし、おカネもかかるし」…なんて、ぼやいていたりしませんか? 遠くに行くばかりが鉄道写真の楽しみではありません。
そこでまず、「ご近所でも充分わくわく」、昨日と違う写真の視点を見つけ出す「プラスアルファ」のスパイスをご提案します。
今回おすすめしたいのは「アマテラスな鉄道写真」。機会あるたびに、毎度神谷が一押ししているお手軽撮影。太陽ばかりではなく、光線にこだわった情景狙いをこう呼んでいます。
アマテラスとは、古代日本人が太陽を神とあがめて呼んだ言葉。「天照らす」万物の成長の源。我々もその末裔 (まつえい)。だから古(いにしえ)の日本人の心情を胸に、写真も光線にこだわってみたい。
思えば太陽はどこでも同じ、ですね。パタゴニアの大平原に沈む夕日と、アルプスの山々と、自宅の2階から見る夕日はみな同じ太陽。そう考えると、ものすごくお得な気がしませんか?
2) OM SYSTEM OM-1/M.ZUIKO DIGITAL ED 8~25mm F4.0 PRO/絞り開放/1/160秒/ISO2000
※日の出直前の空の色のグラデーションは、思わず見惚れる神々しさ。これは2025年の初日の出でした。こんな初詣も素敵では?
あなたの地元は、誰かの旅先
われわれにとってパタゴニアが遠いように、パタゴニアに住む人にとっては、神谷家近くの線路端に来るのはとても遠い。一度は行ってみたい神谷家の近所!と、思っている人もいるかもしれない。いない…かもしれませんが(笑)。
でも、「あなたの地元は私の旅先」なんです。自分ではあまりに見慣れすぎているがゆえに、「こんな地元の風景なんて…」などと考えてしまってはいけません。ほかの誰かにとっては「遠い憧れの・貴重で、素敵な目的地」なのですから。
地元ならば、さまざまなアングルや気象条件にチャレンジできます。思うようにいかなかったら、「また明日」。旅先ではこうはいきませんよね。
「近所で『お気に入り』を探す」「何度も行ってみる」というのは、身近でコストもかからない、写真の上達の近道です。地元だからこそ、たくさんのトライもできる。
とにかく、まずは行ってみましょう。なぜなら、いま見ている空、いま浮かんでいる雲には、もう二度と出会えないのですから。
怠惰な私は早起きが辛いので、たいていは夕日を撮りに行きます。運悪くアングルに恵まれなかったときは、眺めて帰ってくるだけ。でも都会で忙殺される毎日、どれだけの人が日頃夕日を眺めていますか?こんな時間も、ときには大切。
太陽を読むための、2 つの無料ツール
「アマテラスな鉄道撮影」を撮るために用意したいツールは、「日の出pics」と「SCW 天気観測・予測」の2つ。どちらも無料。
日の出入りを教えてくれる「日の出pics」
地図上でその日の日の出・日没の方角を教えてくれます。有料無料問わず、さまざまな太陽位置アプリを試してみましたが、基本に戻ってこれが一番「撮影地開拓」には便利に感じました。見ると夏も冬も日一日、太陽の角度も日の出・日没の時間も、結構大きく変わっていくのがおわかりになるでしょう。
「アマテラスな夕日」を撮るための2つの方法
「アマテラスな夕日」を撮るには、太陽を背負うか・向かい合うかによってざっくりと「ギラ」「シルエット・逆光」の2つの分類があります。「ギラ」は、文字通り太陽光線で車両が印象的に光るアングルを指します。
晴れの日、日没の太陽の位置と、対象物から垂直に引いた直線を挟んだ対照角にあたる位置でカメラを構えていれば、必ず光ります。太陽は動くので、それに合わせて位置も移動。列車のどこを光らせるか、季節によって変わってくる立ち位置の違いも楽しみのひとつです。
作例は、1月12日 の日の出・日没位置(赤線)。この日の、この場所での日没は16:50。しかし実際は日没とは「太陽が水平線に完全に没した時刻」で、かつ地上には山や建物などの障害物も多いため、実際には「マイナスxx 分 」になります。
3) 鉄橋=撮影対象物から垂直に引いた線(青点線)との対照角の位置、赤太矢印の場所が「ギラポイント」です。太陽は東から西(地図上 右から左)に移動します。
「人間ひまわり」みたいなものです。これによって「車体のどこを光らせたいのか」も事前に決めることができます。日がかげる直前、上り特急電車が鉄橋を轟々 (ごうごう)と渡ってきました。橋の左手に位置を移したあたりでは立ち位置が線路のすぐ横になり、西(左)へ移動するにつれて太陽の動きに合わせて線路から離れる方向へ進めばOK。
1/25秒のスローシャッターで流します。狙った位置でぴかっと光って、私の好きな「京王電鉄7000系」電車が一段と魅力的に見えました。その直後、待っていたかのように陽は翳って終了の合図。愛機を労わってバッグに仕舞い、家路につきます。うーん。満足。この作例は16:23。
4) OM SYSTEM OM-1/M.ZUIKO DIGITAL ED12~100mm F4.0 IS PRO/絞りF10/1/25秒/ISO200
太陽の動きとあわせて、「ギラ位置」を探します。流し撮りのポイントと光らせたい部分をイメージして、あとは狙いの電車が来るのを待つばかり。
ちなみに太陽光線は大気中を通過する距離が長いほど、青などの波長の短い光は拡散されてしまい、波長の長い赤系の光ばかりが届くようになります。「通過する距離」が一番長くなるのが、日没直前の光線なんです。見逃せないですよね。
4-2) OM SYSTEM OM-1/M.ZUIKO DIGITAL ED12~100mm F4.0 IS PRO/絞りF4.5/1/30秒/ISO200
16:33.わずか10分後の光線。「日の出PICS」の表示日没時刻は16:50でしたが、太陽はこのときちょうど山影へと沈み、すでに輝きは失われてしまいました 。
逆光が季節を主役にする ― フレアは敵ではなく演出
逆光で一段と映えるものといえば、ススキと紅葉。
通りがかりにススキの群生を見つけました。さっそく「日の出PICS」で日没位置を確認してみます。左手に大きなスポーツプラザが立地しており、その先にはースーパーマーケットが。太陽が建物の陰から顔を出し、逆光にススキが美しく照らす。そして翳るまでの時間はわずか8分。
「ギラ」対象になった電車は、上り1本だけでした。普段はなんでもない場所が、太陽がこの角度になる、わずかな日と時間だけ素敵な撮影地になり、そしてうたかたの幻のように消える。
気がついていないだけで、まだまだ無数に素敵な場所はあるのでしょう。そして人知れず、現れ消えているのかもしれません。それを探し出すのも「アマテラスな鉄道写真」の楽しみ。
5) OLYMPUS OM-D E-M1mark3/M.ZUIKO DIGITAL ED 8~25mm F4.0 PRO/絞り開放/1/500秒/ISO200
秋の夕日に、照る山もみじ。ススキとともに紅葉は「逆光」で撮りたいものの筆頭です。日没位置と時間と紅葉具合。「日の出PICS」はGOOGLE MAPとも連携(切り替え可能)になっているので、現地の地形や障害物の有無もある程度予測できます。まだ見ぬ旅先の「アマテラスな情景」を思いうかべながら、撮影に適した地形や方角などを探すのも楽しい時間です。
6) OM SYSTEM OM-1/M.ZUIKO DIGITAL ED 8~25mm F4.0 PRO/絞りF5/1/400秒/ISO200
逆光で太陽INのアングルだと、どうしても気になるのはゴーストやフレア。どんなに優秀なレンズでも、ゼロにはできません。ズームレンズであればなおさら。そこでもう「フレアは出るもの」と割り切って、影響が小さくなる場所に出してしまいます。超広角レンズだと、ほんの数p、カメラを振っただけで出方、位置などは大きく変化します。
雲の動きを予測してくれる「SCW 天気観測・予測」
7)
天気予報は「晴れ」だったのに…なぜ日没方向にだけ 厚い雲が…いままでこんな経験は数知れず。お読みいただいている方の中にも、悲しい思い出はいくつもあるのでは?
おすすめは「SCW 天気予報・予測」。1時間ごとの雲の動きをスーパーコンピュータで予測したものを表示してくれます。撮影地が曇りであっても日没方向に雲がない(画面では黒くなる)状態ならば、撮影にはむしろ好都合。「日の出PICS」の太陽位置図をこの表示に重ねながら、目的地(撮影地)を臨機応変に変更して最適な場所を選ぶこともできます。
詳細モデル(39時間先まで予測)と広域(264時間)」の切替えのほか、雲以外にも気温・風速(風の方向)を表示することも可能。有料版(308円/月) だと、より細かく、かつ長期の予測も得られますが、まずは無料版を活用してみましょう。
8) OM SYSTEM OM-3/M.ZUIKO DIGITAL ED 100~400mm F5.0-6.3 IS/絞りF10/1/500秒/ISO320
京王電鉄・多摩川にかかる鉄橋はもう一つあります。こちらは拙宅にさらに近い場所。鉄橋は河川敷の途中でガーターからトラスになっており、アングルで変化もつくので「シルエットサイド」でいろいろ楽しめます。
一連の作例は「SCW 天気予報・予測」も活用し、雲の出方を待って撮りに行ったものです。
夕方近く、空を見上げて「いい雲に出会えるかな」と期待して川原に向かいます。なんと安上がりな…だけど楽しい時間。
同じ場所から見える違う風景
以下の4枚の作例は何年かにわたって神谷が撮ってきたものですが、季節や使用レンズ(画角)は異なるものの、じつは立ち位置はほとんど同じ。最大で30mずれているかな?というところ。さまざまな表情を狙えるのも地元ならでは。
9) OM SYSTEM OM-1/M.ZUIKO DIGITAL ED 40~150mm F2.8 PRO/絞りF9/1/800秒/ISO200
10) OM SYSTEM OM-1/M.ZUIKO DIGITAL ED12~100mm F4.0 IS PRO/絞りF8/1/1250秒/ISO200
11) OLYMPUS OM-D E-M1mark3/M.ZUIKO DIGITAL ED 40~150mm F2.8 PRO/絞りF9/1/1600秒/ISO200
12) OLYMPUS OM-D E-M1mark2/M.ZUIKO DIGITAL ED12~100mm F4.0 IS PRO/絞りF5.6/1/1250秒/ISO200
夕日が沈むと、静かに夜がやってきます。めったにない、無風の夜は水かがみ。
13) OM SYSTEM OM-1/M.ZUIKO DIGITAL ED12mm F2.0 IS/絞り開放/1/160秒/ISO12800
夏場には花火も打ちあがる。こちらもカタチを変えた「アマテラス」といえるかもしれない。
14) OM SYSTEM OM-1/M.ZUIKO DIGITAL ED 40~150mm F2.8 PRO/絞り開放/1/60秒/ISO10000
鉄道写真をもっとオトナの趣味に
家の近所だってまったくOK。郷里を愛し、鉄道を愛し、風光に感謝する。どこであろうと、この気持ちを忘れずに。「鉄道写真をもっとオトナの趣味に」。私はそう願っています。そうすれば写真の神様も気まぐれに微笑んでくれるかもしれません。心掛けたいものです。
そして。思えばカメラとは、だれもいない無人の荒野であったとしても、そこで撮影しようとする自分がいる限り、その感動した風景をともに見てくれていた、かけがえのない相棒のような存在です。いろいろ連れだして、人生にとって大切な時間をともに過ごしましょう。カメラだってきっと、そう願っているに違いありませんから。
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