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今日からはじめる飛行機撮影ガイド!展望デッキから撮ってみよう

2025/06/06
今日からはじめる飛行機撮影ガイド!展望デッキから撮ってみよう

飛行機が空を舞う姿は、スピード感と迫力が魅力の人気被写体。特に飛行中の一瞬を写し取るには、ちょっとした工夫とカメラ選びがポイントになります。

スマホでも撮影はできますが、よりダイナミックなシーンに挑戦するなら一眼カメラが心強い味方。望遠ズームや高性能なAF機能が、飛行機の魅力を余すことなく引き出してくれます。まずは空港の展望デッキで、飛行機写真の世界に足を踏み入れてみませんか?

目次

    飛行機撮影、いま人気急上昇中の注目ジャンル!

    最近は写真撮影の主要な被写体ジャンルとして挙げられることも増え、休日の主要撮影スポットはカメラを持った多くの人で賑わうなど人気の被写体です。

    ただ、高速で飛翔する飛行機はピントを合わせ、機体をブラさずしっかり撮ることにはじめの頃は難しさを感じるかもしれません。しかし、カメラの設定を丁寧におこない慣れてくれば大丈夫です。難しいからこそ、しっかり撮れたときに嬉しさを感じるのが飛行機撮影。まずはこの「嬉しさ」を体感し、飛行機撮影の醍醐味を感じていただきたいと思います。

    筆者が2025年現在、飛行機撮影の相棒として購入し旅をともにしているCanon社のEOS R1とEOS R5 MarkU。

    飛行中の一瞬を狙うなら一眼カメラが最適!

    飛行機を撮影するために必要なカメラですが、止まっている機体やゆっくり走行する機体を撮影するだけならスマホのカメラ等なんでもOKです。

    しかし、飛行機といえば一番の醍醐味は飛んでいるシーン。これらのシーンをしっかり撮りやすいカメラとして、レンズ交換式の一眼カメラをオススメします。その理由として挙げたいのが、まず望遠レンズを使えること。飛行機は警備上の観点などから機体に近づくことが難しい被写体でもあるため、望遠レンズで光学的に被写体を引き寄せられるのが魅力となります。

    レンズは単焦点レンズよりズームレンズがオススメ。飛行機撮影は前述の警備上の観点などから撮影スポットや立ち位置が限られることが多く、機体をズームレンズで引き寄せたり遠ざけたりできた方が何かと便利ということが理由になります。

    カメラの性能では、オートフォーカス(以下AF)性能や連写性能、手ぶれ補正の性能が重視されます。高速で飛ぶ被写体であるため、ピント合わせはカメラのAF性能に頼ることが多く、たとえば瞬間を切り撮るようなシーンでは連写性能が重視されます。また、フェンス際など手持ち撮影が多くなる飛行機撮影では、手ぶれ補正能力を問われることが少なくありません。

    とはいえ、基本的にレンズ交換式の一眼カメラならエントリー機種でも十分に飛行機撮影を楽しむことが可能です。すでに所持されているカメラがあれば、まずそちらを持って飛行機を撮りに出かけてみましょう。

    釧路空港の展望デッキ。ワイヤーフェンスとして飛行機撮影に一定の配慮をしてくれています。

    まずは展望デッキからはじめよう!

    飛行機撮影をする場所は、基本的に空港または空港周辺になりますが、まずは空港にある展望デッキをオススメします。日本の空港にはほとんどの空港にこの展望デッキが設置されています。見送りや飛行機見学のために設けられた施設ですが、飛行機撮影にも一定の配慮がなされている場所が多く、ワイヤーフェンスや撮影用の窓などはそのひとつ。

    お手洗いや自動販売機などが設置された展望デッキも多く、居心地良く撮影を楽しむことができます。滑走路や駐機スポットに面している展望デッキが多く、飛行機の動きを見渡しやすいのが特徴。

    ワイヤーフェンス越しでの撮影。レンズ先端をなるべくワイヤー部分に近づけることで写り込みなど撮影上さまざまな弊害を避けています。

    公共交通機関を利用して行きやすいのもオススメポイントとなります。フェンス越しでの撮影では、あまりレンズの先端がフェンスから離れないように撮影するのがコツ。特に広角レンズではフェンスが写り込みやすいので注意が必要です。

    フェンスが写り込んでしまった画像。うっすらではありますが避けたいところ。光芒(こうぼう)もフェンスの影響を受けています。Canon EOS-1D X Mark II+EF300mm f/2.8L IS II USM f2.8 1/30 ISO6400 WB:AUTO
    スポッティングカット。型式(かたしき)写真ともいわれるコレクション性の高い撮り方です。 Canon EOS R7+RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM f9 1/640 ISO100 WB:AUTO

    さまざまな楽しみ方、撮り方のある飛行機写真の世界。もちろん、ジャンルにとらわれることなくご自身の好きな撮り方をすれば良いですし、それこそ写真の醍醐味なのですが、ここでは説明しやすいようにジャンル分けさせていただきます。

    飛行機撮影の王道「スポッティングカット」

    まずは機体全体の真横を撮影する「スポッティングカット」。型式写真とも言われるこちらの撮り方は、飛行機写真の中で最も歴史が長く、世界的に楽しまれている撮り方です。英国発祥と言われ、黎明(れいめい)期はカメラを用いず機体番号を書き記していました。普段飛来しない機体を撮れたときや珍しいカラーリングの機体を撮れたときなどは撮影の醍醐味を味わえる嬉しい瞬間です。

    写真の重要な目的である「記録」を担うジャンルであり、「あのヒコーキ撮ったよ」という場合は、基本この撮り方で撮られた写真である場合が多くなっています。

    機体を画角の四隅ギリギリまで引き寄せて撮影することが多い迫力系カット。機体が持つ迫力を表現します。 Canon EOS R5 MarkU+RF600mm F4 L IS USM f8 1/1000 ISO200 WB:AUTO

    迫力満点!機体の一部にフォーカスする「迫力系カット」

    機体全体を画角に収めるスポッティングカットに対し、超望遠レンズなどを用いて機体の一部を切り取るのが「迫力系カット」。機体のみで画角の大部分を埋め、迫力を感じさせるような作品を構築します。超望遠レンズの狭い画角の中で瞬時にタイミングを合わせないと、思っていたシーンを撮り逃すことも少なくありません。

    難易度が高く、撮影技術とともにカメラの性能が問われる撮り方です。機体が四隅のギリギリまで迫り、ピントがバッチリとキマった一枚に喜びを感じる撮り方。飛行機写真作品として採用されることも多い撮り方です。

    スチル写真に動感を与える撮影テクニックとして著名な流し撮り。 Canon EOS R6 MarkU+RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM f11 1/20 ISO100 WB:AUTO

    動感を演出!スローシャッターで魅せる「流し撮り」

    スチル写真に動感を与える撮り方として「流し撮り」も盛んに撮られています。スポッティングカットと同様に機体真横あたりをとらえ背景をスローシャッターで流す撮り方や、迫力系のように機体に寄りつつ背景を流す撮り方などさまざまです。

    日没~夜間の手持ち撮影において動いている機体を撮影する際は、この流し撮りの技術が必須となります。背景が盛大に流れるようなスローシャッターを切りつつ、機体がしっかりと止まっている一枚を得られたときに嬉しさを感じる撮り方。映える背景選びも重要な撮り方です。

    機体が小さくとも風景の中で飛行機ができるだけ目立つようにする工夫が必要。構図のバリエーションが多く撮り手のセンスがもっとも問われるジャンルとも言えます。 Canon EOS R5 MarkU+RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM f7.1 1/2000 ISO1600 WB:日陰

    風景と飛行機の美しい共演「風景系カット」

    近年、人気急上昇中なのが美しい風景と飛行機を一緒に撮る「風景系カット」。四季折々の草花と機体を一緒に撮ったり、その土地ならではの風景と一緒に撮ったりします。風景写真と同様に構図のセンスが問われる撮り方。撮り手によって大きく違いの出る撮り方です。思い描いていた条件で美しく切り取れたときなどに嬉しさを感じます。フォトコンテストなどで入賞しやすいジャンルでもあります。

    スチル写真の醍醐味のひとつである一瞬を切り取る撮り方。見る方に大きな感動や驚き、衝撃を与えます。 Canon EOS R7+RF600mm F4 L IS USM+EXTENDER RF1.4x f6.3 1/1600 ISO3200 WB:AUTO トリミング

    またとない一瞬を切り取ることもスチル写真の大きな魅力。飛行機の描き出す「瞬間」を作品として残すこともまた楽しみのひとつとなります。例えば月に機影が通過するその一瞬や、盛大にヴェイパー(翼上から発生する雲など)を巻き上げるシーンなど。

    撮影条件の読みや狙い、それに運やカメラの性能や運に頼るところも多い撮影ですが、動体撮影ならではの一瞬は写真を見てくださる方からの反応も随一。難しい撮影ですが、ゆくゆくはぜひチャレンジして欲しい撮り方です。

    スポッティングカットを撮ることにより主に風向きによる滑走路の運用方法の変化など、飛行機や空港の運用方法など撮影に役立つ知識もどんどん覚えることができます。 Canon EOS R5 MarkU+RF70-200mm F2.8 L IS USM f5.6 1/640 ISO1600 WB:AUTO

    飛行機撮影を極める第一歩は“真横ショット”から

    飛行機撮影のジャンルはこれ以外にも飛行機に人を組み込んでポートレートを撮ったりとさまざま。ご自身の好きなように撮るのが最も良い方法となりますが、まずはじめに撮るなら前述の「スポッティングカット」から入ることをオススメします。

    「スポッティングカット」は最も歴史のある撮り方ですし、この撮り方をマスターすることにより飛行機の基本的な動きがわかるため、飛行機撮影の違うジャンルへ進む時に必ず役立ちます。撮り方を学ぶと同時に、被写体のことも学ぶのが近道とも言えます。

    まずは機体が止まっているシーンやゆっくり走行しているシーンから撮影してみましょう。撮影の難易度としては概ね離陸>着陸>タキシング>駐機という順番。 Canon EOS R6+RF70-200mm F2.8 L IS USM f8 1/640 ISO100 WB:AUTO

    飛行機撮影は“光”と“スピード”のコントロールがカギ

    ほぼ屋外での撮影となる飛行機撮影。展望デッキへは晴天の日であれば滑走路上の機体が順光で撮れる時間にまず足を運んでみましょう。飛行機撮影での順光状態とは、機体側面に太陽の光が当たる状態のこと。撮影者である自分の後方に太陽がある状態とも言います。

    この順光状態こそスポッティングカットの基本。いまはWEBなどでもその場所がいつ順光なのか調べることができます。そして、まずは駐機(停止)状態の機体やゆっくりと走行している機体から撮影してみましょう。機体の真横や真横あたりを撮るのも、機体の状態により難易度が異なります。

    シャッタースピード

    駐機状態からスピードが上がるにつれ難易度が上がり、離陸シーンは格段に難易度が高いと言っても過言ではありません。カメラの露出設定は、まずシャッタースピード(以下SS)の設定に注意を払います。

    使用しているカメラの画素数や撮影時の焦点距離にもよりますが、駐機しているシーンならSSは最低1/250~、ゆっくり走行しているシーンなら最低1/500~、離着陸シーンなら最低1/1000~くらいに設定しましょう。

    露出モード

    露出モードは全自動(Pモードなど)でも構いませんが、慣れてきたらSSを任意で設定できるTv(SS優先モード)やM(マニュアル)を使用しましょう。カメラの背面液晶やEVFで明るさを見た上で露出補正をプラス・マイナスするのが良いでしょう。

    AF

    AFの設定ですが、駐機~ゆっくり走行しているシーンを撮る場合は、シャッターボタンを半押しにしたときに機体にピントを合わせてくれるONE SHOT AFモードにするとよいでしょう。また、着陸や離陸シーンを撮る場合は、シャッターボタンを半押しにしている間は、被写体にピントを合わせ続けてくれる追従AFモードに設定するのがオススメです。

    機体の前後に画角の約1割程度ずつアキを設け、機体全体を画角の真ん中あたりに入れてシャッターボタンを押し撮影をしましょう。慣れてきたら、いよいよ飛行機らしい空を飛んでいるシーンにチャレンジしてみてください。高速で飛ぶ飛行機をしっかり撮影できたとき、この撮影の面白さをより感じていただけると思います。

    自分なりに撮れたときの嬉しさ、撮影へ赴く道すがらのわくわく感、多くの人に見てもらえたときの感動など…。飛行機撮影の楽しさは無限に広がっています。  Canon EOS R8+RF100-400mm F5.6-8 IS USM f9 1/1000 ISO100 WB:AUTO

    撮ったあとはシェアして広がる楽しさを!

    撮影後にも楽しみはあります。せっかく撮ったご自身の作品ですから、ぜひ多くの人に見てもらいましょう。以前はコンテストや雑誌に投稿し、入選してはじめて自分の作品が多くの人に見てもらえる…という世界でしたが、現在はSNSなどがあります。自分の撮った作品を自分の好きなタイミングで発表することができ、以前に比べより簡単に飛行機撮影仲間と繋がりを持つことができます。

    まずはお手持ちのカメラとレンズを持って近くの空港へ。楽しさを感じていただけたなら、どんどんいろいろなジャンルの飛行機撮影にチャレンジしてみてください。その過程でより飛行機撮影に適したカメラやレンズが欲しくなるかもしれません。そのときはぜひ、カメラとレンズに詳しいビックカメラのスタッフさんにご相談ください。

     

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    Profile
    A☆50/Akira Igarashi
    文・写真
    A☆50/Akira Igarashi
    航空写真家。「ニッポン全国空港放浪記」著者。年間最高約144日を車中泊や下道を駆使した放浪ヒコーキ撮影に充てる。JAL公式カレンダー、大手航空会社や大手カメラメーカーの公式撮影を担当。日本写真家協会会員。
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