新生FMVのノートPC、FMV Note Cシリーズはシンプルさが魅力の”今”な1台(試用レビュー)

日本のパソコンメーカーの中では老舗の一つとなる富士通クライアントコンピューティング(FCCL)。そのFCCLは1993年から続くFMVブランドをリニューアルし、その象徴となる新製品「FMV Note C」を発表しました。LIFEBOOKなどのシリーズ名を廃止し、ロゴも刷新されたこのFMV Note CはどんなノートPCなのか、BIC WAVE編集部のIT担当であるいそっちがレビューします。
製品の概要
いつものようにまずは仕様からお伝えします。
今回レビューする「FMV Note C」シリーズは、FCCLのブランドリニューアルを象徴する製品として発表されたとのことで、若年層の価値観にフォーカスし、デザインやアプリケーション、ユーザーエクスペリエンスを見直した「あたらしいFMVの象徴」なのだそうです。
結果的に余計なコネクタ類などは持たず、極力シンプルな仕様となっているようです。
主な仕様
モデル |
FMV CZ-K1 スモークグレー FMVCZSK1SA |
価格 |
185,680円+P10%(税込、2025年6月10日現在) |
カラー |
エクルベージュ、ミストグリーン、スモークグレー* *色の違いはボディではなくキーボードのみで、ボディはすべてシルバー |
OS |
Windows 11 Home 64ビット |
CPU |
インテル Core Ultra 5 プロセッサー 134U (インテル HTテクノロジー対応) 動作周波数:Pコア 最大4.4GHz、Eコア 最大3.6GHz、低消費電力Eコア 最大2.1GHz コア / スレッド数:12コア(Pコア 2、Eコア 8、低消費電力Eコア 2) / 14スレッド キャッシュメモリ:12MB |
グラフィックス機能 |
インテル グラフィックス(CPUに内蔵) |
AI機能 |
インテル AI Boost |
ディスプレイ |
13.3型フルフラットファインパネル(WUXGA) |
メインメモリ |
16GB (デュアルチャネル対応 LPDDR5X-6400) |
記憶装置 |
SSD 256GB (PCI Express 4.0 x4接続) |
インターフェース |
USB-C:左側 (USB3.2 Gen2x2)×2(USB Power Delivery対応、 DisplayPort Alt Mode対応) |
オーディオ:ヘッドホン・ヘッドセット兼用端子(φ3.5mmステレオ・ミニジャック)×1 |
|
オーディオ・スピーカー・マイク機能 |
[オーディオ機能]チップセット内蔵+High Definition Audioコーデック |
入力機能 |
[キーボード]キーピッチ約19mm/キーストローク約1mm/82キー、JIS配列準拠(かな無し)日本語版キーボード |
Webカメラ |
207万画素フル HDカメラ内蔵 |
サウンド機能 |
アレイマイク内蔵 |
通信機能 |
IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax/be (Wi-Fi 7) Bluetooth v5.4 |
Officeソフト |
Microsoft Office Home & Business |
質量 |
約1,187g |
サイズ (突起部除く) |
297mm×13.9×210mm |
消費電力 |
[消費電力(標準時/最大時/スリープ時)]約5.6W/約45W/約0.5W |
注意点としては、3色のカラーが用意されているこのモデル、色の違いはボディではなくキーボードのみ、というところ。ボディの外観はすべてシルバーである点は気を付けてください。
なお、今回のレビューはスモークグレーのモデルで行っています。
若い世代をターゲットとされているが、シンプルなノートが好きなら誰にでもフィット
結論としては、シンプルに心地よく使えるノートPCと言えますね。メーカーが『若年層が「本当にほしいもの」を形にしました』という言葉を良い意味で裏切る、誰もが普段使いできるノートに仕上がっているかと思います。
ポイントとしては以下の通り。
- A4ジャストサイズでカバンなどへの収まりが抜群
- 満員電車で圧迫を受けてもすぐにはへこまない丈夫なアルミ筐体
- 画面キャプチャなどよく使う機能を使いやすく呼び出せる独自ツール
- キーボードはストローク浅めで好みを選ぶかも
- 約1.2kgの重量は軽量モデルが増える中ちょっと重さを感じる?
- Office同梱の分価格はやや高め、外観の近いApple MacBook Airより割高感あり
- シンプルさを追求した結果USBポート2か所、HDMI端子もなしは賛否ありそう
- Copilot+ PCには定義されていないがAIにも対応したプロセッサで今後登場するAIアプリにも期待
シンプルを求めるユーザーには是非手に取ってみて欲しいマシンです。逆に言うと、あれもやりたい、これもやりたい、拡張性は、といった人には物足りないと感じられるかも知れませんね。
それでは特徴を見ていきたいと思います。
それぞれの推しポイントについて
FMV Note Cの外観

「FMV」のロゴも刷新されたこのモデル、外観は個人的にAppleのMacBook Airにかなり近い路線だなと正直感じました。もともとAppleがミニマルなデザインを追求しているところがあり、今回のFMVリブランディングも「シンプル」を重視しているようなので、近い方向性になるのも理解できます。
ポジティブに考えるとMacでWindowsを動かすことが実質的にできない現在、シンプルな外観のノートPCが欲しい人の選択肢としてかなり有望な選択肢になるのではないでしょうか。
また、このモデルの特長として「拡張性よりもシンプルさ」を重視しているという点も押さえておきたいところです。

サイドから見ると、端子が並んでいる側でもこれだけシンプル!
USB3.2 Gen2x2とUSB PD(Power Deliverry)、それにDisplayPortによる外部ディスプレイ出力に対応したType-CのUSB端子が2つと、ヘッドホン・ヘッドセットに対応したステレオミニジャック、以上!
そして逆のサイドは本当に何もありません!

かろうじて上面のロゴマークが見えるのみというシンプルさです。
HDMI端子も、SDカードスロットも、Type-AのUSB端子もない、という割り切り方です。
FMV Note Cの質感

写真で見るとかなり「シルバー」な感じが強く見えるかも知れないですが、手に持ってみるとサラッとしていて結構マットな質感です。手から滑り落ちることもなさそうで、持ちやすいという印象です。
また手垢が全くと言っていいほど付かないのは好感が持てます。
FMV Note Cの画面の見やすさ

ディスプレイについては有機ELではなく液晶を使っているようですが、「フルフラットファインパネル」という名の通り、画面のエッジ部分と額の部分に継ぎ目がなくガラスでフラットに見え、一目で美しく感じます(MacBook Airのディスプレイも同じような加工がされているので、それで似た印象を持つのかも知れないです)。
ただ、クッキリした画面が見える一方、グレア液晶のため映り込みや反射は結構あるので、映り込みが気になる人は注意が必要かも知れません。
FMV Note Cのキーボード

ノートPCのキーボードはメーカーによってだけでなくモデルによっても随分異なりますが、このモデルに関してはまず外観に特徴がありました。
通常日本語キーボードでは「無変換」「カタカナ・ひらがな」と書かれたキーがスペースキーの両隣に陣取っているのですが、それが「Eng/Num」「Roman」と表記されています。また英字の下に印字されているかなの表記もありません。そう、このキーボードには日本語が一切書かれていないのです。
今や「かな」表記をそのままタイプする「かな入力」を使う人はほとんどいない、と聞いたことがあるので、そういうご時世を反映したのかもしれませんが、それだけで随分印象が変わりますね。

次に実際のタイプ感ですが、これもかなり特徴的です。
上の写真でキーの高さが低めであることはお分かりかと思いますが、実際にキーを打ってみると、キーストロークが浅く、キーを押して跳ね返るときのいわゆる「打鍵」感もペタペタした感覚です。
デスクトップのしっかりした打鍵感が好きな自分としてはちょっと肩透かし感のある印象なのですが、こだわらない人にはむしろ打ちやすい、のかな…これは実際に店頭などでキーを叩いてもらうのがいいかと思います。
FMV Note CのメモリとSSD容量
このモデルのメインメモリ(RAM)は16GBとなっており、最近のノートPCのトレンド通りですね。8GBだとちょっとした操作でも複数アプリを動かしているともたついたりしますが、このモデルはそういう問題はなさそうです。
SSDについては256GBと最低限の容量は担保されている、というところでしょうか。
スマートフォンのストレージサイズでも256GBを搭載することも少なくない昨今の流れからすると、スマートフォンの動画をどんどん転送していく、といった使い方をするとやや心配な容量ではあります。MS Officeで作成するような資料を保存するような使い方がメインであれば問題ない容量かとは思いますが、SDカードスロットがなく、またUSBメモリや外付けSSDなどを接続するにしても貴重なUSBポートを消費してしまうことになるので、ここは注意してください。
気になる性能などは実際どうなの?
基本性能と仕様を他機種と比較
主な仕様
モデル |
モデル |
FMV C |
Surface Pro |
Zenbook SORA |
仕様 |
CPU | Intel Core Ultra 5 プロセッサー 134U |
Qualcomm Snapdragon X Elite | Qualcomm Snapdragon X X1-26-100 |
メモリ | 16GB | 16GB | 16GB | |
ストレージ(SSD) |
256GB |
512GB |
512GB |
|
ディスプレイサイズ | 13.3インチ | 13.0インチ | 14.0インチ | |
ディスプレイ解像度 |
1,920×1,200 |
2,880×1,920 |
1,920×1,200 |
|
拡張ポート |
USB3.2 Gen2 (Type-C/Gen2×2) x2 |
USB 4.0対応 |
USB4×2、USB3.2 (Type-A/Gen2) ×1、HDMI |
|
重量 | 約1,187g | 895g* *キーボード除く |
899g | |
MS Office付属 |
付属 |
付属 |
付属(モデルによる) |
|
GeekBench6 スコア |
SingleCore |
2,070 |
N/A |
2,101 |
MultiCore |
7,950 |
10,991 |
10,090 |
|
GPU(Open CL) | 16,962 | 18,762 | 9,663 | |
FF XIVベンチマーク | 高品質(ノートPC) | 3,747 | 5,874 | 4,393 |
税込販売価格 |
2025年6月10日時点 |
185,680円 |
271,920円 |
179,800円 |
パフォーマンスについては、先行してレビューしたクァルコムのプロセッサを搭載した2モデルよりもベンチマークツール上は低い、という結果が出ています。
GeekBench6については、マルチコアのスコアが10,000を超えると「高性能」PCに属する、というのが一つの目安かと思いますので、その枠には届かないことになります。ただ「普段使い」を想定すると十分な性能ということは言えるでしょう。
一方、例えば価格帯の近いZenbook SORAではType AのUSBポートが1つ余分に付いていたり、SSDの容量が512GBといったアドバンテージがあります。
また、冒頭でも述べた「スタイリッシュなノート」として定評のあるApple Macbook AirはMicrosoft Officeを別途購入すると価格は大体揃い、SSDも未カスタマイズで256GBと同じですが、こちらもUSBポートとは別に電源用ポートがあります。
この辺り、仕様面での凹凸と価格のバランスで何を重視するか、というのがポイントになってきそうです。
グラフィック性能

PCのレビューでは毎回ファイナルファンタジーXIVのベンチマークスコアも確認しているので、この機種でも確認してみました。
結果は「高品質(ノートPC)」で4175。特別高い数字ではありませんが、フルHDで一応遊べるよ、というスコアかと言えます。もともとグラフィック性能をウリにしているモデルではないので、詳しく触れるのは止めておこうと思いますが、ちょっと気になったところはありました。最初3,000を切る数字が出て「???」となり、Windows Updateを適用して数字が1,000以上上昇したり、「高品質」より負荷が低いはずの「標準品質(ノートPC)」で3,500前後の数字が出たりと、いま一つ安定した数字が出ない印象がありました。新しいタイプのプロセッサではグラフィックドライバが頻繁に更新されたりもしますので、皆さんWindows Updateは怠らないように注意しましょう。
音はどんな感じ?
最近はノートPCでも音にこだわったモデルが多い印象ですが、このFMV Note Cの再生音はなんというか「普通」でした。
一言で表すなら「アルミ筐体ノートPCらしい音」です。
クリアでカチッとした音で、高域はちょっとシャカシャカします。そして低音域は正直出ていません。人の声の様な中域についてはハッキリ聴こえるので、その辺りを重視した設計なのでしょうね。音楽好きの自分としてはもう少し頑張って欲しかったところではありますが、音楽はイヤホンで聞く、という人なら気になるポイントではないかも知れません。
バッテリー持ちは実際どう?
過去にレビューしたPCは、主にArmプラットフォームのCPUを採用したモデルが多く、その特徴としてバッテリー性能がありました。
今回レビューしたFMV Note CではIntelの最新プロセッサである、Core Ultra 5 プロセッサー 134Uを搭載していますが、こちらのプロセッサはベースパワー*が9wと大変低い数字に抑えられています。
そこで実際の使い方に近い環境でバッテリー消費の感じを試してみました。
EdgeブラウザでYouTubeにて4K動画を再生させつつ、タブは8つ展開。同時にWord、Excel、Powerポイントでテンプレートから新規作成した文書を開いた状態としました(この時点でCPU負荷は3~6%、GPU負荷が30%といったところです)。

画面の明るさはデフォルトの70、自動スリープはなし、という設定で1時間回してみたところ、80%の残量だったバッテリーが68%となりました。
この計算で行くと、100%のバッテリーが0%になるのに8時間強かかるということになりますね(実際はバッテリーが30%を切ったら省電力機能が働くといった設定もあるため、あくまで単純計算では、という話です)。
Intel系のCPUはArmプロセッサより消費電力が高くて、といった分かりやすい話ではなくなっているのがややこしいですが、ことバッテリーの持ちに関して通常利用で心配する必要はなさそうです。
*ベースパワー:ベースパワーは、CPUが通常動作時に消費する電力量の目安。第12世代インテルCoreプロセッサ以降で使われており、TDP (Thermal Design Power)と同様の指標となる。
ACアダプターはどうなの?
Zenbook SORAでも確認したACアダプターの大きさ、こちらも気になったので確認しておきましょう。
一緒に写っているのはApple iPhone SE2、そしてエレコム社のPD65Wまでの給電に対応するアダプターです。
いつも充電できる環境を担保したい人にとっては、ACアダプターの大きさも切実な問題ですよね。

ACコード部分も含めて考えるともう少し小型であってほしいところですが、前段で紹介したバッテリーの持ち具合で気にならない人は、ACアダプターを一緒に持ち歩くのは止めておく、という判断でもよいかと思います。どこでも充電したい!という人は、エレコム社に限らず各社で出されている小型のPD対応充電器を別途購入されることを推奨します。なお、メーカーサイトでの説明によれば「USB Power Delivery対応機器への充電が可能です。7.5W(5V/1.5A)以上を供給可能な機器であれば、本体に充電が可能です。パソコンを使用しながら本体に充電する場合は、45W(20V/2.25A)以上を供給可能なものが必要です」とのことです。
付属アプリケーションはどんなものか
このモデルには便利なアプリケーションが幾つか付属している、ということでサイトで紹介されていましたので、「Quick Capture」「Float Access」の2つを簡単に試してみました。

Windowsには画面キャプチャ(いわゆるスクショ)を撮る仕組み(prt scキーを押す)が標準機能としてもありますし、Snipping ToolというOS標準付属のアプリケーションもあり、さらにはXbox Game Bar(Windows+Gキーを押す)としても同類の機能が提供されています。
その上で更に別のキャプチャツールが必要なのか、という疑問を持ちつつ試してみましたが、意図が分かりました。
端的に言うとこれは、「オンラインでの会議やセミナーイベント等で表示されるスライド資料をサクサクキャプチャするのに便利なツール」でした。
四角の枠内で指定された領域で表示内容が変わったことを検知してくれる、ということで「スライドが次のページに遷移したら勝手にキャプチャして欲しい」という願いを叶えてくれるものですね。使い方に慣れればこういったニーズのある人にはかなり便利なものと感じました。

「Float Access」

複数の情報をコピーして置いておけるクリップボードや最近使った資料などをすぐに検索できる機能などをコンパクトにまとめたツールです。この内「検索」機能を試してみました。

作成しているドキュメントなどが少なかったため、あいまい検索の精度などは試せなかったのですが、エクスプローラーでの検索よりもサクッと「昨日作ったファイルの中から探したい」といったニーズには向いているのかも知れません。
ただ、どういうファイルが検索対象になるのか、というところのチューニングが進んでいないのか、通常は自分で開くことなど無い、「desktop.ini」の様なファイルも表示されるようで、実際の使い勝手についてはやや疑問が残りました。
また、直近のニュースでWindowsのCopilotの機能としてファイル検索機能が強化される、という記事(英文)も出ましたのでそうなるとWindowsの機能とぶつかってしまうかも、という気はしました。
まとめ
「FMV」ブランドのリニューアルの象徴として誕生した、この「FMV Note C」。
今回レビューしてみて思ったのは、シンプルな見た目や持った際の上質な感触など、これまでの「FMV」シリーズのパソコンの印象とはいい意味で大きく異なる印象のモデルになった、というところです。
学生や新社会人だけでなく、「余計な機能や装備は要らないからスタイリッシュで使いやすいパソコンが欲しい」すべての人にとって有力な候補になるノートPCではないでしょうか。質感やキータッチなど、自分にフィットするのか気になる方は是非店頭で体験してみてください!!
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