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話題のキーボード一体型PCをテスト。HPがミニマリストに捧げる一台だった

2026/06/09
話題のキーボード一体型PCをテスト。HPがミニマリストに捧げる一台だった

現代人の仕事や生活において、欠かせないアイテムであるパソコン。小型なノートパソコンも増えている昨今ですが、それでも大きい、重いと感じている方も少なくないでしょう。また標準的なデスクトップパソコンだと、配線が多くなり、デスク上がごちゃごちゃしてしまうことに悩んでいる方もいるかと思います。

そんな方に向けた、変わり種のパソコンをHPが作りました。その正体は、キーボード一体型デスクトップPC「HP EliteBoard G1a」。キーボードにパソコンが内蔵された製品で「キーボード一体型デスクトップPC」とまで表現できる尖った製品です。
本機の特徴、そしてユーザーのライフスタイルをどのように変えるのか。詳細レビューをお届けします。

目次

    HP EliteBoard G1aとは

    冒頭に書いたとおり、本機はキーボードとパソコンが一体化した製品です。持ち運びが容易なうえ、これとディスプレイさえあれば、パソコンとして使うことができます。
    キーボード一体型のデスクトップパソコンであり、ディスプレイがUSB Type-Cによる65W以上の給電に対応していれば、ケーブル1本だけで使えます。デスク上をとにかくスッキリさせたいという方にとって、非常に魅力的な選択肢になるでしょう。
    ここからは、本機の特徴を、キーボード・パソコンの両側面に分けて整理していきます。

    サイズと重量、キーボードとしての特徴

    まずはサイズと重量から見ていきましょう。大きさは横357.95mm×縦118.5mm。テンキーも用意されていますが、キーの間隔(キーピッチ)は約19mmで標準的なサイズとなっています。

    本機の上部俯瞰(ふかん)。キーピッチ、キーストロークともに小さいため、一般的な薄型ノートパソコンのキーボードに近いイメージ
    21.5インチのディスプレイと接続したところ。右に写っているのが付属のマウスです

    厚みは前が12.5mm、後ろが17.5mmで、前後に緩い傾斜がついています。一般的なキーボードと比較しても、決して厚くはない部類に入ります。

    本機の左側面。薄型で、前後に緩やかな傾きがあるのがわかる。なお、傾斜を調整できる機構は非搭載

    重さは最小構成の場合で676g。内部にパソコンを内蔵しているとは思えない軽さです。筆者が日常的に使用しているキーボードより軽く、その薄さとあわせて、高い可搬性を持っています。この軽さは、筆者が最も驚かされたポイントでした。ただし、横幅は14インチ程度のノートパソコンと比べても大きいため、カバンなどに入りきらないことがあるのは注意が必要です。

    続いてキーボードとしての要素をチェックしていきます。キーの構造にはパンタグラフ方式を採用。キーストロークはかなり浅く、打鍵感は軽めです。一般的な薄型ノートパソコンのキーボードと近い感覚でタイピングできます。クセのない、一般的な配列であるため、キーボードとしては万人向けのモデルといえるでしょう。

    パソコンとしてのスペックを確認

    HP EliteBoard G1aのパソコンとしてのスペックを、スタンダードモデルの最小構成を例に見ていきます。
    CPUには、AMD Ryzen AI 5 330プロセッサを搭載。最新の「Zen 5アーキテクチャ」を採用したCPUで、前世代に比べてシングルスレッド性能が向上しています。アプリの起動やウェブページの表示、Officeソフトの利用といった、負荷の低い日常的な作業を、少ない電力で高速に処理できます。
    またその名の通り、AI処理を専門に担う、NPUを搭載しているのも特徴です。近年はAI機能を搭載したアプリケーションが増えており、パソコンに求められるAI処理の量も増えています。その処理を高速かつ省電力で担えるNPUは、現代のパソコンにとって欠かせない存在です。本機が搭載するNPU*1ですが、その性能を表すTOPS*2は、AI PCの標準とされる「Copilot+PC」の基準40TOPSを上回る50TOPS。十分、現代の最前線で戦えるAI PCといえます。
    ただし、CPUの処理を担う頭脳の数であるコア数は4、同時に処理できる命令の最大数を表すスレッド数は8とやや控えめです。そのため、クリエイティブ系をはじめとした複雑な作業にはあまり向きません。またGPUはプロセッサ内蔵のため、美しいグラフィックが魅力のゲームプレイにも不向きです。

    *1 NPU:AIの計算だけを圧倒的なスピードかつ超省電力でこなす。
    *2 TOPS:1TOPS=1秒間に1兆回の計算(処理)ができる能力。

    本機の上辺には、冷却用の通気口が。ファンが内蔵されているが、駆動時の音が気になることはなかった

    メモリは16GBで、ストレージは256GB。現代において標準的なスペックといえますが、ストレージが小さめなことには注意してください。
    総評して、日常使いや一般的なビジネス用途に適したパソコンです。省エネ性が高いのも、電気代が高騰している昨今では嬉しいポイントでしょう。

    キーボードの右上にあるのが電源ボタン。起動中は、上辺のランプが青く光る

    なおスタンダードモデルには、CPUを8コア16スレッドのAMD Ryzen 7 Pro 350プロセッサに、メモリを32GBに、ストレージを512GBにそれぞれ換装したモデルもラインナップされています。グラフィックボードこそ搭載しないものの、このCPUであればクリエイティブワークも非常に高負荷なものでなければ一通りこなせます。高負荷な作業を行いたい方は、こちらの構成を選ぶのがおすすめです。
    本機には、ケーブル着脱式モデルと固定ケーブルモデルが用意されていますが、メスの外部出力端子はUSB4 Type-C(40Gbps、PD、DP2.1)、USB Type-C(10Gbps、PD、DP1.4)です。ともに4Kの映像出力に対応し、USB4 Type-Cにいたっては、規格上では8Kでの出力すら可能です。最大2台のモニターに、映像を映すことができます。なお、固定ケーブルモデルの場合、上記の外部出力端子に加えて、USB4 Type-Cの固定ケーブルが備わっています。

    本機の上辺向かって右側に外部出力端子がある。小さなマークがある通り、左側がUSB4対応の端子(写真はケーブル着脱モデル)

    ただし本機がグラフィックボードを搭載せず、最小構成の場合CPUのマルチタスク性能が控えめである点を考慮すると、QHD画質程度のモニター1台を使用するのが無難でしょう。また、内蔵バッテリーの連続駆動時間は外部ディスプレイ使用時で最大7時間、外部ポータブルディスプレイの場合は最大3時間となっています。なお、30分で50%の高速充電が可能です。
    通信の面では、最新規格のWi-Fi 7を標準搭載。規格上の数値で最大約46Gbpsの超高速通信に対応します。
    パソコンは高価な買い物なので、堅牢性や寿命も気になるところですが、本機はその点で高い信頼性を誇っています。キーボードとしても、パソコンとしても、12万時間を超えるHP独自のテストに加え、振動・落下・粉塵といった13項目の環境耐久性テスト規格「MIL-STD-810H」をクリア。後者はアメリカ国防総省が2019年に制定した耐久試験規格であり、本機の堅牢性の高さを示しています。安心して、長く使い続けられるマシンです。
    なお先述した通り、本機にはケーブル着脱式モデルと固定ケーブルモデルがラインナップされています。前者にはバッテリー搭載・非搭載のモデルがありますが、後者はバッテリー非搭載モデルのみの展開となります。

    あなたを「究極のミニマリスト」に変える一台

    ここまでスペックについて説明してきましたが、HP EliteBoard G1aの最大の魅力はそこではありません。「ユーザーのライフスタイルを変える力」を秘めていることこそ、最も注目すべき点です。
    先にも書いた通り、本機は「究極のミニマリスト向けデスクトップ」です。小型のノートパソコン、大型のデスクトップパソコンという二極化が進む現代にあって、小型で持ち運べるデスクトップという、ほかにないジャンルを開拓した製品といえます。
    そして、モニターとの接続から給電まで、ケーブル1本だけで完結するのも、ミニマリスト向けのポイントです。デスクトップを使っているとどうしても配線がごちゃごちゃしてしまいがちですが、本機ならそれが1本でOK。デスクの上は、かつてなくすっきりします。

    ポータブルディスプレイと接続したところ。デスクトップパソコンとは思えないほど、机上がシンプルにまとまっている

    日々手放せないアイテムであるパソコンをミニマル化することは、ミニマリストへの大きな一歩。本機の導入は、一種の断捨離と捉えることもできるでしょう。

    HP EliteBoard G1aのここが気になる

    ここまで本機の魅力について書いてきましたが、最後に気になる点をまとめます。本機が尖った製品である以上、一般的なパソコンと比較した場合、異なる点があるのも事実です。
    まず、ディスプレイとの接続です。本機への電源供給と画面への映像出力をケーブル1本で完結させようとする場合、使用できるディスプレイが限られます。具体的には、65W以上での電源出力と、映像入力を同時に行えるUSB Type-Cジャックを搭載したディスプレイが必要です。

    上記のようなディスプレイを使わない場合、本機を外部電源に接続することになりますが、そうするとコードが2本になり、ケーブル着脱式の場合は、本機の外部入出力端子の両方が埋まってしまいます。この場合、特にバッテリー非搭載モデルでは、USBメモリなどの接続をするには外付けハブが必須になります。
    バッテリー搭載モデルでも、外部ポータブルディスプレイ使用時のバッテリー持続時間が3時間と限定的です。終日外出で仕事をされる方にとっては、やや心許ないでしょう。

    そして、本機の横幅が一般的な14インチのノートパソコンに比べて大きいことにも注意が必要。軽く、持ち運びやすいのは事実ですが、カバンやリュックに入れようとすると、はみ出してしまいがち。そのため本機の持ち運びは、基本的にオフィス内、自宅内など、限られた空間で行うのがベターといえそうです。

    付属のケースに入れて脇に抱えた状態。重みは感じないが、カバンに入れるとかさばってしまう大きさ

    スペックに比して高価である点も、本機を導入しにくい要因といえます。具体的には、スタンダードモデルのうち最安値である、ケーブル着脱式・バッテリー非搭載モデルの最小構成でも、25万8680円となっています。この価格であれば、グラフィックボードを搭載したパソコンも購入可能であるため、スペックだけ見た際のコストパフォーマンス的な魅力はあまりありません。

    時代の新たなニーズを捉える。メーカーの思想がつまった一台

    HP EliteBoard G1aは、かなり特殊なパソコンです。決して、万人向けなマシンとはいえません。一般的なデスクトップ、ノートパソコンと比較するのも、ある意味ナンセンスでしょう。その一方で、ミニマリストを目指す方に刺さる製品であるのも事実です。
    あえてメジャーな層を狙わず、時代に即した新たなニーズを開拓する。メーカーの思想が強く反映された一台です。こんな尖ったマシンに触れてみたいと思われた方は、ぜひお近くのビックカメラで体験してみてはいかがでしょうか。

     
    この記事で紹介した商品
    HP EliteBoard G1a
    HP EliteBoard G1a
    デスクトップクラスのパワー。キーボードサイズの自由。キーボードにパソコンが内蔵された製品で「究極のミニマリスト向けデスクトップ」とまで表現できる尖った製品
    ビックカメラ.comで見る

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    Profile
    畑野壮太
    編集者・テクニカルライター
    畑野壮太
    1989年生まれ。早稲田大学文学部卒。アイテム情報誌の編集者などを経て独立。雑誌、Webメディア、企業オウンドメディアなどへの寄稿を中心に活動している。得意ジャンルは、PC、ガジェット、ウェアラブル、家電など。家電製品総合アドバイザーの資格を持つ。
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    宮家和也
    写真
    宮家和也
    カメラマン。九州産業大学芸術学部写真学科卒。スタジオ恵比寿を経て、浅川英郎氏に師事。2009年に撮影会社株式会社クラウンクリエイトアソシエイツ設立。ミュージシャンや企業広告などの撮影をはじめ、ウェディング、キッズ撮影など人物ポートレートを得意とする。
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