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ポータブルアンプを始めてみよう!何が違う?ポタアン5製品を聴き比べ

2026/04/09
ポータブルアンプを始めてみよう!何が違う?ポタアン5製品を聴き比べ

皆さんこんにちは。BIC WAVE編集部の たけ です。今回はオーディオファンの間では定番アイテムとなっている“ポータブルアンプ(ポタアン)”について解説をしていきます。ポタアンを初めて知った人、気になっている人に向けてメリットや選び方をわかりやすく、解説していきますのでどうぞお楽しみください!

目次

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    レビュアー:オーディオコーナー マイスター
    成瀬司
    名古屋駅西店オーディオコーナー担当。休日は楽器を弾いたり、レコーディングに参加したりと音楽活動に忙しい日々を送っている。「音楽が好きな人が増えるよう、いつも考えながら生きている」というくらい音楽を愛している。

    ポータブルアンプとは

    ポータブルアンプとはヘッドホンやイヤホンで使うアンプ(増幅器)のことです。スマートフォンやPCと接続することで、今までよりも良い音を楽しめるようになります。価格帯は1万円前後から10万円を超える高級モデルまで各社から発売されています。また、使用できるイヤホンは有線タイプのみで、ワイヤレスイヤホンでは使えない点は注意です。

    普段聴いている音は実力を発揮できていない?!

    普段楽しんでいる音楽はCDや配信サイトで入手できるデジタルデータで、そのままではイヤホンやヘッドホンから音として再生できません。音楽として楽しむには以下の処理がおおまかに必要で、この処理をする際に音の情報が抜け落ちてしまうということがおきます。

    データ→アナログ信号に変換する流れ(超おおまかに)
    1,デジタル化されているデータをアナログ信号に変換する
    2,アナログ信号を増幅する
    3,増幅されたアナログ信号がイヤホンに届いて音として聴こえる

    スマートフォンで再生する人が多いと思いますが、1,と2,の処理をするパーツはコストや本体のスペースに限りがあるので、最高品位のオーディオ用パーツを搭載するわけにはいきません。その点、ポータブルアンプならば音質を重視したパーツ構成がしやすいという特長があります。

    フルワイヤレスイヤホンから有線イヤホン+ポタアンに戻す人もいる

    たけ フルワイヤレスイヤホンも音は悪くないですが、なぜですか?
    成瀬 確かに新しいモデルが出るたびに音は進化し続けています。でも、最高の音質を追求したいオーディオファンからすると、フルワイヤレスイヤホンは構造上どうしてもカスタマイズ性などに不自由を感じてしまうのです。
    フルワイヤレスイヤホンで音が聴こえてまでの流れ(超おおまかに)
    1,プレーヤーから音楽データをBluetooth信号に変換して発信する
    2,ワイヤレスイヤホンが受信する
    3,イヤホン内で、デジタルデータ→アナログ信号に変換
    4,アナログ信号を増幅する
    5,イヤホンから音が聴こえる
    成瀬 フルワイヤレスイヤホンは2、3、4、5の処理をイヤホン本体の中で行っているわけです。とても高度な技術が詰まっていてスゴイのは間違いないですが、イヤホン内で全ての処理が完結している以上、さらなる音質向上やカスタマイズはできることが少ないのです。
    たけ イヤーチップを替えたり、アプリでイコライザーを操作するぐらいですね。
    成瀬 そうですね。結果、オーディオファンは有線イヤホンとポータブルアンプの組み合わせで自分の求める最高の音を追求し始めるのです。
    成瀬 また、フルワイヤレスイヤホンの場合、音質にこだわったモデルは大手メーカー数社からしか選べないというのもあります。有線イヤホンなら国内外合わせれば多くのメーカーから選べます。まぁ、あまりに選択肢が多すぎて、際限なくなってしまう感じもありますが笑

    ポータブルアンプの選び方

    ここからは実際に選ぶときにチェックしておくべき機能を確認していきます。

    • 接続方法
      • スマホやPCなどのプレーヤーとポータブルアンプを接続する方法です。
      • 有線の場合はUSB Type-Cが主流です。また、Bluetooth接続ができるモデルだとケーブル接続が不要になるので取り回しが楽になります。
    • 出力端子
      • 3.5mm端子(一般的な端子、アンバランス接続)と一回り大きい4.4mm端子(バランス接続)が選べます。
      • 4.4mmのバランス接続の方が優れているので搭載しているモデルがおすすめですが、イヤホンやヘッドホン側の端子が対応していないといけません。
    • ハイレゾ対応
      • ハイレゾ音源を再生したとしてもポタアンとイヤホンが対応していないと再生品質はCD相当になってしまいます。非対応モデルは少なくなっていますが購入後に後悔しないよう確認はしておきたいです。
    • 駆動力
      • イヤホンやヘッドホンの中にはパワーを必要とする(抵抗値(インピーダンス)が高い)モデルが存在します。ポータブルアンプが対応していないと音量が上げられなかったり、音質が悪くなる場合があります。極端に抵抗値が高いイヤホンやヘッドホンはそこまで多くないのでポタアンにはこういったメリットもあるということを知っておいていただきたいです。

    ポタアン5機種を聴き比べてみた!

    実際にポタアンを使用するとどんな変化があるのか、今回はビックカメラでラインナップされている製品の中から、初めての1台として選びやすい中価格帯までのモデルでレビューをしていきます。ポタアン選びの参考にしてみてください (今回はイコライザー機能による変化はさせずに試聴をしています。)

    名古屋駅西店のオーディオコーナーではポータブルアンプの試聴ができる。

    今回の試聴環境

    FINAL MAKE MOD3.1 + 4.4mmリケーブルNLEMKS+AZLA FOAMAX

    TC2604_ichioshi_portableamp_04.jpg

    成瀬 ちなみにポタアンにはイヤホンとの相性があります。今回試聴に使用したFINAL MAKE MOD3.1のような1DD(シングルダイナミックドライバー)はシンプルな作りなので音のバランスが崩れづらいと感じています。そして、最近話題になっている特殊ドライバーや多ドライバー搭載モデルは場合によってピーキーになる(特定の音だけが強く出て、聴きづらくなる)場合があります。試聴せずに選んでしまうと「思っていたのと違う!」となりかねませんので注意してください。それ故に自分なりのカスタムを探す (沼にハマる) 楽しさがあるとも言えますね笑

    FiiO BTR15

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    成瀬 FiiOといえばスピード感のある高音域とウォームな低音を得意としているイメージがありますが、BTR15はどの音域も過度に強調されることのないバランスのとれた音作りです。音像や空間表現も適度に感じられるのもいいですね。相性を比較的気にすることなく色々なイヤホンで気持ちよく楽しめる機種だと感じました。イヤホンとの相性はバランスのとれた優等生な特性なので、大体のイヤホンと合うでしょう。
     

    FiiO BTR17

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    成瀬 3万円台という価格帯はミドルクラス寄りですが、内部で使われているパーツはもっと高価格帯のモデルに搭載されているものが使われていて驚きました。もちろん音質も今回比べた他のモデルとは一線を画しており、空間の広さ、解像度の高さ、聞こえる音の数など、とても情報量が多いです。音の味付けは強めで正確さや原音再生とは言えませんが、FiiOらしい情報量が豊富で刺激的な音が楽しめるモデルです。
    試聴で使用した楽曲、サカナクションの「怪獣」はサビで全ての楽器が全力で鳴り、音と音が重なり渋滞してしまうのですが、BTR17はクリアかつオープンに整理できていました。イヤホンとの相性は中高域以上がフラットな特性、かつ中域以下にウォームな質感があるイヤホンが良さそうです。
     

    FiiO Snowsky MELODY

    TC2604_ichioshi_portableamp_12.jpgTC2604_ichioshi_portableamp_13.jpg

     

    成瀬 1万円を切る価格帯ながら4.4mmバランス接続ができて、音質面での恩恵は価格以上にあると感じました。聴き疲れさせず低音と高音に抜け落ちがない、しっかりと楽器の分離感を感じながら聴くことができました。さすがに、音の前後感の表現やサウンドステージの表現は弱く感じられましたが、手軽に音質を上げられる使いやすい機種だと感じます。今回比べたモデルの中ではサイズが圧倒的にコンパクトで、42mm、10gしかなく持ち運びのストレスがほぼありません。イヤホンとの相性は1DDの低音や音がパワフルに出る傾向のモデルと合うでしょう。
     

    NICEHCK OCTAVE

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    成瀬 SSMELODYと比較して、中音域が前に出て聞こえて解像度が上がったのを感じました。空間表現は多少の平面感はありますが、メインボーカルとコーラスや楽器との分離など基本的な音の前後感も感じられる優等生的なポジションの製品です。ポタアン自体による音の味付けは少な目なので、今の音を変えたくない人にはおすすめになります。SSMELODYと同様に、1DDで低音や音がパワフルに出る傾向のモデルと合いそうです。
     

    iFi Audio GO blu Air

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    成瀬 Bluetooth接続のみですが、AAC接続でもバランス回路が非常に優秀なのか、解像度や特定周波数のぬけ落ちなど、音質のロスはそれほど感じずに聴けました。また、ifiといえばお馴染みの機能ですが「XBASSとXSPACE」も搭載しており、低音と空間表現を上手く補完してくれます。対応ジャンルが広く、使っていても飽きが来ない機種だと感じます。音の前後感、セパレーション、サウンドステージの広さなどはBTR15よりは若干落ちますがワイヤレスが故の、利便性も兼ね備えているのもいいですね。イヤホンとの組み合わせとしては、低音域がしっかり鳴らせる機種との相性が良さそうです。
     

    各機種仕様まとめ

    項目 サブ項目 FiiO BTR15 FiiO BTR17 FiiO Snowsky MELODY NICEHCK OCTAVE iFi GO blu Air
    出力端子 3.5mm
    4.4mm
    出力 3.5mm(シングルエンド出力) ■最大出力(32Ω)
    ・125mW+125mW
    ■最大出力(300Ω)
    ・15mW+15mW
    ・最大140mW(*1:32Ω、THD+N<1%) 100mW(32Ω、THD+N<1%、USB入力) ■最大出力
    150mW(32Ω)
    ■定格出力
    ・3.5mm:≧165mW/2.3V(32Ω)、≧14mW/2.9V(600Ω)
    4.4mm(バランス出力) ■最大出力(32Ω)
    ・340mW+340mW
    ■最大出力(300Ω)
    ・50mW+50mW
    ・最大300mW(*1:32Ω、THD+N<1%) 250mW(32Ω、THD+N<1%、USB入力) ■最大出力
    550mw(32Ω)
    ■定格出力
    ・4.4mm:≧262mW/2.9V(32Ω)、≧52mW/5.6V(600Ω)
    入力 USB-Type C USB-Type C USB-Type C USB-Type C
    USB-Type A
    Bluetoothのみ
    対応Bluetooth規格 Bluetooth 5.1 Bluetooth 5.4 なし なし Bluetooth 5.2
    対応コーデック SBC なし なし
    AAC
    aptX
    aptX LL    
    aptX Adaptive    
    aptX HD
    aptX Adaptive  
    aptX Lossless    
    LDAC
    LHDC    
    HWA    
    DACチップ ES9219MQ ×2 ES9069Q ×2 CS43131 ×2 ES9039Q2M CS43131
    周波数特性 20Hz~50kHz(-0.8dB) 20Hz~80kHz(<3dB) シングル:20Hz~50KHz(≦0.2dB)
    バランス:20Hz~50KHz(≦0.1dB)
    非公開 20Hz~45kHz(-3dB)

    *1: 数値はデスクトップモードOFF時のもの。デスクトップモードON時の数値はそれぞれ以下の通り
     ・最大280mW(3.5mmシングルエンド出力:32Ω、THD+N<1%)
     ・最大650mW(4.4mmバランス出力:32Ω、THD+N<1%)

    まとめ

    今回はイヤホンやヘッドホンの音質に課題を抱えている人に向けてポータブルアンプの特徴と初めての一台として選びやすい低~中価格帯機種の紹介をしました。私もそれぞれ試しましたが音の変化が思っている以上に大きくて驚きました。検討する際はぜひご自身が使用されているイヤホンをお持ちいただき、店頭で試聴されることをおすすめします。

    成瀬 ポータブルアンプは音楽鑑賞の質を大きく改善してくれると共に、持ち運びという試聴スタイルにおける音質の限界点をしっかりと超えてくれるアイテムです。自分にとっての最適な組み合わせを見つけられれば、今よりも1ランクどころか2ランクぐらい音質をアップできるでしょう。ぜひ自分の求める音をカスタムする楽しさを知ってほしいですね!
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    Profile
    成瀬司
    オーディオコーナー マイスター
    成瀬司
    名古屋駅西店オーディオコーナー担当。休日は楽器を弾いたり、レコーディングに参加したりと音楽活動に忙しい日々を送っている。「音楽が好きな人が増えるよう、いつも考えながら生きている」というくらい音楽を愛している。
    たけちゃん
    文・写真
    たけちゃん
    BIC WAVE編集部メンバー。オーディオやカメラなどの黒物家電が好きで、新製品が出ると使ってみたくなってしまう。休日はロードバイクで走りに行ったり、近所の畑を借りて野菜作りを楽しむなど多趣味。
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