旅写真をもっと魅力的に!構図・光・レンズの活用術

旅と写真は切っても切れないものですね。特にいまではスマホ片手に旅歩きという方が当たり前になってきました。一昔前では旅行中に常に写真を意識している人はそれほど多くなかったでしょう。スマートフォンの普及により、写真はより身近になったと言えますね。
今回は「旅写真」をテーマに、瀬戸内周辺の写真をもとに解説いたします。
旅行で持ち歩きたいカメラ
もちろん一眼レフやミラーレス一眼など、高性能なカメラがベターですが、一眼でなければならない、というわけではありません。コンパクトなデジカメや、スマートフォンなども旅の強い味方になってくれます。
しかしながら、そこは限定的な使い方と認識しておかなければなりません。それぞれのカメラには特徴があり、それらの使い分けがうまくできれば良い旅のお供カメラとなってくれます。
今回私は、ミラーレス一眼をメインとし、たまにスマートフォンやデジカメを駆使しながら撮り旅をしてきました。

旅は観光がメイン
観光地に着くとすぐにカメラを構える人もいれば、お土産探しや名物を楽しむ方もいるでしょう。ここでは、観光地やそれまでの行程の写真を撮るということに焦点を置きます。
旅写真はスナップショット
旅をしながら撮る写真のほとんどはスナップですね。そこで、スナップとは何か? ということを改めて考えましょう。プロ写真家が撮るスナップには、旅写真をはじめ街角、ドキュメンタリー、テクスチャーの切り取りなどなど、さまざまなジャンルがあります。商業撮影以外のほとんどの写真がスナップと言っても過言ではありません。

旅スナップの基本的な撮り方
スナップ写真の基本は、風景写真の延長にスナップがあるということです。どのような写真にも言えることですが、構図、明るさ、色合いなどの風景写真的な基本が必要になります。当然スナップでも同じことが言えます。旅写真でも風景写真を意識しながら撮ると良いでしょう。

3分割法で構成した写真。人物の位置がほぼ左下3分の1に配置され、広く配分された右に雰囲気がわかるように風景を入れています。
分割構図やシンメトリー、日の丸構図など、風景写真で多く用いられる技法は、スナップでも有効なので、意識して取り入れましょう。同時に広角レンズの遠近感や望遠の圧縮効果など、レンズワークも考えましょう。

日の丸構図ですが、同時に放射状構図も意識して構成しています。放射状構図は被写体に向かって伸びる直線の影響で、見る人の視線が集中する効果がある構図です。

これはわかりやすく作例を撮影したものですが、額縁の中に被写体を入れて構成する、囲まれた構図のことです。

しまなみ海道・多々羅大橋の柱の真下から見上げた構図。シンメトリーはとてもインパクトが強い反面、少しでも斜めになったり対称の比率が変わったりすると非常に不快な印象になるので、厳密に構図を決定しなければなりません。
構図を意識するだけで、ただの旅の記念写真が作品として見栄えの良い「旅写真」になるのです。
〈光の角度〉
写真の印象を良くも悪くもしてしまうのは、光の角度です。光は風景の美しさをダイレクトに表現します。旅の写真は美しさを表現したいことが多いのです。色や形を素直に見せたいなら順光、立体感を求めるなら斜光、インパクト重視なら逆光が効果的です。

瀬戸内海、しまなみ海道の中でもひときわ美しい橋「多々羅大橋」。歩道は歩けるようになっており、写真の場所は柱の反響音が印象的な「泣き龍」と呼ばれるポイント。拍子木を半逆光気味に置き、立体感や木の質感を出すようにイメージしました。
逆光はとても強い印象を残す光の状態で、ときに被写体がシルエットになったとしても好印象な場合があるため、意識して逆光を狙うのも「ただの観光写真」からの脱却となります。

船の甲板にて逆光撮影。周りが白いペンキで塗られていたのでレフ板効果もあり前面が黒ツブレせずに撮影できました。開放F値でキラキラ光る波を玉ボケにしたのも好印象になりました。


日本のウユニ塩湖と呼ばれ全国から観光客が訪れる、香川県・父母ヶ浜(チチブガハマ)。潮が引いた砂浜には水溜まりが残り、そこに映る反射が面白くインスタグラムなどで反射写真が大流行しています。なるべく水面近くにレンズを下げるのが秘訣です。引き潮の時間や天候を調べてから行くのがオススメ。
このようなSNSでもよく見かける構図は1枚は撮っておきたいのですが、余裕があればほかのバリエーションも撮影しておきましょう。
スナップは「必然」と「偶然」から成り立っている
「必然のスナップ」とは、目の前にあるものを撮ったり、アングルの中に入っているものをそのまま撮ったり、待ち伏せて撮ったりするもので、あらかじめ頭の中で計算して撮れるスナップショットのことを言います。
「偶然のスナップ」とは、予想外の出来事があった場合に一瞬で撮ることや、ドキュメンタリー写真に多くあります。

建造物などの人工物はテクスチャーとして切り抜くと面白いです。人や動物などをアクセントに持ってくることで物語性も加えられます。これらはじっくりイメージして撮影しているので、「必然のスナップ」と言えます。
旅の楽しみは観光だけじゃない
私もそうですが、旅することの楽しみの大部分は飲み食いという方も多いでしょう。食べることも飲むことも大好きな私は、ご当地の美味しいものをいただくことが何よりの楽しみ。でもお腹に入ってしまう前に、美味しそうな写真を撮りたいですよね。
〈料理の写真は逆光が基本〉
うどん県に行ったら、うどん食わなきゃ始まらないでしょ! っていうことで、僕が最も好きなうどん屋、須崎食料品店 へ行ってまいりました。
古民家の中に超有名うどん店があります。雨でも大行列です! でも食べるのは外なんですけどね……。


あいにく曇り空でトップ光でしたが、アングルを低くし逆光に近い状態で撮影しました。うどんの透明感が現れ美味そう!
食べ物に限らず、飲み物も含め飲食物の撮り方は逆光か半逆光が基本です。カフェなどでは窓際の席に座ると効率良く逆光状態で撮影できます。
うどん県の名物はうどんだけじゃありません。近年ブームなのが骨付鳥ですね。一度食べたら絶対に病みつきになる味はリピーターが多く、このために県外から食べに来る人も多い名物です。私は子どもの頃から食べていたソウルフードです。


逆光が基本ですが、光が足りないと感じたらスマホのライトなどで逆光、もしくは横から照らしてみると光沢感が増し、より美味そうに見えます。背景をぼかすことで雰囲気も良くなり料理自体に目が行きやすくなります。
普段から「見つける目」を養う練習をしよう
旅写真は観光など楽しみながら撮る写真のことですが、そんな中でもちょっとした被写体に目を向けられなければ、良い被写体を逃してしまうことがあります。瀬戸内海の小さな島、佐柳島という猫島に行ってきました。


人口より猫のほうが多い島。過疎が進んだ小さな村に残されていた看板はこれだけ撮っても面白くないので、あえて狭い路地裏の雰囲気を感じさせつつ、壁の焼き杉の質感など写真内に風景的なディティールを出すように表現しました。

古道には石碑があり、道標や道の名前など歴史的な情報が感じられます。背景には咲き始めの桜と道を適度なボケで配置し、手前には石段を配置しました。すべて計算された「必然のスナップ」です。

ペットや子どもの撮り方の基本は、低い位置から撮ることですね。似た高さの目線になることで、被写体と一体化してきます。手前と背景のボケは、明るい単焦点レンズによる効果です。この日、佐柳島では50mmF1.4の1本でしか撮影していません。思い切って使うレンズを制限することは、レンズワークに迷いがなくなり機動力も増すので、ぜひトライして欲しい撮影法です。

ときにはドキュメントチックに仕上げてもカッコいいスナップになります。古い家屋となぜかひっくり返っている壊れたバイク。とても印象的なシーンだったので、思いきりコントラストを上げた設定のモノクロームで撮影しました。

帰港する船上から見えたクレーン。ちょうど太陽が真後ろに来そうだったので、船の移動に合わせて太陽を真正面に配置しました。印象的な写真にするために、ここでも高コントラストなモノクロームを使用しました。
出会いは旅の醍醐味
旅をしていると人の温かさに触れ感動することが多くあります。そんなとき、ちょっと声をかけて撮影させてもらえれば 一生の思い出になるでしょう。


まとめ
写真の基本があれば、旅写真に困ることはありません。デジカメやスマホだけで旅するのも良し。一眼でもレンズは1本!で機動力を活かすのも良し。フル装備で備えるのも良い写真が撮れること間違いないでしょう。その場合は、リュック型のバッグにするなど、たくさん歩くことを前提に機材選びをしましょう。
写真は足で稼げ! とは我々のような写真家は、古い先達から耳にタコができるほど言われてきた言葉です。
楽しんで歩き、撮影しましょう!
※ホワイトバランスの表記はカメラメーカーにより異なりますが、晴天や太陽光(☀)はすべて「晴天」で表記しています。
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