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日本酒ソムリエ厳選!お正月にふさわしい祝い酒をご紹介します

2024/12/27
日本酒ソムリエ厳選!お正月にふさわしい祝い酒をご紹介します

清らかな気持ちで新年を迎える際に、「祝い酒」として欠かせないのが日本酒。お正月に日本酒をいただくと、それだけで気持ちが凛と整うようです。

そこで、ビックカメラ柏店「ビック酒販」のマイスター前島淳一さんが、新年を祝うのにふさわしい日本酒を厳選してくれました!

今回、お話を伺った前島淳一さんは、お酒に関するエキスパート。ワインソムリエ、ベルギービールアドバイザー、ラム・コンシェルジュの資格に加え、今年10月には「一般社団法人日本ソムリエ協会」が主催する日本酒のJ.S.A SAKE DIPLOMA認定試験にも合格しました。

目次
    ご自身も「お酒が大好き!」という前島さんは、日本酒をはじめ、ワイン、ビール、マニアックなラム酒まで、酒類について造詣が深い。

    J.S.A SAKE DIPLOMA認定試験とは?

    J.S.A SAKE DIPLOMA認定試験とは日本酒と焼酎に特化した資格で、伝統的な日本の食文化の普及と向上を目的としています。前島さんは日本酒・焼酎の知識を深めるべく、この資格の取得に挑戦しました。

    「ワインやビール、ラム酒の資格は持っていましたが、日本酒や焼酎の資格はまだ持っていませんでした。インバウンドのお客様も増え、国内だけでなく、海外にも日本酒の需要は広がっており、お酒を扱う者として、ますます日本酒は外せない存在です。お客様によりフィットした1本をおすすめするためにも、日本酒についてもっと深く勉強したいと考えました」

    日本酒の起源とは?

    前島さんは、昔ながらの酒場の雰囲気が大好きで、ひとりで日本酒を飲みに行くことも多いそう。お酒に対する飽くなき探究心が、お客様に寄り添った接客につながっているのですね。

    そもそも日本酒は、古代より神道の儀式や祭事には欠かせないもの。「御神酒(おみき)」という名のごとく、神様に奉納され、神聖な祝杯として、重要な役割を果たしてきました。

    平安時代には、新年に薬草を漬け込んだ「お屠蘇(おとそ)」を元旦に飲む文化が広まり、邪気を祓(はら)って、長寿や健康を祈ったそうです。神棚や神前に供えた鏡餅を割って食べる「鏡開き」は武家社会で発展し、その際に日本酒を共に飲むことも伝統的な習慣となりました。

    さらに、日本酒は「祝い酒」としても親しまれ、新年に日本酒を酌み交わすことで、家族の絆を深め、一族の繁栄や無病息災を祈願する意味もあります。新年を迎えるにあたり、日本酒は神と人、人と人を繋ぐための「結び」の象徴でもあり、切っても切れない関係ですね。

    それではさらに詳しく、前島さんに日本酒について教えてもらいましょう!

    ──新年を祝う際に欠かせない日本酒ですが、新年に選ぶ際のポイントはありますか?

    厄を祓い、福を呼ぶために飲むお酒として、「福」や「寿」など縁起の良い名前のものや、金箔入りのものを選ぶと、おめでたい気分がより高まるのではないでしょうか。また、1年に一度の新しい年の幕開けなので、普段飲んでいる日本酒よりも、ワンランク上の特別な1本を選ぶのもいいですね。

    ビックカメラ柏店では、充実したラインナップで全国各地の日本酒を取り揃えている。

    初心者におすすめ!日本酒の選び方

    ──日本酒を普段あまり飲み慣れていない人や日本酒初心者も楽しめるように、選ぶ際のアドバイスはありますか?

    あまり日本酒を飲まない方や初心者の方にも、新年だけは祝い酒として、ぜひ日本酒を味わっていただけたら嬉しいですね。その際は、フルーティーで軽やかな「大吟醸酒」や「純米大吟醸酒」を選んでみてください。特に純米大吟醸酒は果物のような香りとスッキリした味わいで、とても飲みやすいお酒です。甘口でフルーティーな日本酒は、海外でも人気を集めていますよね。

    とはいえ、大吟醸系は単品で飲むと美味しいけれど、食事と合わせると、少し華やかすぎる場合もあります。そんなときは、米の風味が活きた甘口の「純米酒」は食事と大変合わせやすく、優しい味わいで飲みやすいですよ。

    基本的に、「大吟醸」とつくものは、酒米を50%以下まで磨いて精米した日本酒を指します。お米は中心部ほどでん粉が多いため、磨くことで美味しい芯の部分のみを使用できるので、雑味が少なく、クリアな味に仕上がるのが特徴です。さらに「純米酒」は、醸造アルコールを添加せず、米、米麹、水のみで仕込んでおり、米本来の旨味やコクを味わうことができます。ぜひ、この2つのワードを覚えていただき、日本酒を選ぶ際の参考にしてみてください。

    ──日本酒初心者でも楽しめる、飲みやすい日本酒を教えてください。

    初心者の方は、軽めでフルーティーな吟醸酒や大吟醸酒を選べば間違いありません。特に飲みやすい3本を揃えました。

    写真左から、「南部美人」、「久保田 千寿」、「醸す森」。

    (1)吟醸酒「南部美人」/岩手県「南部美人」

    地元岩手県の酒米と伏流水にこだわり、丹精に醸した日本酒です。精米歩合は60% で、上品な香りとスッキリした飲み口で、日本酒を飲み慣れていない方にもおすすめ。冷酒はもちろん、熱燗にしても乙。 

    (2)吟醸酒「久保田 千寿」 /新潟県「朝日酒造」

    「久保田」はあまりにも有名なので、知っている方も多いのではないでしょうか。「千寿」と名前もおめでたいのでお正月に最適。他に「百寿」や「萬寿」もありますが、「久保田」の中では、こちらの吟醸酒が一番スッキリして、甘いけれども飲みやすい。香りが穏やかで食事の邪魔をしないため、おせち料理との相性も抜群です。

    (3)純米吟醸 生酒「醸す森」/新潟県「苗場酒造」

    口に含んだときにピチピチと駆け抜ける、生酒らしい微炭酸が爽快! とにかくジューシーで、まるでライチや洋梨を彷彿とさせる、フレッシュで濃厚な甘味があります。我が社のバイヤーイチオシの1本で、2024年10月1日にリブランドして、現在は「ゆきのまゆ」として販売を開始しています。

    「年末年始の帰省の際に、地元の日本酒を味わうのも一興です」(前島さん)

    甘口、辛口のおすすめ日本酒

    ──新年ならではの、ちょっと贅沢な日本酒を選ぶときのポイントはありますか?

    地域限定や数量限定のもの、長期間熟成したものなど、プレミアム感のある日本酒を選ぶといいですね。高級感のあるデザインのボトルなども、新年のお祝いの席を華やかに演出してくれます。また、大吟醸酒や純米大吟醸酒の中でも、米を極限まで磨いたものは値段もやや張りますが、新年にふさわしい特別感がありますね。

    ──甘口、辛口、それぞれおすすめの日本酒はありますか?

    日本酒は甘口と辛口で大分印象が違いますよね。まずは自分がどちらの味が好みか、そこから選び始めると失敗しにくくなるはず。甘口と辛口、それぞれ味の異なる日本酒を1本ずつ紹介しますね!

    写真左から、「彗 DE KOCK-PARASKEVOPOVLOS」、「山荘」。

    (1)純米吟醸 無濾過(ろか)原酒 「彗 DE KOCK-PARASKEVOPOVLOS」/長野県「遠藤酒造場」

    甘口が好きな方におすすめなのがこちら。ユニークなネーミングで「彗」と書いて「シャア」と読みます。きっと某アニメを思い出した方も多いのではないでしょうか(笑)。伝統をしっかりと守りながら、新たな挑戦と進化を追及する長野県の酒蔵です。りんごの酵母で仕込んでおり、爽快感のある甘酸っぱい味わいで「えっ? 日本酒なの?」と、驚くような飲み口。りんごのボトルもおしゃれですよね。キリッと冷やして、食中酒としてお楽しみください。

    (2)大吟醸「山荘」/愛知県「鶴見酒造」

    辛口好きな方にぜひ味わってほしいのがこちら。“織田信長の台所”として栄えた愛知県の尾張津島にある老舗酒蔵です。酒米の最高峰である兵庫県の特A地区で栽培された山田錦を100%使い、40%まで磨き上げて仕込みました。雑味がなく、実にスッキリした清らかな味わいで、新しい気持ちで迎えるお正月にぴったりの1本。食事の味を邪魔しないので、ぜひおせち料理と一緒に楽しんでいただきたい。2023年度の「全米日本酒観評会」の大吟醸A部門(計578点出品)でグランプリを受賞した逸品です。 

    通向けの日本酒

    ──日本酒愛好家やお酒が得意な人向けの特別感を味わえる日本酒はありますか?

    日本酒を飲み慣れた方には、こちらの3本を。通好みな銘柄を揃えてみました。

    写真左から、「我山」、「出羽桜 出羽燦々」、「梵・日本の翼」。

    (1)純米大吟醸「我山」/愛知県「鶴見酒造」

    酒米の最高峰である兵庫県の特A地区で栽培された山田錦を100%使用。大吟醸の中でも贅沢に、三割五分(35%)まで磨きに磨き上げました。じっくりと時間をかけて醸した芳醇な日本酒で、国内外で数々の賞を受賞。ふくよかな米の風味が生きていながら、果実を思わせる吟醸香とフルーティーで切れ味のある飲み口が特徴です。甘口、辛口、どちらの好みの方にもおすすめできる、万人受けする味わいです。

    「三割五分」まで磨き上げたプレミアムな逸品は、新年にふさわしい。

    (2)純米吟醸 本生「出羽桜 出羽燦々誕生記念」/山形県「出羽桜酒造」

    山形県を代表する酒米「出羽燦々(でわさんさん)」の誕生を記念して醸された日本酒で、「出羽燦々」を100%使い、山形県産の酵母で仕込んだ“オール山形”な1本です。青りんごのようなジューシーな香りで、まるで上質な白ワインを飲んでいるかのような口当たりを楽しんでください。

    (3)純米大吟醸「梵・日本の翼」/福井県「加藤吉平商店」

    ボトルには菊のマークがあしらわれ、日本政府専用機の正式機内酒として親しまれています。国賓クラスの晩餐会の乾杯にも使用されているそうで、そんなエピソードも添えながら、新年に厳かな気持ちで味わってみるのはいかがでしょうか。華やかな吟醸香、やわらかな口当たり、後味のキレのバランスが見事です。

    前島さんはお客様に好みの味を伺い、最適な1本をセレクトしていく。

    日本酒に合うおつまみ

    ──日本酒に合う手軽なおつまみはありますか?

    お正月はおせち料理以外、他にはできるだけ料理はしたくないと思うので(笑)、そんなときにおすすめしたいのが手軽な缶詰!

    最近は缶詰のレベルが進化していて、かなり本格的な味わいになっていて驚きますよ。パカッと開けるだけで満足感のある立派な肴(さかな)になるんです。

    「K&K 缶つま」は国産の原料にこだわり、なかでも、あなご蒲焼、焼かき、和風サーディンは、日本酒のお供にベストマッチ。みそ漬処が製造する「香の蔵」は、クリームチーズをみそ漬けや粕漬けにした缶詰です。濃厚なクリームチーズをチビチビつまみながら、日本酒で一杯やると、もう止まりません。

    写真左から、「K&K 缶つま」、「香の蔵」。
    缶詰をたくさん買って手土産にする人も多いそう。日本酒とセットで贈り物にしてもGood!

    日本酒の最適な保存法

    ──日本酒を最高の状態で楽しむための保存法や温度管理について教えてください。

    日本酒はワインと違って酸化には強いのですが、光と温度に弱いので、何よりも日光(紫外線)に当てないことが重要です。日本酒によっても異なりますが、温度は低めのほうが長持ちするので、高温な場所で保管するのは避けましょう。

    火入れしていない「生酒」や「生貯蔵酒」 は、冷蔵庫で5℃以下で管理するのが理想です。冷蔵で保管するとフレッシュさを保ちながら、長期熟成させることもできます。とはいえ、一般家庭で5℃で保管するのは難しいので、日本酒セラーなどを用いても。ビック酒販では、日本酒セラーも販売していますよ。また、「純米大吟醸」や「大吟醸」も、お店で冷蔵ケースに入っていたものは、冷蔵庫で保存するのがおすすめです。

    一方、火入れしてある日本酒は、冷蔵ではなく、できるだけ光の当たらない低温の場所で保管すればOK。その際、ボトルを横向きに置くと、瓶の中で酒と空気の接する部分が増えてしまい、劣化の原因につながるので、必ず立てて保管してください。

    日本酒の美味しい飲み方 

    ──日本酒の香りや味わいを引き立てる飲み方はありますか?

    もちろん、日本酒専用のおちょこやぐい呑みで一杯やるのもいいですが、香りを引き立てるのであればワイングラスを使うといいですね。ワイングラスで飲むと、米の豊かな甘い香りが華やかに広がります。一気に飲まずに、ワインのテイスティングのように少量ずつ口に含んで、香りと味のバランスを味わってみてください。

    また、冷やした日本酒を飲む場合は、温度が上がるにつれて、引き締まっていた味や香りがまろやかになっていきます。温度による変化も味わいのひとつとして楽しんでください。

    ワイングラスのトップメーカー「RIEDEL」 から、大吟醸用のグラスも販売されている。

    さらに日本酒はとても地域性を帯びたもの。仕込む酒蔵の個性と技が光り、その土地ならではの“地の味”がギュッと凝縮されています。なので、その地に想いを馳せながら、好きなエリアで選んでみるのも一興です。

    私は茨城県にある「府中誉(ふちゅうほまれ)」という酒蔵の「渡舟」を飲んだとき、初めて日本酒を美味しいと思いました。山田錦の新品種である「渡舟」という地元で採れる酒米を使っているのですが、濃厚な甘さで、フルーティーなのにキレがあり、この土地でしか出逢えない感動の一杯……。その味をいまでも鮮やかに覚えています。年末年始に帰省する方も多いと思うので、地元の味を探してみる のもおすすめですよ。

    前島さんにお話を聞いて、筆者は早速、新年用の日本酒を調達しに行きたくなりました。好みのものをセレクトして、新しい年をお祝いしたいですね。ぜひ、みなさんも家族や大切な人と日本酒を酌み交わし、心清らかに新年をお迎えください。

     

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    Profile
    前島淳一
    ビック酒販 マイスター ソムリエ
    前島淳一
    2006年ビックカメラ入社。現在は柏店に勤務。ソムリエ、ラム・コンシェルジュ、ベルギービール・アドバイザー、J.S.A.SAKE DIPLOMAの資格を保有。ひとり飲み歩きや音楽鑑賞が趣味。
    岸綾香
    岸綾香
    ライター&エディター。大手出版社の女性週刊誌で約20年、料理、美容、グルメなど、実用記事を中心に幅広いジャンルで取材&執筆を行う。Web媒体では料理やヨガなどの動画記事を担当。週刊誌で鍛えられた体力&根性で40代から子育て奮闘中。
    小松士郎
    写真
    小松士郎
    LCP(ロンドン芸術大学写真学科)で写真を学び、ロンドンを拠点に撮影活動を始める。これまで、坂本龍一、石丸幹二、ジョエル・ロブション、デヴィッド・ベッカム、武豊、上原浩治など数百人の著名人を撮影。そのほか料理、静物、風景など撮影ジャンルは多岐にわたり、NHK教育講座の人物撮影、広告などでも活躍中。
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    ビックカメラ柏店
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    〒277-0005 千葉県柏市柏1-1-20 スカイプラザ柏2F~7F
    電話番号
    04-7165-1111
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