[花火撮影]美しく撮るための基本からコツまでをわかりやすく解説!
梅雨が明けて夏になると、各地で花火大会がはじまり撮影の機会が増えてきます。
花火を撮影するときにはカメラの設定を調整するだけでなく、花火の種類や会場の特徴に合わせて機材を見直すことで、今まで以上に美しく撮れるものです。打ち上がった花火はわずかな時間で消えてしまいますが、露出・色調・ピント・構図・タイミングがイメージ通りに撮れて写真に残せた時の感動は大きいです。
今回は打上花火の撮影に必要な機材やカメラの設定、撮り方について紹介していきます。今年の夏はぜひ花火撮影にチャレンジしてみてください。
花火撮影に必要な機材
まずは当日用意をしておくべき機材をリストにしてみました。
| 機材 | 詳細 |
| カメラ本体 | BULB(長秒撮影)やTIMEが使用できる機種が良いでしょう。BULB撮影については後ほど触れます。 |
| カメラレンズ | 標準ズームと広角ズームレンズを用意します。 |
| リモコン | ※枠外にて説明 |
| 三脚 | ※枠外にて説明 |
| NDフィルター | ※枠外にて説明 |
| ヘッドライト |
・花火を見ると明るいものに目が慣れてしまい、手元のボタンやダイヤルが見えなくなり戸惑います。またカメラバックの中が全く見えなくなるので必須です。 |
| 傘 | 花火大会の会場では雨天でも傘は使用禁止にしていることが多いので、持っていくときは注意してください。 |
| 予備メディア | ― |
| 予備バッテリー | ― |
カメラレンズ
一か所打上の花火大会を会場内で撮影する場合は広角ズームレンズと標準ズームレンズの2本があれば良いでしょう。カメラのセンサーサイズによって用意したいレンズの画角が変わりますので注意してください。
APS-C:標準18-55mm、広角12-24mm
マイクロフォーサーズ:標準12-40mm、広角8-25mm
※保安距離の短い花火大会会場で撮影する場合、至近距離で撮影することになるので更に超広角レンズが必要になります。
リモコン
BULB撮影ではシャッターボタンを押すと撮影が始まり、ボタンから指を離すと撮影が終わるものと、シャッターボタンを2回押すと1枚の写真が撮れるリモコンがあります。事前に練習をしておきましょう。また、手で持っているとカメラの操作ができませんのでストラップを付けて首から下げられるようにしておくと使いやすいです。
※スマートフォンをリモコンの代わりにする場合
スマートフォンは物理的なボタンがありません。シャッターを押す度に画面を見なければならず、多少タイミングを失うことがあります。リモコン同様に手で持っているとカメラの操作がしにくくなるのでストラップを付けておきましょう。
三脚
立って撮影する場合と座って撮影する場合があります。フルサイズ機は本体とレンズで1sを超えることがあります。その場合は、中型や大型の三脚を選びましょう。軽量小型のカメラであれば、小型三脚を使用しても問題ありません。
雲台には自由雲台と3way雲台がありますが、移動の快適さを選ぶか撮影時の快適さを選ぶかは好みになります。
自由雲台:コンパクトなので持ち運びが楽です。電車やバスで移動する場合には自由雲台は最適
3way雲台:パーンハンドルを使うと撮影時の操作が快適、ただし移動時には多少邪魔になる場合あり
(NG例)不安定なまま撮影したため、花火の光跡がギザギザに写ってしまっている
レンズ選びと構図について
初めて行く花火大会では何ミリのレンズを用意したら良いのか迷う事があります。大規模な花火大会のホームページには使用される花火の大きさや打上場所(筒場)の略図が掲載されている場合があります。その情報を見て撮影場所と筒場の距離を把握しておきましょう。
一か所打上の花火を標準ズームレンズにて縦構図で撮る場合、私は以下の条件でレンズを選ぶようにしています。
尺玉の場合:500~600m離れるとバランスの良い写真が撮れます。
この条件よりも距離が近かったり、大きな花火が上がったりする場合は広角ズームレンズを使用します。
[適切な距離で撮影]一か所打上の昇曲導付花火
・標準ズームレンズを使用して500mの距離で尺玉を撮影
・上空の緑牡丹花火はほぼ球形に写っている
[近すぎる距離で撮影(NG例)]一か所打上花火
・16mm広角レンズを使用して200mの至近距離で4号玉を撮影
・上空の緑菊花火が歪んでしまっている
ワイドスターマインを横構図で撮影
彩色千輪菊花火一斉打ち上げを横構図で撮影した写真。競技大会の花火プログラムには打上方法が記載されているので事前に見ておくと構図に迷いがなくなる
ワイドスターマインを縦構図で撮影(NG例)
ワイドスターマインを縦で撮影したが上下左右のバランスの悪い写真になってしまった。
カメラ設定
露出モードとフィルターについて
基本はM(マニュアル)に設定して撮影しますが、花火は明暗差の激しい被写体なのでカメラ側の設定だけでは露出オーバーになる場合があります(明るい銀冠菊花火や雷はISO100、F13でも露出オーバーになります)。また、F値をF22やF32まで絞ると「回折現象(画像がぼやける)」で画質が落ちてしまいます。
そのため、露出オーバーになりやすい花火撮影ではNDフィルターを使用して露出調整すると撮りやすくなりますので紹介します。
| カメラの最低ISO設定 | NDフィルター | 絞り目安 |
| ISO100や160 | ND4 | F7.1 |
| ISO200 | ND8 | F11 |
*カメラによって下げられるISO設定が違いますので、使用するカメラの設定はご確認ください。
絞りは花火の明るさだけでなく、煙火店(煙火業者)の特徴、会場の様子、天候によって変わることはよくあります。撮影する度に背面液晶モニターで色・明るさ・ピントを確認して、露出オーバーや露出アンダーだと判断したら絞りを調整して次の花火を撮りましょう。1時間程度の花火大会ならば同じ位置に同じ花火が何度か開花するはずです。
また、再生ボタンを押して確認したのではタイミングを失います。撮影後AUTOで再生する設定にしておくことをおすすめします。
花火ごとの設定目安
近年は明るい花火だけでスターマインを構成することが増えていますが、江戸時代のおとなしい和火花火だけで構成する演出もあります。明るい花火と暗い花火が一緒に打ち上がる時には明るい花火が露出オーバーにならないように絞りを調整したほうが良いでしょう。真白に露出オーバーになってしまった写真はRAW現像でも調整できません。
| 和火花火 | 青牡丹花火 | 紅牡丹花火、 錦冠菊花火 |
緑牡丹花火、 パステルカラー |
銀冠菊花火 | |
| 写真 | |||||
| F値 | F4~5.6 ※NDフィルター無し |
F4~5.6 | F7.1~8 | F8~11 | F11~13 |
露出オーバーで白飛びしてしまった場合(NG例)
ホワイトバランスについて(WB)
花火の種類によって2つのWBを使い分けられると良いです。
色鮮やかな洋火花火:3300k程度
ISO、絞り、シャッター速度、2つのWBをカスタム登録やユーザー設定に入れておくとスムーズに切り替えられます。もし、WBを切り替えるのが大変な場合は、3500kで撮ってみてください。
ピクチャーモードはスタンダードやナチュラルをおすすめします。ビビットは色が濃すぎて紅色が飽和してしまいます。
シャッタースピード
BULBかTIMEで撮影するので気にしなくてもよいです(後の章でコツは解説)。
その他、OFFで良い設定
連射設定、手振れ補正(三脚を使用するため)、長秒時ノイズ除去(5~40秒で撮影することが多く、暗部ノイズの影響はわずか)、M露出なので測光モードと露出補正も不要です。
撮影のコツ
BULB撮影でシャッターボタンを押してから離すタイミング
花火の大きさ、種類、シンプルなスターマイン、盛大なワイドスターマイン、水中花火、ナイアガラ、手筒花火などそれぞれで撮るタイミングが変わります。
今回は上空で尺玉、中間では4号玉が数十発、低空では激しい扇打上が次々開花しているスターマインを撮る場合の一つの方法を紹介します。
A尺玉の昇曲導が上がってきて上空で開花する寸前にシャッターボタンを押します。
B尺玉が大きく開花して先端の親星が消えたらシャッターボタンから指を離します。
尺玉が開いている時間はおよそ8~15秒間です。その間にも4号玉や扇打上は継続し開花しているはずです。
C写真には上段には尺玉、中段には4号玉が数発、下段には扇打上が写るでしょう。
良い花火大会に出会ったら何度(何年)も通い、観察して特徴を覚えれば最適なタイミングで撮る事ができるでしょう。私は初めて行く花火大会では1回目は下見、2回目が試し撮り、3回目(3年目)が本番の撮影と考えています。何枚も撮った中で1枚バランスの良い写真が撮れたら大成功と考えています。
尺玉が開花する寸前にシャッターを押した写真
- 尺玉が開花する寸前にリモコンのシャッターボタンを押し、尺玉が消えたらもう一度シャッターボタン押して撮影。そのため尺玉の昇曲導は殆ど写っていない。
- 中間の花火と低空の噴出花火はバランスよく写っている。
シャッターを長めにして撮影をした写真
- 昇曲導から三尺玉が開花して消えるまでを30秒掛けて撮った写真。
- 前もってシャッタースピードは決めておかず花火の動きに合わせて撮影した。
ピント
ピントは「置きピン撮影」をおすすめします。最初に上がるスターマインをオートフォーカス(AF)でピントを合わせて、すぐにMFに切り替えて次の花火を撮ります。一度ピントを合わせればズームリングで構図を変えない限りピントは変わりません。
途中で、もっと広角側で撮影したい時にはもう一度オートフォーカス(AF)でピントを合わせますが、広角ズームレンズはズームリングを少し動かしてもピントはそれほどズレません。
所有しているレンズはズームリングをどの程度動かすとピントがズレるのか試しておくと良いでしょう。
補足として、AF測距は「スポットAF」では外れてしまうことがあるので、「全面測距」「ワイド」「オールターゲット」等の広いエリアを使用した方が良いです。
水中花火の撮影には角形ハーフNDフィルターを使う
角型ハーフNDフィルターはガラス板の半分だけNDフィルターになっていて半分は透明ガラスになっているフィルターです。
水中花火の場合に水面を明るく写すために花火だけにフィルターを掛けて、水面にはフィルターを掛けないようにする場合や、激しいスターマインで露出オーバーになりやすい低空の噴出花火だけにフィルターを掛けたりします。
角型の利点は構図に合せてガラス板を上下にスライドさせて、好みの位置で固定できるところです。丸形ハーフNDフィルターは常に構図の半分にフィルターが掛かってしまうため花火の撮影には適していません。様々なタイプがありますがGND8(0.9)リバースが最適です。マルミ光機、H&Yではマグネットで着脱できるタイプがあります。
角形ハーフNDフィルターなし
角形ハーフNDフィルターあり
ライブコンポジット
OM SYSTEMのカメラには星空や夜景を撮るための機能でライブコンポジット機能があります。
この機能は明るく変化した部分のみをカメラ内で合成する機能で、花火撮影でも利用できます。
薄い煙や靄(もや)で花火が見えにくくなった時にBULB(バルブ)で長時間撮影をすると煙や夜空が白っぽく写ってしまいますが、ライブコンポジットならば、薄い煙や靄(もや)は除外して明るい花火の光跡だけを撮影できます。
ライブコンポジットのシャッタスピード(コンポジット撮影設定)は1/2(0.5)を私は良く使っています。
※煙が大量に溜まってしまうときはライブコンポジットでも花火は写りません。
※夜景やライトアップされた構造物と花火を撮る時はBULBで撮ります。
ライブコンポジットで撮影(OK例)
BULB撮影(NG)
その他
花火大会の流れを予測しておくと設定がラクになる
花火大会には「一般的な花火大会」と「花火競技大会」があります。それぞれ進行に特徴があるので撮影しにいく花火大会はどちらなのかを、確認しておくと進行を予測できるので設定変更などやりやすいです。
| 一般的な花火大会 | 花火競技大会 | |
| 煙火業者 | 1~3社 | 10~30社 |
| 大会の流れ | ・1部スターマイン、2部メッセージ花火、3部ワイドスターマインなど | ・競技内容によって決まる ・単発花火を数社で打ち上げて審査、単発花火とスターマインを交互に打ち上げるetc |
| プログラムの確認方法 | ・公式HPで公開、会場で無料配布されていることが多い | ・一般的な花火大会と同様だが、有料で販売されることもある |
| 撮影のポイント | ・毎年ほぼ同じ演出のため、撮影しやすい ・プログラムのサブタイトルから花火の種類を予想しやすい |
・打ち上げ時間は長めで単調に感じられるかも ・プログラムに玉名(ぎょくめい)が書かれているので色、形、大きさがわかる |
マナーも大事
残念なことではありますが、花火大会が終わったあとに、飲食物のゴミ、ビニール袋、花火プログラム、レジャーシート、カメラマンが貼ったガムテープが貼りっぱなしなど無残な様子をよくみます。
花火大会の会場に到着したらゴミはどこに捨てることができるか確認はしておきましょう。また、会場によっては、ゴミは各自で持ち帰ることがルールになっているところもあります。「カメラマンさん達が居た場所はゴミが落ちて無かった」と言われるように心掛けて欲しいですね。
[最後に]上達するには何度も同じ会場に通うことが大事
花火撮影の上達のコツは、同じ花火大会の会場に何度も通うことです。私の中では、一回目は何処から花火があがるのか観察しながら撮影、二回目は前回の反省を踏まえて機材を変えたり、撮影場所を変えたりして再度試し撮りを行う、三回目に本番の撮影と心がけるようにしております。
何度も通って撮影を続けるうちに、花火の大きさや打ち上がるタイミング、色や明るさが分かるようになり、どの機材が適しているかも判断できるようになります。そんな成長を実感できるのも、花火撮影の醍醐味です。ぜひ、花火を楽しみながらチャレンジしてみてください。
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