街のベーカリーで買える惣菜パンは、休日の朝食や少し気分を上げたい日にぴったりな「ちょっとした贅沢」。とはいえ、せっかくのおいしいパンも時間とともに表面がしんなりしたり、温め直すと食感が台無しになったりしてしまうことも……。
そこで今回は、パンのリベイク機能に特徴を持つ高機能トースター4機種を用意。ハード系ソーセージパン、クロワッサン、フォカッチャ、カレーパンの生地や具材の異なる4種のパンで仕上がりの違いを比較してみました。
前回の記事では、高級トースター4機種比較[食パン編]についてご紹介した。
「パンの温め直し」もおいしい4製品
今回比較する4製品は、いずれもパンをおいしく焼くための機能を備えた高機能トースター。パンの種類に合わせて加熱を調整するオートメニューや、スチームを利用した加熱など、惣菜パンのリベイクに役立つ機能も充実しています。使用したのは、シャープの「ヘルシオ トースター AX-WT1」、ツインバードの「匠ブランジェトースター PLUS TS-D487」、ブルーノの「スチーム&ベイク トースター BOE067」、そしてバルミューダの「BALMUDA The Toaster Pro」の4製品です。
※価格は記事公開時点のものです。
シャープ「ヘルシオ トースター AX-WT1」
パンをおいしく焼くには水分が重要とされるため、近年はスチームを利用するトースターが増加。今回比較する製品もシャープを含む3製品がスチーム対応です。
一般的なスチームトースターは、少量の水を蒸発させることでパンの乾燥を抑えます。一方、シャープの「ヘルシオ トースター AX-WT1」は、水を蒸気に変え、さらに100℃を超える温度まで加熱した「過熱水蒸気」を熱源として使用。たっぷりの過熱水蒸気で食材を包み込むように加熱する、まさに「水で焼く」、他にはないトースターです。
パンや惣菜の種類に合わせたオートメニューを豊富に搭載し、加熱時間や火加減は自動調整可能。また、パンのメニューでは、ふわふわ度と焼き加減も好みに合わせて選べます。
ツインバード「匠ブランジェトースター PLUS TS-D487」
ツインバードの「匠ブランジェトースター PLUS TS-D487」は、パン職人の世界大会「iba cup 2015」で総合優勝した浅井一浩氏と共同開発しプロの火加減をオートメニューで再現したトースターです。
上部にカーボンヒーター、下部にハロゲンヒーターを搭載。遠赤外線と近赤外線の特性を生かし、パンの表面と内部に熱を伝えます。庫内温度をセンサーが秒単位で計測し、それぞれのヒーターを緻密に制御します。
常温・冷凍など食材の状態を含め、15種類のオートモードを搭載。パンの種類と状態を選ぶだけで、それぞれに適した温め直しができます。また、食パンを4枚同時に焼けるほか、直径25cmのピザにも対応する広い庫内も特徴です。
ブルーノ「スチーム&ベイク トースター BOE067」
ブルーノの「スチーム&ベイク トースター BOE067」は、3種類の加熱モードを料理に合わせて使い分けられるのが特徴です。少量の水を庫内で蒸発させ、食材の水分を保ちながら焼き上げる「スチームモード」、ファンで熱風を循環させ、食材全体を均一に加熱しやすい「コンベクションモード」、一般的なトースターと同じように上下のヒーターで加熱する「ノーマルモード」を搭載。
加熱温度も90~250℃の範囲で細かく設定できます。今回の製品のなかで唯一オートメニューはありませんが、その分操作はシンプル。食パン4枚焼きのトースターサイズながら温度や時間を細かく設定でき、ケーキ作りをはじめとしたオーブン料理にも活用しやすい製品です。
バルミューダ「BALMUDA The Toaster Pro」
バルミューダは、おいしさを追求する高級トースターブームの先駆けとなったメーカーです。
少量の水から発生させたスチームでパンの表面を薄い水分の膜で包み、内部の水分や香りを閉じ込めながら焼き上げる独自技術が特徴。今年フルモデルチェンジした「BALMUDA The Toaster Pro」では、従来のフランスパンモードとクロワッサンモードを「ベーカリーモード」に統合。
さらに、ハード系パン向けの「サワードウモード」と、カレーパンなどの揚げ物を温める「スチームデリモード」を新たに搭載し、食パン以外のパンがよりおいしく温め直せるようになりました。Proモデルには、食材の表面だけに香ばしい焼き目を付ける「サラマンダーモード」も搭載しています。
検証方法:4つの項目でパンのおいしさをチェック
今回は、食感や具材の異なる4種類のパンを用意し、各製品の取扱説明書やメーカーの推奨設定に従って温め直しました。
使用したのは、中に具材が入ったハード系パン、クロワッサン、具材をのせたセミハード系パン、カレーパンです。温め直したあとは、表面の焦げや焼きムラ、パン生地の食感、具材の温まり方、油や水分によるべたつきなどを確認。中心温度も測定し、見た目と実食の両面から仕上がりの違いを比較しました。
検証結果�@:ハード系ソーセージパン
最初に検証するのは、フランスパン生地にソーセージが入ったハード系の惣菜パンです。こうしたパンは、生地が温まっていても中のソーセージまで熱が伝わらず、具材だけが冷たいままになりがちです。また、フランスパンならではの、外側はパリッと香ばしく、内側はモチモチとした食感のコントラストも重要。そこで今回は、パンとソーセージが中までしっかり温まっているか、外側と内側の食感を損なわずに温め直せるかをチェックしました。
※総合評価は(A / B / Cの3段階で評価)
4製品を比較すると、パン生地だけでなく、中に入ったソーセージの温まり方にも違いが出ました。今回はソーセージの中央に温度計を挿し、中心温度を計測。ソーセージまでしっかり温まると脂が溶けて香りが立ち、弾力のあるジューシーな食感を楽しめることがわかりました。
シャープ(総合評価B)
皮のサクサク感は4製品の中でもっとも穏やかで、その分、しっとり、もちもちとした食感が際立ちました。「ハードパンらしさ」という意味で評価が下がってしまいましたが、もちもち感とソーセージのおいしさは4製品の中でもっとも高評価でした。
ツインバード(総合評価B)
サクサク感はあるものの、サクッとした層はやや薄め。皮の香ばしさよりも、中のもちもち感が引き立つ仕上がりでした。ソーセージについては「もう少し温かいほうがよい」という意見も。ハードパンらしさは楽しみつつも、皮の香ばしさよりもちもち感を重視する人に向いた仕上がりです。
ブルーノ(総合評価A)
4製品の中でもっとも皮の香ばしさが際立ちました。サクサクというより、厚みのあるクラストをザクザクとかみしめるハードパンらしい食感です。一部スタッフからは「少し硬すぎる」という声もありましたが、ハードパンらしい軽快な食感を求めるスタッフには人気の仕上がりでした。
バルミューダ(総合評価A+)
もっとも焼き色が濃くなり、香ばしい香りが食欲を誘います。意外なことにザクザクとしたクラストはブルーノより薄め。外側の香ばしさと中の食感のバランスがよく、スタッフからもこの仕上がりを支持する意見が多く聞かれました。ソーセージまでしっかり温まっており、香りも豊かに感じられます。
検証結果�A:クロワッサン
次に検証するのは、バターをたっぷり使い、薄い生地を何層にも重ねたクロワッサンです。高さがあるためヒーターとの距離が近くなり、上面だけが焦げやすい一方、焦げを防ぐために火力を抑えると中まで十分に温まらないこともあります。内部が温まっていないとバターが固いままで、豊かな香りも引き出せません。そこで今回は、上面を焦がしすぎず中までしっかり温められるか、表面のサクサク感と内部のふんわり感、バターの香りを引き出せるかをチェックしました。
※総合評価は(A / B / Cの3段階で評価)
クロワッサンは、表面のサクサク感だけでなく、薄く重なった層の繊細さや内部のふんわり感、バターの香りにも違いが出ました。表面にしっかり焼き色がついていても、内部まで温まっているとは限りません。中まで適度に熱が入ったクロワッサンは、バターの香りが広がり、油っぽさを感じにくい、クロワッサンらしい軽やかなおいしさを楽しめました。
シャープ(総合評価A+)
4製品の中でもっとも時間をかけて温めるためか、内部までふっくらと温かくなり、バターの香りもしっかり感じられました。表面もサクサク。薄い層が一枚ずつほどけるように繊細に分かれ、バターのくどさを感じにくい、軽やかな食感に仕上がりました。
ツインバード(総合評価B+)
薄い層が繊細に分かれた、サクサクとした皮の食感が魅力です。ただし、内部のふんわり感とバターの香りはシャープよりやや控えめ。クロワッサンの皮の軽快な食感を重視する人に向いた仕上がりだと感じます。
ブルーノ(総合評価B)
今回唯一、クロワッサン用のメニューがなく、加熱温度や時間を自分で調整する必要がありました。メーカー指定の目安は220℃で1分20秒~1分40秒ですが、わずか10秒の違いで表面が黒く焦げることもあり、加熱中は目が離せません。メーカー推奨の設定では表面に濃い焼き色がついた一方、内部の温度はそれほど上がらず、ふんわり感やバターの香りもやや控えめです。
バルミューダ(総合評価A+)
表面にサクサク感はあるものの、シャープやツインバードのように薄い層が繊細にほどけるというより、表面全体がひとつの層としてサクッと割れる印象です。一方、内部はふんわりとした食感。中心温度はそれほど高くなかったものの、バターの芳醇な香りをしっかり感じられました。
検証結果�B:野菜とチーズのフォカッチャ
次に検証するのは、もちもちとした生地が特徴のフォカッチャです。フォカッチャは生地にオリーブオイルを使っているため、温め直し方がうまくいかないと、具材から出た油とオリーブオイルがパンの底にたまり、べたついた仕上がりになることがあります。[はく22.1]
そこで今回は、表面のチーズを焦がしすぎずにパンの中心まで温められるか、底面がべたつかず、フォカッチャらしいもちもち感を引き出せるかをチーズと野菜をのせたフォカッチャでチェックしました。
※総合評価は(A / B / Cの3段階で評価)
今回の4種類のパンの中では、フォカッチャが全体的にもっとも評価の伸びなかったパンでした。フォカッチャらしい「表面はサクッと、中はもっちり」という仕上がりを両立するのは難しく、明確なサクサク感を得られたのはブルーノのみ。各製品に一長一短がありました。一方、生地にも具材にも油分が多いため、パンの底に油がたまってべたつくことを心配していましたが、4製品とも底面に油っぽさやべたつきは見られませんでした。
シャープ(総合評価B)
メーカー推奨の設定で温め直したものの、表面のチーズなどは溶けていたものの内部はややぬるさを感じる温度でした。パンは香ばしさは控えめで、もっちりとした食感を好む人に向いた仕上がりです。
ツインバード(総合評価B+)
表面がしっかりと焼かれてツヤのある仕上がりに。中はふかふかでもっちりとしており、チーズもきちんと溶けていました。表面のサクサク感は控えめですが、パンと具材のバランスがよく、スタッフからは「今回の中でもっともおいしい」という評価がありました。
ブルーノ(総合評価B)
フォカッチャらしいもちもち感には物足りなさを感じるという意見もありましたが、4製品の中でもっとも表面がサクサクに仕上がりました。歯ごたえも一番あり、パン内部のもちもち感よりも香ばしさを重視する人に向いています。
バルミューダ(総合評価B)
表面に薄くサクッとした食感があり、チーズもしっかり溶けていました。ただし、パンの内部までは十分に温まっていない印象。そのためか、もう少しフォカッチャらしいもちもち感が欲しいという意見もありました。
検証結果�C:カレーパン
最後に検証するのは、油で揚げた生地の中にカレーが入ったカレーパンです。時間が経つと表面が油を吸ってべたつきやすく、温め直しても衣のサクサク感が戻らないことがあります。また、表面をしっかり焼こうとすると焦げやすい一方、加熱が足りないと中のカレーが冷たいままになりがちです。
そこで今回は、余分な油を適度に落として表面をサクサクに仕上げられるか、焦がさずにカレーの中心までしっかり温められるかをチェックしました。
※総合評価は(A / B / Cの3段階で評価)
カレーパンでは、表面のカリッと感と、中のカレーの温まり方に違いが出ました。表面をもっともクリスピーに仕上げたのはブルーノ、カレーの温度とおいしさがもっとも高く評価されたのはツインバードです。一方、総合的に一番高い評価を受けたのは表面と中身の両方をバランスよく仕上げたバルミューダでした。
シャープ(総合評価A+)
表面にカリッとした食感はしっかり出たものの、揚げたてのような香ばしさは控えめでした。一方、具材のカレーはしっかり温まっており、カレー本来の味や香りを十分に引き出せています。
ツインバード(総合評価A)
表面にカリッと感はあるものの、「もう少しクリスピーさが欲しい」という意見が多かったです。ただし、カレーの中心温度は4製品の中でもっとも高く、パンをカットするとカレーが柔らかくとろけているのがわかります。中身のおいしさがもっとも高く評価された製品です。
ブルーノ(総合評価A)
パン表面のカリッとした食感が4製品の中でもっとも良好で、揚げたてに近い衣の食感を楽しめました。一方、中のカレーは十分になめらかにならず、ややボソボソとした食感が残りました。
バルミューダ(総合評価A+)
表面のカリッと感、中のカレーのおいしさともに単独では最高評価ではありませんでしたが、両者のバランスがもっとも良好でした。衣の食感と中身の温まり方のどちらにも大きな不満がなく、カレーパン全体としての完成度が高く評価されました。
好みの食感と操作性で選ぶのがおすすめ
| 機種名 | シャープ | ツインバード | ブルーノ | バルミューダ |
| 表面のサクサク感 | ○ | ○ | ◎ | ◎ |
| 中身のもちもち・ふんわり感 | ◎ | ◎ | △ | ○ |
| 具材の温まり方 | ○ | ◎ | ○ | ○ |
| 仕上がりのバランス | ○ | ○ | △ | ◎ |
今回の比較では、製品によって得意な食感だけでなく、操作方法にも大きな違いが感じられました。パンの種類や好みの仕上がりに加え、どこまでトースターに任せたいかも製品選びの重要なポイントになりそうです。
シャープとツインバードは、パンの種類や焼き加減などを選べば、加熱時間や火加減はトースターが自動調整。今回の検証でも大きな失敗がなく、温め直しを安心して任せられました。
シャープ
焼き色が控えめになることが多かったものの、中をもちもち、ふんわりと仕上げるのが得意です。皮をもう少し香ばしくしたい場合は、焼き加減を最大にしたり、手動モードで温度を上げたりする調整が必要ですが、パンのやわらかさやもちもち感を重視するなら有力な選択肢です。
ツインバード
どのパンでも大きく失敗しにくく、フォカッチャのようにパンによっては特に高い評価を得ました。今回唯一庫内灯を搭載しているうえ、扉の窓も大きく、焼き色の確認しやすさは4製品の中で一番。オートメニューで手軽に温め直しながら、加熱中の様子もしっかり確認したい人に向いています。
ブルーノ
4製品の中でもっとも設定項目が多く、モードに加えて温度と時間を自分で合わせる必要があります。タイマーの目盛りの間隔が狭く、厳密な時間設定がしにくい一方、クロワッサンではわずか5~10秒でも焼き色が変わるため、操作に慣れるまではかなりシビアだと感じました。ただし、高火力で表面を短時間にカリッと仕上げる力は今回の4製品で際立っています。細かな調整を苦にせず、クリスピーな食感を重視する人には魅力的です。
バルミューダ
パンに合わせたメニューを搭載していますが、加熱時間は自分で設定します。オートメニューにすべて任せる手軽さはないものの、焼き色や食感を好みに合わせて調整しやすいのがメリットです。今回の検証では、サクサク感と内部の食感、具材のおいしさのバランスに優れ、特にハード系ソーセージパンとカレーパンで高い評価を集めました。
操作をできるだけトースターに任せたいならシャープかツインバード、仕上がりのバランスを重視するならバルミューダ、短時間で表面をしっかりカリッとさせたいならブルーノ。ひと口に惣菜パンの温め直しといっても、製品によって得意な仕上がりは異なります。よく食べるパンの種類と好みの食感、操作にどこまで手間をかけられるかを基準に選ぶのがよいでしょう。
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