マクロレンズの選び方|マクロ撮影の魅力と標準・中望遠レンズの違いをレクチャー
マクロレンズで被写体にぐっと近づくと、肉眼では気づかなかった小さな世界が見えてきます。花や雑貨はもちろん、街角のスナップや動物撮影にも使えるのがマクロレンズの面白さ。今回は50mmと105mm、2本のマクロレンズを持って身近な被写体を撮影してみました。
マクロレンズの特徴
小さな被写体を大きく写せる
マクロレンズはズームレンズや単焦点レンズと比べて、ピントを合わせられる一番近い距離「最短撮影距離」が短いので、被写体にぐっと寄って撮ることができます。
たとえば高倍率ズームレンズの「NIKKOR Z 24-120mm f/4 S」は0.35mで撮影倍率は0.39倍ですが、標準マクロの「NIKKOR Z MC 50mm f/2.8」は0.16m、「NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S」は0.29mで、どちらのレンズも被写体を等倍(1センチのものを1センチの大きさに)に写すことができます。
ドリンクにかなり近づいてミントの葉にピントを合わせて撮りました。被写体の小さい部分をクローズアップするとピント面はシャープに写り、周りは大きくボケて柔らかい描写になります。
柔らかい大きなボケが美しい!
ボケのある写真を撮るには「絞りF値を小さく」「望遠で撮る」ほかに「被写体に近寄る」方法があります。撮影倍率が大きいほど被写界深度は浅くなるため、大きなボケを生かした表現がしやすくなります。マクロレンズはほかのレンズよりも被写体に近づけるので、その効果でより柔らかい大きなボケのある描写になります。アングルによってはメインとなる被写体自体の中にボケができるので、ピント位置は重要です。
ケージに入っている猫をフェンス越しに撮りました。被写体から離れて撮るとフェンスのラインが写ってしまいますが、レンズをフェンスにできるだけ近づけ、奥の猫にピントを合わせることで、手前のフェンスを大きくぼかしました。
マクロレンズの種類
標準マクロと中望遠マクロ
マクロレンズは標準画角の50mm、90~105mmの中望遠画角が主流です。カメラメーカーやレンズメーカーによってレンズの焦点距離や撮影倍率は変わりますが、被写体に近づいてマクロレンズらしい撮影を楽しめます。また、「じゃない」使い方として被写体から離れて単焦点レンズのように使って撮ることもできるので、被写体との距離感は近接から遠景まで幅広く自由度が高いのもうれしいです。
初めてのマクロはどちらを選ぶ?
ワーキングディスタンスで選ぶ
マクロレンズは被写体にぐっと寄って撮ることができるレンズですが、花や昆虫など必要以上に近づきたくない被写体では、ワーキングディスタンス(レンズ先端から被写体までの距離)を取りやすい105mmが活躍します。被写体に近づけるときは標準画角に近い50mm、近づくことができない場合は中望遠の画角の105 mmというように被写体とのワーキングディスタンスで選び分けると便利です。
カメラに合わせて機動性重視で選ぶのもアリです。
写り方の好みに合わせて選ぶ
上の時計の写真のように標準マクロ、中望遠マクロ、それぞれ近づいて撮ることができる場合、例えば同じ被写体でも、50mmと105mmでは画角と被写体との距離が変わります。50mmは周囲の背景を比較的取り込みやすく、105mmは画角が狭いため背景を整理しやすいのが特徴です。同じ大きさに被写体を写す場合でも、105mmのほうが離れた位置から撮影できます。静物のクローズアップなど、狙った一点へ厳密にピントを合わせたいときはMFも有効です。
マクロ50mmとマクロ105mmでスナップ
今回はフルサイズミラーレスカメラNikon Z8に「NIKKOR Z MC50mm f/2.8」と「NIKKOR Z MC 105mm f/2.8VR S」をつけてスナップしました。
マクロレンズは三脚で撮影するだけではなく、気軽に手持ちで撮ることもできます。
真夏のバラは少し見ごろを過ぎていましたが、一輪だけ佇むように咲いていました。見上げて木々の木漏れ日が背景になるアングルを見つけ、バラがボケすぎない被写界深度を考えてF5.6に。背景の玉ボケのグラデーションで強い日差しの中で涼やかに感じる雰囲気になりました。
カフスボタンをレザーケースの上に並べてテーブルフォトを撮りました。かなり近づいて撮るため、
順光ではなく半逆光のアングルで反射のハイライトをアクセントにしています。ピント位置はマニュアルで、露出も抑えてスタイリッシュに。
マクロレンズは被写体に近寄らなくても撮ることができるので、街並みをスナップするときにMC50mmを標準画角の単焦点レンズ50mmの感覚で使うことができます。ショーウィンドーに映る景色をミラーのように捉えると空間が両面に現れるのでストリートが広がり、ドラマティックな光景になります。
ショーウィンドーにアジアンテイストの棚とランプが並んでいました。正面から見ると白っぽく反射してクリアに見えませんが、自分の影をいれないようにローアングルで見上げると夏の青空と雲が広がっていました。空の映り込みを入れて合成写真のようにスナップ。小鳥の上は青空が似合います。
ケーキに近づいてファインダーを覗くとムースのしっとした柔らかさが伝わる雰囲気。落ち着いたトーンの中にキラリと光る金箔にピントを合わせると繊細な立体感が美しく感じられます。単焦点レンズよりも近づいて撮ることができるので、独特の描写感になります。
公園のリスは近寄ってきてくれますが、撮ろうとするときにはもういない。このようなときは中望遠マクロ105mmが活躍します。
AFモードはAF-C、AFエリアモードは3D-トラッキングで連写をして狙いました。写真を見るとのんびり水を飲んでいるようですが、ほんの数秒。高速シャッターで動きの速いリスを捉えました。水面に広がる波紋も描写できました。
マクロらしい近寄って撮れる小さい生き物としてアリを探して、花の中で発見しました。離れてみると気付かなかったのですが、花びらの中をファインダー越しで捉えるとアリが恐ろしいほど速く駆け抜け、AFでは追いつかないスピードです。近寄ると被写界深度が浅いので、ピントをアリの頭に合わせるのが難易度高め。現れては消えるアリをマニュアルフォーカスで狙い続けて撮りました。
まとめ
マクロレンズは被写体に対してグッと近づけるのが特徴で、小さいものを大きく写せるレンズです。
大きくといっても拡大ではなく等倍(1cmのものを1cmに)までになりますが、近接撮影ではシャープで繊細、大きなボケ感も描写できるので実際に撮れた写真は想像以上にファンタジック。近づくだけで思いもよらない不思議な世界を発見できます。
ピント合わせもMFを使うとレンズを使いこなす実感もわき、被写体との距離感で標準マクロや中望遠マクロを使いわけると表現のバリエーションも増えます。
また、マクロレンズは近い距離から無限遠までピントを合わせられるので、花や昆虫、雑貨やスイーツなどのテーブルフォト、ポートレート、動物、風景などさまざまなシーンで楽しめるレンズです。
自分に似合うマクロレンズを探して撮ってみましょう。
この記事を読んで気に入ってもらえた方は
SNSでのシェアをよろしくお願いします