Rokid スマートAIグラス使用レビュー|普段遣いできるか試してみた
AIグラスが各社から登場し、「実際どこまで使えるの?」と気になっている人も多いのではないでしょうか。
今回試した「Rokid スマートAIグラス」は、AIの回答やナビゲーション、翻訳字幕などを視界に表示できるスマートグラスです。実際に使ってみると、必要な情報を視線の先で確認できる便利さは想像以上。通勤や仕事、旅行など、活躍する場面が数多くありました。
もちろん、万能というわけではなく、向いている使い方と苦手な場面もあります。
本記事では、実際に生活の中で使って分かったメリットと気になった点を率直にレビューします。
基本スペックから装着感などをチェック
約49gで存在感はあるが、短時間なら気にならない
本体の重さは約49g。一般的なメガネが20~30g程度なので、手に取るとそれなりに重さを感じます。実際にかけてみると、テンプル(つるの部分)がやや太いうえ、一般的なメガネはレンズが緩やかにカーブをしているのに対して、Rokid スマートAIグラスのレンズは完全にフラットです。こうした太いテンプルと直線的なデザインから、普通のメガネとは違うなという印象を強めています。
また、短時間なら気になりませんが、長時間かけていると、重さで少し疲れを感じました。
緑の単色で文字はしっかり読める
レンズ部分に表示される情報は緑色の単色表示で、解像度は640×480ドットです。カラーではないため写真や動画の表示には向きませんが、文字情報を映し出すには十分な視認性を持っています。明るい屋外でも、輝度を上げればしっかりと読み取ることができました。
操作は右側テンプルのタッチパッドと、「Hi Rokid」という音声呼び出しで行います。前後のスワイプとタップに慣れれば、直感的に扱えます。
バッテリー持ちは通常は8~10時間、翻訳・字幕を使うと一気に減る
バッテリー容量は210mAhで、通常の使い方なら8~10時間ほど持ちます。ただし、翻訳や字幕表示のようにディスプレイを連続で表示し続ける使い方では消費が大きく、1分で1%程度の勢いでバッテリーが減っていきます。長く使う日は、つる(テンプル)の先端に取り付けて駆動時間を延ばせる別売りのカプセル充電器をあわせて用意しておくと安心です。
度付きレンズはビックカメラの店頭で作成可能
毎日のメガネとして使ううえで気になるのが、視力矯正への対応です。Rokid スマートAIグラスはマグネットで着脱するクリップオン式レンズに対応しており、度付きレンズを取り付けられます。
ビックカメラでは、店内の眼鏡売場「ビックコンタクト」で度付きレンズの作成を受け付けています(メーカー:SAビジョン、フラットレンズ/ゼロカーブ、品番SA1.60SPUV_FLAT_RX、撥水ハードマルチコート+UVカット、2枚1組15,800円・税込)。
常備在庫ではなく特注のため、納期は1週間ほどかかります※。普段からメガネを使っている人でも度付きで使える環境が用意されているのはうれしいポイントです。
※「メーカーの在庫状況により納期は変動する場合があります。
カメラを使ったAI認識。目の前のものを「これは何?」と聞いてみる
このグラスでもっとも便利だと感じたのが、カメラとAIを組み合わせた認識機能です。「Hi Rokid」と呼びかけて「これは何?」と聞くと、カメラに映ったものを認識し、文字と音声の両方で教えてくれます。AIエンジンはChatGPTとGeminiに対応しており、専用アプリからどちらを使うか選べます。
たとえば、散歩中に見かけた植物や見慣れない建物に「これは何?」と尋ねると、名前や簡単な説明が返ってきます。スマートフォンを取り出してカメラを向け、検索するという一連の手順が、声だけで完結します。「この文字を翻訳して」と頼めば、外国語の看板やメニューもその場で日本語を確認できます。両手がふさがっていても使えるので、街歩きや買い物の途中で気軽に頼れます。
サプリメントなどの英語のラベルもすぐに和訳できるのは便利です。
周囲に人がいて、声を出して操作するのが難しいという場面でも、あらかじめショートカットを登録しておけば、テンプルを2本指で長押しするだけで、目の前のものを認識したり、文字を翻訳したりすることが可能です。カスタム指示は300文字以内であれば複数の内容を併記することでもできるので、よく使う内容を登録しておくとより便利になります。
この点は非常に使い勝手良く、カメラを搭載しているメリットが大きいです。返答がディスプレイ内に表示されるので、周囲がうるさくて音声が聞き取れないといった場合にも有効です。
ただし、AIアシスタントとして万能というわけではありません。とくに、日本語音声での読み上げは、ところどころ不自然な部分も残ります。この点は今後のアップデートに期待したいところです。
Rokid スマートAIグラスが搭載するカメラは1200万画素で、自分の視線に近い一人称視点(FPV)で撮影できます。両手がふさがっていても音声コマンドだけで撮影できるので、料理中の手元や、その場の雰囲気を気軽に残すのに向いています。
写真の画質が、普段使っているスマートフォンとどれくらい違うのかは、気になる人も多いはずです。そこで、同じ被写体をいくつか撮り比べてみました。使用したスマートフォンは、Galaxy Z Fold 7(約2億画素)です。
まず、東京ビッグサイトです。スマートフォンやPCの画面で見る程度なら、1200万画素のRokid スマートAIグラスでもほとんど遜色はありません。
ただし、拡大してみると、さすがに解像感やディテールの描写には明確な差が生じます。
室内で観葉植物を撮影してみたところ、光量が確保されていれば、十分に明るく綺麗な写真を残すことができました。
一方で、歩きながらの動画撮影は若干揺れが目立ち、アクションカメラのような用途には向きません。また、静止画も含めて、カメラがフレームの左端にあるため、自分が見ている中心よりやや右にずれて写ります。何度か撮影して距離感をつかむ必要がありますが、慣れれば大きな問題ではないでしょう。
撮影する写真や動画のアスペクト比は、アプリの設定から変更できます。一般的な横向きの「4:3」や、スマートフォンの画面いっぱいに表示できる縦向きの「16:9」など、用途に合わせて柔軟に設定可能です。
なお、カメラを内蔵している以上、公共の場では撮影マナーに気を使います。撮影中はフレーム右側のインジケーターが光る仕組みですが、その仕様を周囲の人が知っているわけではありません。周囲の人に不要な誤解を与えないよう、使う場面はしっかり選びたいところです。
初めて行く場所で活躍するナビゲーション機能
外出先での道案内も、スマートグラスらしさを体感しやすい機能です。GoogleマップとARナビを連携させると、進む方向や曲がる地点が視界に表示されます。スマートフォンを手に持って見下ろす必要がなく、視線を前に向けたまま歩けるのがメリットです。
地図全体を見渡せるスマートフォンに対し、グラスは「次にどちらへ曲がるか」といった直近の要点に絞って表示します。大まかなルートを把握したいときはスマートフォン、視線を上げたまま要所だけ確認したいときはグラス、というようにデバイス間で使い分けるのが良さそうです。
ただし、ナビ表示をずっと見続けると、視界の情報に気を取られて前方への注意が散漫になってしまうので注意が必要です。画面は常時表示されますが、同時に音声でも案内されるので、曲がり角など必要な場面でパッと確認するくらいの使い方が、安全面の観点からもちょうどよいとではないでしょうか。
リアルタイム翻訳と字幕表示
人と話をしていたり、会議中にうっかり聞き逃してしまった場合に便利なのが、音声の字幕表示機能です。相手の発言が視界に字幕として表示されるので、「今なんて言ったの?」という場合にすぐテキストで確認できます。
また、リアルタイムの翻訳機能も備えています。英語や中国語などを自動で認識し、日本語に翻訳してディスプレイ内に表示してくれます。主要6言語はオフラインでの翻訳にも対応しているので、通信環境が不安定な場所でも利用できるのが実用的です。
実際の音声認識の精度を検証するため、静かな室内を使って自分で文章を音読して確認してみました。音読したのは、青空文庫の『坊っちゃん』の冒頭です。結果としては、はっきり発声すれば、かなり正確に字幕化される印象でした。話し方や読む速さによって精度は変わりますが、文字起こしの実用性は十分に備わっています。
字幕や翻訳は、あとからスマートフォンのアプリで確認することもできます。
ただし、いくつか弱点もあります。1対1で向かい合って話すときは、字幕を読むためにユーザーの視線が相手の目から不自然に逸れやすくなり、対話相手に違和感を与えてしまう懸念があります。また、長文になると翻訳が途中で止まってしまったり、精度が落ちたりする場面もありました。
さらに、連続でのディスプレイ表示はバッテリーの消費が激しく、字幕や翻訳を使い続けると体感では2時間ともちません。長時間の会議やセミナーで使い続けるのは難しいので、先にも触れた別売りのカプセル充電器などを併用する必要があるでしょう。
通知・会議メモは補助的な機能
多機能な本機ですが、現行のシステムではまだ発展途上という印象で、使いどころが難しい補助的な機能もいくつかあります。
その一つが、スマートフォンの通知をディスプレイに表示する機能です。メッセージやメールが届くとディスプレイに表示されるので、一見すると便利に思えるのですが、残念ながら現時点では本文までは読めません。「通知が来た」と気づくところまでで、内容を確認するには結局スマートフォンを開くことになります。
会議メモ(録音)機能も、グラス単体で音声を録音できるものの、翻訳のようなリアルタイムの字幕表示は出ません。文字起こしや要約は、あとからスマートフォンのアプリで行う形です。どのみちスマートフォンが必要になるなら、最初からスマートフォンのマイクやAIボイスレコーダーなどで録音したほうが効率的ですし、その間にRokid スマートAIグラスで字幕表示などの機能が使えます。あえてグラスで録音する理由は見つけにくい気がします。
これらは現状では物足りない部分ですが、裏を返せば、今後のアップデートで伸びる余地がある機能ともいえます。
結局、常用できる?どんな人に向く?
しばらく使ってみての結論として、Rokid スマートAIグラスを普通のメガネと同じように「一日中かけっぱなしにする」のは難しい、というのが率直な実感です。重さや、視界に出る情報を読み続ける負担、そしてバッテリーの持ちを考えると、必要な機能を必要な場面だけ起動する「ピンポイント運用」が現実的ではないでしょうか。
向いているのは、出張や旅行で初めての場所に行く機会が多い人、英語のプレゼンやセミナーを聞く場面がありリアルタイムで視覚的な補完が欲しい人、作業中など両手をふさがずに目線に沿った写真や映像を撮影したい人。そして何より、新しいガジェットを試すこと自体を楽しめる人です。
反対に、一日中かけて使えるメガネを期待している人や、スマートフォンのように淀みのない高度なAIマルチタスクを期待している人には、いまの完成度では物足りなさを感じてしまう可能性が高いです。
決して安い買い物ではないので、「自分のどの用途に刺さるか」をはっきりさせてから検討すると、後悔しにくいはずです。翻訳が必要な場面が多い人や、ハンズフリーで撮影したい場面が多い人なら、その一点だけでも使う価値を感じられると思います。
プロダクトとして完全に成熟しきっているとは言えません。それでも、視界に情報が直接表示される体験には、これまでのガジェットにはない面白さと未来感があります。「ここぞ」という場面で活躍する一台として、気になっている人はぜひ一度試してみてほしいと思います。
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