イヤホン カナル型 N20LT ブラック [ライトニング端子]

鮮烈なサウンドで「Nシリーズ」の方向性を決定付けたAKGのイヤホンの名機「N20」。そのバリエーションモデルとして、Lightning端子を採用した「N20LT」が登場した。

Bluetoothモデルを活用する手もあるが、あえてLightningイヤホンを選ぶメリットとはなにか。それは、サッと挿すだけで使えて有線接続ゆえに遅延がないという「使い勝手」。そして、Lightningイヤホン側のDACを使って48kHz/24bitで信号処理が行えることによる「音の良さ」だ。

本機をiPhone6のLightning端子に接続してRADWIMPS『前前前世 (movie ver.)』を試聴。そのサウンドはダイナミックなレンジ表現と、空間を生み出す躍動感溢れるものだ。エレキギターは空間的な広がりを持たせて音情報を鳴らし分けるし、男性ボーカルの声もきれいにセパレーションされクリア。シンバルの金属音も繊細かつ存在感を持って鳴らし、ワイドレンジな音再現が効いている。そして重低音はベースラインを存在感たっぷりに鳴らしてくれるので、ロックを聴くのにベストバランス。気持ちよく大音量で音楽を聴かせてくれる。

映画『ラ・ラ・ランド』のサントラから「アナザー・デイ・オブ・サン」を聴いても、ピアノの音の響き、ウッドベースの存在感ある響きと楽曲全体のサウンドフィールドを気持ちよく展開。特にコーラスの音の見通しに優れると感じた。電車のなかでも試聴してみたが、ボリュームを上げて聴いた時の音楽への没入感は素晴らしい。

N20をヘッドホンジャックに接続して同じ音源を聴くと、基本のトーンこそ変わっていないが『前前前世 (movie ver.)』を聞くと中域の音情報のクリアネス、そして高域の抜けの良さはN20LTの方が一枚上手。『アナザー・デイ・オブ・サン』を聴いてもイントロのピアノの音の質感、また中域のS/N感が向上している。また低域はN20が量感を押し出すタイプであるのに対して、N20LTは量感はそのままにタイトな情報量を持って鳴らすので、音源の情報を引き出すという点でN20LTの方が聴きごたえがある。

N20LTはLightningイヤホンとしても音の抜けの良さと音場感、中域のクリアネス、重低音とバランスと、どこを見ても隙がない。従来のイヤホンと同じ使い勝手で、よりいい音を楽しみたい方におすすめしたい。

文：折原一也

※AV/オーディオ/ガジェット情報サイト「PHILE WEB」所収記事を短くまとめたものです。