α7R VI + FE 100-400mm F4.5 GM OSS作例レビュー
α7シリーズの高画素モデルとして人気の「R」シリーズの第6世代となる今回のRは、シリーズとして初めて積層型CMOSイメージセンサー「Exmor RS™」を搭載。有効最大約6680万画素と、最新の画像処理エンジンBIONZ XR2を搭載することで静止画撮影時最大60回/秒のAF/AE演算を実現し、高速読み出しによる最高約30コマ/秒の高速連続撮影を可能にしています。
今回は同時に発表・発売となった超望遠ズームレンズ、FE 100-400mm F4.5 GM OSSと共にそのポテンシャルを検証してみました。
第6世代に進化した「7R」シリーズの実力とは
α7Rシリーズ初・積層型CMOSイメージセンサー「Exmor RS™」の驚くべき描写力
写真を大きくプリントする上で王道とも言える高画素機ですが、その性能と引き換えに演算処理のために処理速度が遅かったり、暗部描写に不満を持っていたりした方も多かったことと思います。それだけにこのカメラのキビキビとした動きには最初「本当に66MPのカメラなの?」と驚きを感じました。撮り進めていくにつれ、それが実力であることを知ると「高画素機だからそれを考えて対策しよう」という気持ちがキレイさっぱり消えました。
- カメラ:ソニーα7R VI
- レンズ:FE 28-70mm F2 GM (28mm時)
- 絞り値:F8
- 露出時間:6秒
- ISO:100
- 露出補正:0
- 露出モード:M
スローシャッターを使い、土曜日の夜景を狙ってみました。高画素機にとっては暗部の再現性が問われる場面ですが、ノイズも最小限に押さえられ、緻密に描写されていることがわかります。
進化したリアルタイム認識AF+
今回の試写で意識して取り組んだのは、動体撮影(動く被写体をα1 II、α9 IIIと同じように撮る)でした。いままでの高画素機だと演算速度が遅いため、限られた瞬間に1枚で決めるような撮り方をしていた被写体でも、α7R VIの処理能力が大きく向上したことで、動体撮影でも高画素機の緻密な描写が得られることが分かったのは大きな収穫でした。
- カメラ:ソニーα7R VI
- レンズ:FE 100-400mm F4.5 GM OSS(400mm時)
- 絞り値:F4.5
- 露出時間:1/2500秒
- ISO:5000
- 露出補正:0
- 露出モード:M(ISOオート)
大雨の中、時速275kmで駆け抜けていく新幹線の姿を狙いました。秒速に直すと約76m、5秒足らずで目の前から消える被写体を約30コマ/秒で連写していますが、先頭車両に合焦すると、窓下のワイパーにきちんと合焦した状態で連写することができました。
最大60回/秒の高速AF/AE演算、約30コマ/秒のブラックアウトフリー高速連続撮影
AF/AE演算とブラックアウトフリーの性能向上も、高速連続撮影をする上で見逃せないポイントです。野鳥や飛行機など見かけ上の速度はそんなに早くない被写体でも、太陽の当たる角度が刻々と変化する場合には、演算速度の遅いカメラでは対応することができないからです。
- カメラ:ソニーα7R VI
- レンズ:FE 100-400mm F4.5 GM OSS(400mm時)
- 絞り値:F8
- 露出時間:1/2500秒
- ISO:800
- 露出補正:0
- 露出モード:M(ISOオート)
南風運用で羽田空港B滑走路から離陸する機体を地上から狙いました。騒音対策のため、滑走路中程から機体が急上昇するので露出の変化が目まぐるしいシチュエーションですが、ストレスなく撮影することができました。機体の動きに合わせてズーミングをしながらでも的確に合焦しているのが印象的でした。
α1 II、α9 IIIに迫るポテンシャル、足りない部分
今回新たに搭載された新世代の画像処理エンジン「BIONZ XR2」のおかげで、カメラ全体のレスポンスは大きく向上しています。大きな驚きは消費電力量の低減です。今回から設定された新しい縦位置グリップVG-C6に、こちらも新しいリチャージャブルバッテリーパックNP-SA100を2個搭載した組み合わせで撮影したのですが、新幹線の撮影時に1000コマ撮影してもバッテリー残量が100%のままだったことに驚きました。
高画素機+高速連写+超望遠ズームレンズのAF駆動という、大量に電力を消費する環境でもびくともしないことにはただただ、驚くばかりでした。ただし、撮影データをすべてメディアに書き込み終わるまでの速度にはα1 IIやα9 IIIとの差はあります。最後のコマを撮影してから書き込みが終わるまでの速度はα1 IIやα9 IIIで待たされることはほぼないものの、α7R VIで30コマ連写を行った場合、やや待たされるのも事実です。つまり「再生ボタンをすぐに押しても一番最後に撮影したコマを確認できるまでのタイムラグ」があるのがα7R VI、ないのがα1 IIとα9 IIIです。とはいえ、毎日動く被写体を撮るのでなければ、ほとんどの方はα7R VIでこと足りるのではないでしょうか。
- カメラ:ソニーα7R VI
- レンズ:FE 100-400mm F4.5 GM OSS(400mm時)
- 絞り値:F4.5
- 露出時間:1/2500秒
- ISO:6400
- 露出補正:0
- 露出モード:M(ISOオート)
水しぶきの中、走り去る新幹線の姿を狙いました。被写体認識AFのおかげでこのような状況でも、惑わされることなく的確にAE/AF演算がなされた結果、雨の日のイメージを定着させることができました。
本格超望遠ズームに進化した、第2世代の100-400mm
FE 300mm 2.8 GM OSSから始まった「軽量超望遠レンズ」
現在24本のレンズをラインアップするソニーG Masterシリーズですが、近年望遠系レンズの質量と体積が小型化される傾向にあります。2024年2月に発売されたFE 300mm F2.8 GM OSSは、レンズ重量が1,470gと驚くべき軽さを実現し「手持ちで使えるサンニッパ」と話題になったことは記憶に新しいところです。今回α7R VIと同時に発表・発売されたFE 100-400mm F4.5 GM OSSも、開放F値不変タイプのレンズでありながら重量1,870gを実現し、G Masterシリーズに加わった最新モデルとして注目を集めています。このレンズの何がすごいのかを、解き明かしていきましょう。
インナーズーム、そして「開放絞り値固定」がもたらすメリット
撮影対象と撮影者の位置関係を自由に選べない被写体というのは意外に多いです。その代表例としてあげられるのが、スポーツ、乗りもの、野生動物ではないでしょうか。このような被写体の場合、焦点距離の長いズームレンズが使われるのは古くから続いてきましたが、市販されているレンズの多くは開放F値可変式のものがほとんどで、ズーム全域での開放F値不変を求めるユーザーが待ち望んでいたのが、今回発表・発売されたこのレンズです。
開放F値が変わらないということは、被写体との距離が変わることによりズーミングしても、シャッタースピードや露出を変えなくていいということです。またインナーズーム方式を採用した結果、レンズの全長が変わらないのも動く被写体を追う上ではとてもありがたいことです。このメリット、当事者でないとなかなか理解されない話ですが、他社のラインアップにはそれを想定したレンズが少ないながらも存在していることを考えると、ソニーαでも「やっと発売された」と感じている人は少なくないはずです。
- カメラ:ソニーα7R VI
- レンズ:FE 100-400mm F4.5 GM OSS(400mm時)
- 絞り値:F4.5
- 露出時間:1/1600秒
- ISO:12800
- 露出補正:0
- 露出モード:M(ISOオート)
演技が時間内に終わらないと減点されるフィギュアスケートは、リンク全面を相当な速度で滑って演技しています。その姿を捉えるために欠かせないのがこのレンズです。軽く作られているおかげでどんなに振り回してもその動きを捉えることができます。リンクの照明が暗かったので感度がISO12800まで上がっていますが、それでも気にならない描写に驚かされます。
αシリーズボディと組み合わせることで発揮可能なポテンシャル
ちなみにG Masterレンズシリーズには開放F値2.8の単焦点レンズも揃っていますが、重量約2,895gと重く、そして単焦点レンズのため、被写体が撮影者に接近して来た場合はレンズを交換するか、あらかじめ別なボディに適したレンズを装着して準備しておく必要があります。ただこの手法ですと落下や破損などのトラブルが発生しやすいのも事実で、そう考えると100mmから400mmという絶妙な焦点距離を、開放F値不変でカバーするこのレンズが持つ意味は大きいです。
- カメラ:ソニーα7R VI
- レンズ:FE 100-400mm F4.5 GM OSS(400mm時)
- 絞り値:F4.5
- 露出時間:1/4000秒
- ISO:640
- 露出補正:0
- 露出モード:M(ISOオート)
川面を飛んでいくカワウの姿をテラスから狙った一枚。被写体認識「鳥」を使ったことで正確に合焦し、くちばしや羽根などのディテールが緻密に描写されていることがわかります。
テレコンバーター・APS-Cクロップ併用で広がる世界
そして「撮影対象に近づくことができない」被写体を狙っている人にとって、400mmという焦点距離は時と場合によっては短く感じられる焦点距離でもあります。それを解決する方法はα7R VIとこのレンズの場合、二通りの方法があります。ひとつはテレコンバーターを装着する方法、もうひとつはカメラ側の機能として用意されたAPS-Cモード(画面中央部をクロップして記録するモード。記録画素数が約28MPに制限される)を使うことです。
- カメラ:ソニーα7R VI
- レンズ:FE 100-400mm F4.5 GM OSS(APS-Cモード600mm相当)
- 絞り値:F4.5
- 露出時間:1/1600秒
- ISO:10000
- 露出補正:0
- 露出モード:M(ISOオート)
スケーターのアップを撮りたいが自分の撮影ポジションから遠いところでフィニッシュしたため、レンズに付いているファンクションリングを使ってAPS-Cモードに切り替えて撮った一枚。カメラ側のメニュー設定でファンクションリングに操作を割り当てておくと瞬時に切り替えができます。
テレコンバーターを装着した場合、レンズの明るさが暗くなりますが、APS-Cモードの場合は画面中央部を切り取っているだけであること、EVFやLCDに表示される画像はフルフレームで表示されるため、違和感なく撮影を続けることが可能です。当然、画像の画素数は少なく(約28MP)なりますが、元レンズの光学性能はそのまま活かされますので、緊急時の選択肢としてあらかじめ試しておくことをおすすめします。
- カメラ:ソニーα7R VI
- レンズ:FE 100-400mm F4.5 GM OSS+ Teleconverter x2.0(800mm相当)
- 絞り値:F9
- 露出時間:1/1600秒
- ISO:8000
- 露出補正:0
- 露出モード:M(ISOオート)
テレコンバーターを装着し、機体が滑走路から浮き上がるところを狙ってみました。気温や湿度によっては陽炎が出る場合もある距離ですが、この日は運良く出なかったため、シャープな画像を得ることができました。
- カメラ:ソニーα7R VI
- レンズ:FE 100-400mm F4.5 GM OSS(400mm時)
- 絞り値:F4.5
- 露出時間:1/2500秒
- ISO:250
- 露出補正:0
- 露出モード:M(ISOオート)
水面を切り裂くように進む警備艇の姿をやや後追いで追いかけました。太陽の光に水しぶきが反射する様子も的確に描写されていることがわかります。
- カメラ:ソニーα7R VI
- レンズ:FE 100-400mm F4.5 GM OSS+ Teleconverter x2.0(800mm相当)
- 絞り値:F9
- 露出時間:1/2500秒
- ISO:3200
- 露出補正:0
- 露出モード:M(ISOオート)
鉄杭にとまり羽根のお手入れをしているカワウの姿を狙ってみました。テレコンバーターを装着してもAF合焦の速度に大きな変化は見られず、そして絞りF9でありながら背景がキレイにボケてくれることがわかります。
まとめ
高画素機でありながら高感度描写にも強いα7R VIと、開放F値固定の超望遠ズームレンズでありながら、軽量かつ程良い大きさでまとめられたFE 100-400mm F4.5 GM OSS。フルサイズαも2012年の登場から早14年が経過しましたが、数々の新しいテクノロジーを駆使しながらも、ユーザーにそれを意識させないスムーズな動きに新しい時代を感じずにはいられませんでした。双方とも皆が待ち望んでいた機材ですが、その期待には十二分に応えてくれることを確信した、今回のレビューでした。
この記事を読んで気に入ってもらえた方は
SNSでのシェアをよろしくお願いします
公益社団法人日本写真家協会(JPS)会員
一般社団法人日本スポーツプレス協会(AJPS)理事
一般社団法人日本写真著作権協会(JPCA)理事
カメラグランプリ特別選考委員(2024、2025、2026)