レンズの長さが短く平たい筒型の形がまるでパンケーキを彷彿させることから、パンケーキレンズと称されるコンパクトなレンズ、NIKKOR Z26mm F/2.8を手にしました。パンケーキレンズの魅力は何と言っても軽量でコンパクトな装着感。街歩きや旅先でのスナップとの相性は抜群です。さっそく作例撮影へ街に繰り出しました。

作例撮影のスタートは、震災や戦災の被害を免れ江戸情緒が残る佃島。佃煮発祥の土地でいまでも江戸の香りが漂う場所ですが、開発が進み近代的なマンションが立ち並びます。東京らしい光景を26ｍｍのパンケーキレンズでワンショット。約23.5mmという全長はカメラを構えてもレンズが付いていないのでは、と感じるほどコンパクトにまとまります。
携行が楽でお気軽なパンケーキレンズ、と軽々しく思っていましたが、撮影した画像をモニターでチェックすると、ヌケの良さとコントラストのバランスがうまく調和しています。高層マンション群を細微に描写する解像力に驚かされ、コンデジサイズの小さなレンズにもかかわらず描写力のポテンシャルは想像以上のクオリティを持っていました。

• カメラ： Z6II
• レンズ： NIKKOR Z26mm F/2.8
• 絞り値：f/13
• 露出時間：1/400秒
• ISO：100
• 露出補正: -0.1ステップ
• 露出モード: 標準プログラム

佃時小橋の麓に降りると、手すりにヒヨドリがちょこんと留まっていました。可愛らしい姿を眺めていると、逃げるそぶりをみせません。餌などをもらっていてかなり人馴れしているようです。そこでどこまで近寄れるか、ファインダーを覗きながら慎重にヒヨドリに近寄っていきました。シャッター音はもちろんサイレントモードを選択です。
このレンズの最短撮影距離は0.2ｍ、マクロレンズのような大胆な近接は無理ですが広角レンズとしての近接は申し分なく、被写体に接近して広角レンズならではの表現を追求できます。0.4mぐらいまで接近して撮影したのがこのカット。最短距離が短いので余裕を持って接近できました。

• カメラ： Z6II
• レンズ： NIKKOR Z26mm F/2.8
• 絞り値：f/2.8
• 露出時間：1/8000秒
• ISO：140
• 露出補正-0.7ステップ
• 露出モード:シャッター優先

この広い河川を歩いて横断しようとする人は当然いるわけありません…、広角レンズのパースを利用して面白いアングルを探してみました。広々とした画角のパンケーキレンズを装着してフォトウォークすれば、自分ならではのアングルや構図を探す楽しみがたくさん味わえるに違いありません。
道路標識の表面に加工された反射板の網目がクッキリと細微に写っています。小さいレンズながら非球面レンズを3枚使用した光学性能の高さがを実感できました。

• カメラ： Z6II
• レンズ： NIKKOR Z26mm F/2.8
• 絞り値：f/2.8
• 露出時間：1/8000秒
• ISO：100
• 露出補正:-0.7ステップ
• 露出モード:絞り優先

Z6IIの背面モニターをチルトさせてローアングルでのスナップ。軽量かつ薄型のパンケーキレンズはローアングルでの負担は全く感じません。様々なアングルを模索するときでも最強の組み合わせではないでしょうか。

• カメラ： Z6II
• レンズ： NIKKOR Z26mm F/2.8
• 絞り値：f/2.8
• 露出時間：1/5000秒
• ISO：100
• 露出補正:-0.7ステップ
• 露出モード:絞り優先

レンズサイズは全長23.5mmでZ6IIに装着してもグリップとほぼ同じ高さで、ショルダーバッグの中にすっぽり納めることができます。さっとカバンから取り出して、気になった風景を一瞬でスナップする、街歩きや旅行にもってこいの快適なシステムが構築できます。
レンズマウントやコントロールリングへの金属パーツ使用や、レンズ本体と一体感のあるレンズフードなど、高級感に溢れるスタイリッシュな外観。クールな都会の雰囲気と相性は抜群です。

• カメラ： Z6II
• レンズ： NIKKOR Z26mm F/2.8
• 絞り値：f/5
• 露出時間：1/400秒
• ISO：100
• 露出補正:-0.7ステップ
• 露出モード:絞り優先

ヌケの良いシャープな描写力は都会のビルをクールに写し出します。

• カメラ： Z6II
• レンズ： NIKKOR Z26mm F/2.8
• 絞り値：f/2.8
• 露出時間：1/6400秒
• ISO：100
• 露出補正-0.7ステップ
• 露出モード:絞り優先

レンズが小さい影響で開放値F2.8では周辺光量が若干落ちるのですが、そのことが雰囲気に満ちた味わいある表現に繋がります。このガード下に停車した軽自動車をスナップしたこの作例は、街灯が中心にあることで周辺がよりアンダーになり、渋い雰囲気を感じる写真を撮ることができました。

• カメラ： Z6II
• レンズ： NIKKOR Z26mm F/2.8
• 絞り値：f/5.6
• 露出時間：1/30秒
• ISO：640
• 露出補正:-1.7ステップ
• 露出モード:絞り優先

• カメラ： Z6II
• レンズ： NIKKOR Z26mm F/2.8
• 絞り値：f/5.6
• 露出時間：1/80秒
• ISO：100
• 露出補正:-1ステップ
• 露出モード:標準プログラム

26ｍｍはスマートフォンレンズの標準画角とほぼ同じなので、スマホでの撮影が多い方も違和感なくすっと入り込んでいけるのではないでしょうか。スマホよりフルサイズミラーレスの方が中間調やハイライトの階調に厚みがあるので、より高画質でインスタ映えを狙いながら作品と呼べるクオリティを追求できます。

• カメラ： Z6II
• レンズ： NIKKOR Z26mm F/2.8
• 絞り値：f/2.8
• 露出時間：1/800秒
• ISO：320
• 露出補正:-0.3ステップ
• 露出モード:シャッター優先

実際に使ってみて、フォーカスリングの剛性の高さと回したときのフィーリングの良さが気に入りました。操作性が滑らかで適度なトルク感もあり、ピントの山も非常につかみやすく細かい調整が可能です。筆者は写真家ソール・ライターの作風が好きで同じような世界観の写真を狙って撮りますが、この写真のような状況ではＡＦが認識しにくいときもありました。
カメラをマニュアルモードにしてピントを合わせたのですが、適度なトルクを感じながら回すフォーカスリングの感触が思いの外良くて、心地よさを感じながら構図を決めることができました。

• カメラ： Z6II
• レンズ： NIKKOR Z26mm F/2.8
• 絞り値：f/2.8
• 露出時間：1/1000秒
• ISO：100
• 露出補正:-0.3ステップ
• 露出モード:絞り優先

このカットもマニュアルで窓越しに室内の電灯にピントを合わせました。

• カメラ： Z6II
• レンズ： NIKKOR Z26mm F/2.8
• 絞り値：f/2.8
• 露出時間：1/640秒
• ISO：100
• 露出補正:-0.7ステップ
• 露出モード:絞り優先

小径・高トルクのSTM（ステッピングモーター）を採用しているので、ＡＦ動作もスピーディーでシャッターチャンスを逃しません。

• カメラ： Z6II
• レンズ： NIKKOR Z26mm F/2.8
• 絞り値：f/2.8
• 露出時間：1/1250秒
• ISO：400
• 露出補正:-0.7ステップ
• 露出モード:シャッター優先

最短撮影距離は0.2m。広角レンズとして被写体に接近できます。美しく開花した牡丹にグッと近寄って、花粉をまとった花芯に接近してみました。描写力にクリアでシャープなＺレンズらしい描写力です。テーブルフォトの撮影でも大活躍すること間違いなしです。

• カメラ： Z6II
• レンズ： NIKKOR Z26mm F/2.8
• 絞り値：f/4
• 露出時間：1/2000秒
• ISO：100
• 露出補正:±0ステップ
• 露出モード:絞り優先

最短距離の短さと優れた描写力がうまく調和したと感じるカットです。

• カメラ： Z6II
• レンズ： NIKKOR Z26mm F/2.8
• 絞り値：f/8
• 露出時間：1/30秒
• ISO：180
• 露出補正:-0.3ステップ
• 露出モード:絞り優先

この日は上野動物園のシャンシャンが中国へ出発した日でした。鉢の上に置かれたパンダの飾り物に哀愁を感じました。思うがまま、さっとカメラを取り出してさっとシャッターを押せる手軽さ。その時に写した写真には撮影者が感じていることまで写し出すかのようです。パンケーキレンズを装着した撮影そのものがフォトエッセイではないか、と作例撮影を通して感じました。

• カメラ： Z6II
• レンズ： NIKKOR Z26mm F/2.8
• 絞り値：f/2.8
• 露出時間：1/250秒
• ISO：100
• 露出補正:±0ステップ
• 露出モード:絞り優先

• カメラ： Z6II
• レンズ： NIKKOR Z26mm F/2.8
• 絞り値：f/7.1
• 露出時間：1/500秒
• ISO：100
• 露出補正:-0.3ステップ
• 露出モード:絞り優先