田中絹代:松竹女優王国 銀幕の女優ｼﾘｰｽﾞ 田中絹代 DV 【DVD】

内容説明
解説
戦前の日本映画史に伝説として残る空前の大ヒット作！！田中絹代×上原謙のゴールデン・コンビと、日本中を席巻した主題歌が永遠に語り継がれる代表作！／『花も嵐も…』と、120万枚の戦前最高記録を樹立した、あまりにも有名な主題歌『旅の夜風』に乗せて繰り広げられる、スレ違いメロドラマ。川口松太郎の長編小説を原作に、野村浩将監督のメガホンで映画化したものだが、メロドラマのイメージがもたらす鬱蒼とした印象は意外と希薄で、むしろモダニズムに富んだ明るくさわやかな余韻こそが残る。実はこれこそが、松竹大船調を代表する戦前の大ヒット作品となった所以なのかもしれない。主演の田中絹代と上原謙も、本作によって永遠不滅の人気を獲得したと見て思しい。特に田中は当時29歳。もっとも美しく輝いていた時期でもあり、またここでは歌声も披露。その美しさもまた特筆的なのであった。＜増富竜也＞

解説＆ストーリー
流麗なカメラワークと、絶妙な演出の冴えが発揮された木下惠介監督の名作！／トップ男優へのステップとなる佐田啓二のデビュー作であり、女学生から母親までを演じる田中絹代の好演が光るヒット作！／戦争未亡人の小夜子は、在りし日の夫・真一との思い出にふける。それはまだお互い学生だった頃の出会い、交際を反対する義父、父の死と弟の病などなど、さまざまな困難をくぐり抜けて、二人はようやく結婚にこぎつけたものの…。木下惠介監督が、戦争で引き裂かれた男女の愛を回想形式で描いていくラブ・ストーリー。戦後間もないこの時期に数多くいた戦争未亡人の無念の想いを代弁しつつ、凛とした姿勢を崩さない女の強さをも美しく体現し、この年の毎日映画コンクール女優演技賞を受賞（『女優須磨子の恋』『結婚』と併せて）。一方の真一役は、当初上原謙が予定されていたが調節がつかず、新人だった佐田啓二が急遽抜擢。またここでは田中と佐田のキス・シーンも登場し、当時の観客を大いに沸かせたが、これは直接的なラブ・シーンを極力避ける木下作品として異例の演出ではあった。（増當竜也）

『愛染かつら』
幼子を抱える未亡人の看護士・高石かつ枝は、勤務先の大病院の子息・津村浩三と、愛染かつらの木の下で愛を誓い合うが、その後幾多の困難によって別離を余儀なくされる。やがて数奇な運命から、かつ江はレコード歌手としてデビューするのだが……。

『不死鳥』
初秋の朝、今は八坂家の若き未亡人となっている小夜子（田中絹代）は、夫・真一（佐田啓二）との愛に生きた日々を思い出していた。あの頃小夜子は女学生服、真一は一高の制服姿だった。通学の途中、いつからとなく乙女心に印象づけられていった真一。その真一の落した定期券を小夜子が届けたことから、2人は急速に親しくなっていった。夢のように楽しい4年の月日は過ぎ、突然の父の死、弟の病気、さらに真一の応召と、立て続けに小夜子に不幸が襲いかかってきた…。

『彼岸花』
娘の結婚に反対する頑固親父をコミカルに映した初のカラー映画。／小津監督初のカラー映画。京都弁でポンポン自分の意見を言うコメディ・リリーフ的な幸子に山本富士子、意思の強い現代的なヒロイン・節子に有馬稲子、これに久我美子も加わり、頑固親父と娘の結婚を巡るコミカルで伸びやかなドラマを作り出している。佐分利信、中村伸郎、北竜二、そして笠智衆の同級生たちの会話が息抜きとして絶妙の効果。