イヤホン カナル型 HP-NEL31S シルバー [ライトニング端子]

いま、イヤホンは空前のBluetoothブーム。だが、いざ使い始めてみると、定期的に充電が必要なことや、ゲームや動画で遅延が発生してしまうなど、いざという時に不便を感じた人もいるだろう。iPhoneをお使いであれば、そんな方へのもうひとつの選択肢としてLightning接続タイプのイヤホンをお薦めしたい。

「HP-NEL31」は、ラディウスのLightningイヤホン。ドライバーは8.6mmのダイナミック型ドライバーだが広帯域再生を実現しており、ハイレゾ再生にも対応する。高剛性アルミハウジングもあいまって、音質に注力したモデルだ。

レッド、ブラック、シルバーの3色展開の高剛性アルミハウジングは一段上の質感。今回ハンドリングしたのはレッドだが、この仕上げも美しく高級感がある。

またケーブルは、高編組密度構造のナイロン皮膜タイプを採用。見た目にも編み素材系のようで上質な質感だ。実際に手に持って触れてみても屈曲性、弾力性にも優れている。

編み素材のケーブルは通常のイヤホンでは珍しくないが、Lightningイヤホンでここまでこだわって、なおかつこの価格というのは、やはりコストパフォーマンスが良い。

特にハイまでの金属音をしなやかに鳴らす伸びやかさと、ベース音を強めの量感でグルーブ感たっぷりの低域表現を特徴とする。ミッドの帯域についてはゴツゴツと質感を持たせたナチュラルサウンドで、声の帯域よりむしろ楽曲全体をバランス良く鳴らすトーンだ。

実際にサウンドを聴き込んでみると、ハイレゾイヤホンで人気のラディウス流サウンドは本機でこそ発揮される。RADWIMPS『前前前世 (movie ver.) 』を聴くと、ダイナミックでスムーズに気持ちよく伸びる中高域のソリッドサウンドが印象的だ。ただし刺さるようなところはない。男性ボーカルの歌声も自然に前に出てくるし、適度に情報量を持ったバランス志向の音づくりだ。

映画『ラ・ラ・ランド』サントラの『アナザー・デイ・オブ・サン』を聴くと、冒頭のピアノも適度なアタックの鋭さがありつつ、質感も両立させている。女性ボーカルがすっと前に出てくる、高いセパレーションも持ち合わせている。下位機「HP-NEL21」と比較すると、音の密度志向をそのままに解像感を素直に引き上げたイメージで、ボーカル曲も難なくこなす実力を備えたモデルだ。

文：折原一也

※AV/オーディオ/ガジェット情報サイト「PHILE WEB」所収記事を短くまとめたものです。