ガルバニックアイソレーター　NANO-IGALVANIC3.0

英iFIオーディオから待望のガルバニック・アイソレーター「iGalvanic 3.0」がリリースされた。

PCからのノイズ遮断に多用されているのは、デジタル・アイソレーター汎用チップを用いたガルバニック絶縁だろう。トランスによる磁気エネルギー変換やフォトカプラによる光変換などでアイソレートを実現している。しかし従来の汎用チップはデータ転送速度が最大150Mbps程度で、SerDes（シリアライズ／デシリアライズ）アプローチによるボトルネックも発生し、USB3.0の5Gbpsというハイスピードを満たすことはできなかった。

この点を解消すべく、iFIオーディオでは母体であるAMRのテクノロジーを駆使し、遅延のないUSB絶縁技術を開発。この技術を取り入れてUSB 3.0規格に完全対応を果たした。

本機は完全絶縁を実現し、USB高速伝送アプリの使用時におけるノイズ混入やアースループの遮断に効果を発揮。ノイズの無い正確な高速伝送が可能だ。また、信号の再生成やリクロック、DCオフセットを除去してバランス伝送を実現するRegenerate2、REclock2、REbalance2テクノロジーも搭載。768kHz/32bit PCM＆DSD 22.6MHz伝送にも問題なく使用できる。

電源はUSBバスパワーだが、ディスクリート構成のTI製超低ノイズ・高電流リニアレギュレーターにより圧倒的低ノイズ環境を実現。グラウンドリンク機能を使った、ISO（フルアイソレート）／DC-RF（アースのない環境でのハムを回避）／RF（RFアースを持たない環境でオーディオデータ欠落を回避）の3モードから選択も可能。最適な動作環境を探るために活用されたい。

音質は圧倒的に解像度とS/Nの点で優位であり、中低域における曖昧さがなくなる。音場はクリアで立体感も増し、空間の緻密さ、位相表現の正確さがより際立ち、色づけのない精緻でストイックなサウンドを得ることができた。

PCとUSB DACの間に接続する本機だが、7つのフローがあった従来のUSB 2.0規格と比べ、USB3.0対応により「USB信号伝送 - アイソレーション - 信号受信」とシンプルなフローを実現、より効果的なアイソレーションが可能となった。USB 3.0対応品や従来伝送できなかった外付けストレージ/BDドライブも使用できるのは大きな魅力である。

文：岩井 喬

※AV/オーディオ/ガジェット情報サイト「PHILE WEB」所収記事を短くまとめたものです。