ブルートゥースヘッドホン ブラック HA-S88BN [ノイズキャンセリング対応 /Bluetooth対応]

数年前、「ワイヤレス＆ノイズキャンセル（NC）」ヘッドホンはそれだけで注目に値した。しかしいまやそれだけなら特別なことではなく、選択肢はかなり増えている。だからユーザーとしてはワイヤレス＆NC「＋α」がほしい。JVC「HA-S88BN」はその「＋α」を持った製品だ。

その「＋α」とは、

・超余裕のバッテリーライフ
・臨機応変のプリセットサウンドモード

だ。まず「超余裕のバッテリーライフ」だが、具体的には、

・ワイヤレスのみなら約27時間
・NCもオンにして約16時間

だ。NC常時オンでも通勤通学往復3時間くらいとして平日の5日間はもつだろう。「NCは電車内でだけ使う」ようにすればさらに伸びる。

これに匹敵するバッテリーライフの製品もなくはないが、サイズや装着感、音質、そしてこの価格といった要素をバランスよく兼ね備えた上で、というのがポイント。

NC効果も高い。電車内では、走行音の「ゴゴゴ」や空調音の「グオオ」はそれぞれ「コココ」「サー」のように低音と濁点が半減、いや半減以上な印象だ。室内でもエアコンはもちろん、除湿機や掃除機、布団乾燥機、ドライヤーなど、うるさい家電全般に対して強力な効果を発揮してくれた。ヘッドホンのNC性能として、上位クラスと言える。

音の面では「プリセットサウンドモード」が便利だ。どの帯域の楽器もフラットに鳴らす「ノーマル」、低音の迫力を増す「バスブースト」、ボーカル重視の「クリア」を、曲や気分、周囲の環境に合わせて、スイッチひとつでさっと切り替えられる。

ポイントは「アプリから設定」ではなく「ヘッドホン本体のスイッチでさっと切り替えられる」こと。だからこそ実際の利用シーンで手軽に活用する気分になれる。

サウンドチェックはまず「ノーマル」モードで行った。

相対性理論の「夏至」では、ボーカルのいわゆる「刺さり」や「荒れ」が気にならない音作りがされていることに納得。Bluetooth伝送時の圧縮で目立ちがちな部分だが、その刺さる高域をソフトタッチにしてあるのか、本機ではそこが気にならない。

それでいてそれぞれの音の輪郭が曖昧にならず、高域のチューニングの「刺さらずぼやけず」の落とし所が巧い。聴き疲れしにくいタイプの音なので、バッテリーライフと合わせて「毎日たくさん音楽を聴いていたい！」という方にぴったりだ。

文：高橋 敦

※AV/オーディオ/ガジェット情報サイト「PHILE WEB」所収記事を短くまとめたものです。