ヘッドホンアンプ（シルバー）　CHORD Hugo 2 Silver

CHORD ELECTRONICSの「Hugo 2」は、同社初のDAC内蔵ポータブルヘッドホンアンプ「Hugo」の後継モデル。

USB入力は、PCM 768kHz/32bit、DSD 22.4MHzと最高峰のフォーマットをサポート。Bluetooth再生も約10mの距離でも安定した通信ができるようアンテナ精度を改善した。

初代と同様にアナログRCAライン出力端子を備え、据え置き型Hi-Fiコンポーネントにつないでスピーカーリスニングも可能だ。また音楽データ入力用と充電専用の2つのUSB端子を備える。「Mojo」も同様の構成を持つが、これを活用する提案として機能拡張モジュールの「Poly」がある。本機についても同様の仕掛けが用意されているようで楽しみだ。

まず試聴は、ヘッドホンAstell&Kern「AK T1p」、MacBook AirとAudirvana Plus 3との組み合わせをUSBケーブルで接続。楽曲はMISIA『星空のライヴ SONG BOOK HISTORY OF HOSHIZORA LIVE』から「Everything」。

観客のざわめきに吸い込まれるような解像感と音の密度。エレキピアノのふくよかなトーンが浮かび上がる。ボーカルの声はクールな透明感が強く反映されるところが本機の特徴。比べて聴くと初代のボーカルはより輪郭線がはっきりとしていて、ストレートにぶつかってくる。本機の輪郭線はより繊細で質感もなめらか。ビブラートのゆらぎが視覚的にも伝わってくるように感じられるほど情報量が豊かだ。

次いで、試聴室のスピーカーシステムを本機で鳴らしてみた。楽曲は川本真琴『ふとしたことです』から「1/2」。

きめの細かさと空間再現性が圧倒的に高まっていることがさらに明らかに見えてくる。ボーカルの声に上品さと成熟した色香を感させる。バンドの楽器の音との分離感も高まり、ボーカルの音像定位は一歩下がったようなイメージが浮かんでくる。温かく心地よいサウンドにゆっくりと包まれながら、楽曲の歌詞が2番に到達したころあたりで瞬時に熱気がピークに達した。

本機は、初代が達した到達点をさらに先まで易々と押し進めてしまった。ヘッドホン再生はもちろん、USB-DACとしても、本機の再生能力は突出している。オーディオ史に名を刻むであろう「新しいHugo」が誕生した喜びを、多くのファンと分かち合いたい。

文：山本 敦

※AV/オーディオ/ガジェット情報サイト「PHILE WEB」所収記事を短くまとめたものです。