【太く重い針が正確に時を刻む「ツインパルス制御モーター」】
機械式時計よりもトルクの弱いクオーツ式時計では太く重い針を動かすことができないため、一般的に細い時分針が採用されています。しかしグランドセイコーのクオーツモデルには、初代グランドセイコーが備えていたような太く堂々とした針がついています。このような針を正確に運針するために、9Fクオーツにはエネルギーを節約しながら重い針を動かすことのできる「ツインパルス制御モーター」が搭載されています。通常のクオーツの秒針は1秒に1ステップ動きますが、9Fクオーツでは1秒に2ステップ動きます。その理由は、通常のクオーツよりも太い針を回すための高い駆動力と省エネルギーを両立させるよう、効率よく1秒間に2回の信号を送っているためです。信号を増やすことで、ローターからの軸トルクを増やし、太い針であっても回すことができるのです。もちろんこの2回のステップは肉眼では認識できず、従来のクオーツ式時計のように1回のステップに見えます。さらに他のクオーツ式時計と異なる手法を採用しているのが超低電力による温度補正です。通常、クオーツ式時計は月差精度であれば温度補正のプログラムは搭載されていません。また温度補正のプログラムを搭載すると、制御に大きな電力が必要とされるため、その分、電池寿命が短くなってしまいます。この問題を解決すべく、9Fクオーツでは超低電力による温度補正を採用しています。さらに独自の「ツインパルス制御システム」を駆動しながら、ICを省電力化することで従来の約2倍の駆動力と、一般的なクオーツ式時計よりも長い約3年の電池寿命を実現しています。