イヤホン カナル型 HA-FW7-B ブラック [φ3.5mm ミニプラグ]

「HA-FW7」は、JVC新レーベルN_W（エヌダブ）の第二弾モデル。ルックスは第一弾モデルとは対照的なウッドのボディ。同社が真摯に取り組んでいるウッドの技術がサウンド面にも活かされていることが容易に想像できる。

キーパーツは50μmにまで薄型化した振動板だろう。これをドーム型に成形しφ8.5mmのダイナミック型ドライバーとして作り上げた。この部分だけでも、一朝一夕にはなし得ることのできない技術が詰まっている。

またボディ内部にはアルミを使用して不要振動を抑制、それをウッドハウジングで包むことで響きの調整を図ったという。さらにメタル素材を組み合わせて、ウッドの暖かみだけではない、モダンな印象も与えた。

ポータブルハイレゾプレーヤーと組み合わせて試聴した。スタンリー・タレンタインの未発表曲集『ザ・シュガー・マン』(192kHz/24bit)から「ヴェラ・クルス」を聴くと、まずベースの躍動感が否が応でも感じさせる。疾走はするが、制動も効いている、そんなプレイが伝わってきた。パーカッションが小気味よい。タレンタインのテナーサックスには芯があり、伸びやかだ。ただしソフトなジャズを目指したこのレーベルらしい、しっかりとしたサウンドプロダクションが保たれているのもわかった。

こうした楽曲を本機はビビッドに伝えてくれた。シンセベースはタイトかつ前後左右に跳ね上がるように表現。ボーカルは耳に近く、リアリティーも抜群に高い。エレキギターのカッティングは非常にシャープで、音楽をスリリングに仕立て上げる。強弱や抑揚に富んだドラムプレイも堪能できた。

スピード感も十分。そして、それらが相まって立体的な音場が立ち上がる。調和やバランスを重視しながら、アーティストやバンドの個性も的確に表現する、そんなイヤホンだと思った。

文：中林直樹

※AV/オーディオ/ガジェット情報サイト「PHILE WEB」所収記事を短くまとめたものです。