OLYMPUS PENと私

1936年にオリンパス製のカメラが登場してから早80年。その節目の年に、PENシリーズ伝説の銘機PEN-Fが最新技術と共に生まれ変わりました。
ビックカメラではこの記念すべき年に、PENを愛用されているプロカメラマンの方々へインタビューをして、PENへの想いを綴って頂きました。

オリンパス カメラ事業80年の歴史

カメラ事業80年の歴史

第二回 曽根原 昇 先生

曽根原 昇 先生

プロフィール

曽根原 昇

1971年生まれ・愛知県出身。信州大学大学院修士課程を修了。
2006年よりフリーランスとなり、2010年に活動拠点を長野県より関東地方に移す。
現在は雑誌・叢書・単行本などの撮影をメインにしながら、カメラ誌やウェブ等でカメラやレンズについての執筆も手がけている。
写真展に「イスタンブルの壁のなか」(オリンパスギャラリー東京/大阪)など。

オリンパスの好きなカメラ(過去80年の中で)

オリンパスの好きなカメラを問われれば、まずは初めて買ったE-300が上がることになる。ポイントはサイドスイングミラーを搭載することで、ペンタプリズムを廃した低重心小型ボディを実現していた点。当時のデジタル一眼レフとしては非常にユニーク なデザインを気に入って使用を重ねていくうちに、デジタル専用で設計された高性能なフォーサーズ規格の有用性に気付くことになった。

フォーサーズ規格カメラで第2弾のフラッグシップとなったE-3も非常に好んで使っていた。プロ用としてこれ以上ないくらい頑丈なボディと、視野率100%、倍率1.15倍という高品質なファインダーが気に入り、2台体制であらゆる撮影に臨んでいたものだ。当時、このカメラを4/3型センサー搭載機としては大きいという意見を聞いたことがあるが、僕はそれが信じられなかった。フラッグシップとしては十分小型といえるサイズだったし、性能比で考えれば十分納得できるサイズであるはずだったからだ。

そして今現在、最も気に入って使っているカメラがOM-D E-M1である。EVFと5軸手ぶれ補正を内蔵して登場した一眼レフスタイルのこのカメラは、E-3と同様に堅牢なボディに完璧ともいえる防塵防滴性を纏っていることはE-3と同様だが、ミラー機構を省略したマイクロフォーサーズ規格だけに、フラッグシップ機としては破格ともいえる小型・軽量に仕上がっている点が素晴らしい。完璧な信頼性をもち、高画質で小さく軽い、これが自分の撮影のスタイルを一変させることとなり、発売以来の2年超、国内はもとより海外の多くの撮影現場においてメインカメラを担ってもらっている。

この春、オリンパスの好きなカメラにPEN-Fが加わったことで、単焦点レンズでのスナップ撮影はこちらに任せることになった。OM-D E-M1とPEN-Fとの新しい2台体制は長らく続くことになりそうだ。

オリンパスとの思い出

写真を始めた頃に暮らしていたのは近くにオリンパスの工場がある長野県の南信地方。周りにはオリンパスのフィルムカメラを使っている人が多かったが、そうなると不思議なもので、妙な反骨精神が芽生えてフィルム時代はついにオリンパスを買わず仕舞いだった。

そんななか、オリンパスがカメラ生産をデジタルに完全移行する、という報を雑誌で知り、胸を躍らせ初めて買ったオリンパスのカメラがE-300だった。前述の通りユニークなデザインに魅かれてのことであったが、もう少し言えば、そのデザインの内に、ついに手に入れることのなかったオリンパスの名機・ペンFの姿をどこか感じていたからである。

すっかりオリンパスカメラを気に入り、E-410、E-420、E-3と順調に買い進めていた頃、今度はミラー機構を省略したPEN E-P1が登場するという報を知った。スタイリッシュで小型ながら高画質な写真が撮れるマイクロフォーサーズ規格カメラの登場に、またもや僕の鼻息は荒くなった。迷うことなく直ぐにWEB予約をしたところ、発売日にカメラを届けに来た宅配の方が「同じ箱がいっぱいあるけど今日は何かあったのですか?」と聞いてきたのはよい思い出だ。

現在の僕のメインカメラであるOM-D E-M1も、すでにたくさんの思い出を作ってもらっている。例えば今年の2月にオリンパスギャラリーで開催した写真展「イスタンブルの壁のなか」で展示した作品は、全てこのカメラで撮影したもの。イスタンブルは埃っぽい空気に、生憎の雨空が重なるというなかなかハードな条件での撮影となったが、OM-D E-M1は一度も不調をきたすことなく僕の相方を務め上げてくれた。

そしてこの度、新しく仲間に加わったのがPEN-F。ペンFを夢想して手に入れたE-300に始まり、ペンFを襲名したPEN-Fで新たな撮影がまた始まる。オリンパスとは何か不思議な縁があるように思えてならない今日この頃である。

デジタルPEN-Fの好きなところ。

なんといってもデザインが最高にステキだ。フォリムカメラのペンFの意匠を漂わせながらも現代的な解釈を融合させた、新しいレンジファインダースタイルの上質感は胸にグッとくるものがある。海外を旅してスナップ写真を撮るのが好きな僕は、知らない国の街角でPEN-Fを構え心地よく撮影している自分の姿を想像してしまったほどである。

しかし、ただデザインが気に入ったというだけでは、やがて飽きて使わなくなってしまうことが多いのがカメラというもの。その点、PEN-Fは軍艦部をはじめ各所に設けられたボタンやダイヤル、EVFなどの配置が適切で、迷うことなくとても使いやすいのでまた嬉しい。一見すると操作箇所が多くて複雑に見えるのであるが、そこは実用性を意識して多くの機能をスムースに使いこなせるよう、十分に配慮されているからだろう。さすがは、PEN E-P1以来、長年にわたって多くの実績を築いてきたオリンパスのミラーレス一眼だ。

そして、カメラ前面に特長的に備えられているクリエイティブダイヤルで設定する新機能、「モノクロ/カラープロファイルコントロール」がまた素晴らしい。この機能は、コントラスト調整とともに、モノクロであればフィルムカメラのようにフィルターワークを、カラーであれば各色の彩度をデジタル的に処理するもの。それだけなら従来のデジタルカメラでも可能であったが、その調整の細やかさと奥深さが実に的を射ているため、これまではパソコン上の画像編集ソフトで処理するしかなかった本格的な画像処理を、カメラ内で、しかも直感的に行えるようにした革新的な機能である。

PEN-Fはかっこよくて使い心地のいいカメラ。これだけでも普通にスナップ撮影で使うに十分な魅力がある。だが、それだけでなく新時代のミラーレス一眼として意欲的に最新技術を盛り込んでゆく姿勢こそに惚れてしまう。まさにPEN-Fの名を受け継ぐに相応しいカメラだと思う。

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