高い剛性により優れた定位感と音場感を再現する「真空エンクロージャー」。ハウジングに使用されている「真空エンクロージャー」は、二重構造になっており、内筒と外筒との間は1,000万分の1 気圧以下の高真空状態になっています。真空層は大気より圧力が低い状態のため、大気との圧力差により内筒と外筒の表面に張力が発生し、エンクロージャーの剛性が高くなります。また、優れたダンピング特性を発揮し効果的に振動を減衰させます。これにより、ドライバーの揺動範囲を広げ忠実に駆動させることで、優れた定位と音場感を再現します。
真空の効果は真空層の厚さに関係がなく、1mm の真空層でも効果を発揮します。サーモスが長年に渡り培ってきた高度な金属プレス加工と真空状態を作り出す独自の特殊製法により、耳に装着できるコンパクトな真空二重構造の容器を実現しました。
クリアなサウンドと高い質感を生み出すメタルハウジング エンクロージャーの素材として使用されているチタン(HPT-700)、ステンレスHPS-500)は、素材自身が高い剛性を持ち、クリアなサウンドと高い質感を実現します。チタンやステンレスは音響的に優れている反面、アルミニウムなどの他の金属に比べて硬く、加工が難しい金属とされていますが、サーモス独自の高度な金属プレス加工と溶接のノウハウを駆使し、チタン製・ステンレス製の真空二重構造の容器(エンクロージャー)を開発しました。
自然で繊細なサウンドで広い音場感のチタンハウジング (HPT-700)HPT-700のハウジングに使用されているチタンは軽量でありながら固く弾性に富んだ金属で、音の沈み込みが自然でフラットなサウンドを再現します。
40mmフリーエッジ・カーボンペーパードライバーを搭載 40mmフリーエッジ・カーボンペーパードライバーを採用。パルプにカーボンを混抄したことで、適度な内部損失と高剛性を両立し、高い解像度とワイドレンジなサウンドを実現しました。また、振動板外周を柔らかい素材のエッジで支持するフリーエッジ構造にすることで、振動板全体を平行に動かし中域の反共振を低減させ、高域まで歪みの少ないサウンドを実現しました。ハイレソ?音源も余裕を持って再生する周波数特性(10Hz〜80kHz)を実現し理想的な空間表現を再現します。
サウンドの輪郭を高めるアルミバッフル (HPT-700)HPT-700Sには軽量で剛性の高いアルミダイキャスト製のバッフルを採用。共振を低減しドライバーのレスポンスを向上させることで、立ち上がりが速く、輪郭が明瞭なサウンドを実現します。
3.5mmステレオミニ端子採用着脱式ケーブルケーブルは着脱可能な3.5mmステレオミニ端子を採用。ステレオ標準アダプターとキャリングポーチが付属します。
VECLOS製品の一番のポイントは当然「真空エンクロージャー」であり、ハウジングは二重中空構造で、その中空部分が真空状態にされている。
魔法びんにおいて真空層には断熱保温の効果があるが、ヘッドホンにおいては、大気との圧力差でシリンダーの内筒と外筒の表面に張力を発生させてハウジングの剛性を引き上げる効果がある。さらに振動を素早く収めるダンピング特性も高める効果もあり、音に悪影響となる余計な響きを真空の力でがっつり抑え込まれている。
サウンドは同ブランドの真空+金属イヤホンとの一貫性があり、チタンハウジングのHPT-700は “ウォームでしなやか” という印象。ヘッドホンの方がハウジングの影響力はより大きく、素材の違いがイヤホンよりストレートに現れている。
基本は「オールラウンダー的なバランスを確保した上でほどよく個性的」といったもので、ニアフィールドスピーカーシステム「MSA-380S」「SSB-380」の音と重なるところも多いので、あのサウンドでVECLOSのファンになったというユーザーにもおすすめしたい。
文:高橋 敦
※AV/オーディオ/ガジェット情報サイト「PHILE WEB」所収記事を短くまとめたものです。