SIGMA 20mm F2 DG DN | Contemporary
見るだけでもうっとりと心が惹きつけられる美しい切削アルミニウムによる外装。高い品位と上質な質感を実現して所有する喜びを追求したSIGMA・Iシリーズから新たに超広角レンズ20mmが登場しました。
超広角レンズの広々した画角、近接撮影距離22cmにF2の明るさが作り出す大きなボケ量で被写体を浮き上がらせる表現力、多才な表現力も味わえます。重量は370g、全長70mm×最大径74.4mmと手のひらに乗るサイズでカメラにつけっぱなしにしたくなります。気軽にカメラに付けっぱなしにしてレンズの質感を楽しみながら撮影に出かけてみました。

カメラ:
α7R IV
絞り値:f18
露出時間:1/40秒
ISO:100
露出補正:+0.7ステップ
露出モード:絞り優先


最短撮影距離22cm。空間を広く捉えるだけでなく狙った被写体に接近して、ダイナミックに存在感を強調する撮影も十分こなせます。陽だまりのベンチで寛ぐ野良猫に接近戦を挑んだどころ、ポカポカ陽気にまったりしていて逃げるそぶりはありません。
開放絞り値はF2ですが、これだけ近寄れば背景は大きくボケてくれます。ピント面の瞳周辺から背景に向かってなだらかに柔らかくボケています。可愛らしく撮れたかな、とモニター画面で確認すると穏やかに見えた野良猫の瞳に野性味あふれる力強さが満ちています。厳しい自然の中を生き抜いてきた迫力をレンズの描写力が写し取りました。

シグマの切れ味の鋭いシャープな描写力は近接撮影で一段と真価を発揮します。公園のありふれた手すりに接近して絞り開放でピントをあわせると、背景が大きくボケることによって一躍主役に躍り出たかのように存在感にインパクトが増しました。周辺減光補正をオフで撮影したので若干周辺が落ち気味ですが、かえって画面にメリハリがついて作品らしい雰囲気が出ました。

日を改めて横浜に出掛けました。
コンパクトなレンズゆえ歪曲収差はカメラ側の電子補正によって修正されます。rawデータ撮影では樽型の歪曲収差が若干目立ちますが、Jpeg撮影ではカメラ側の補正を効かせれば歪みは目立たなく修正されるので安心して使用できます。

高精度グラスモールド非球面レンズを3枚、SLDガラス1枚、FLDガラス1枚が最新の光学設計によって組み込まれ、諸収差を良好に抑制して隅々までシャープでヌケの良い描写力を発揮します。発色のバランスも良好です。

広角レンズを持つと、つい被写体に接近したくなってしまいます。撮影時の雰囲気を損なわず豊かなボケ味で狙った主役の被写体をぐっと引き立たせてくれる表現力に魅了されているからなのかもしれません。


周辺に向かって滑らかにボケてゆくまろやかなボケ味が、クラシックカーのレトロ感とよくマッチしています。ピント面からアウトフォーカスまでの変化に味わいがあり画面全体が落ち着きを感じます。小型軽量ながら質の高いボケ味が楽しめるレンズです。


フォトグラフ(写真)の語源は、光(フォト)が描く(グラフ)という意味だそうですが、日の光によって壁や地面に投影された様々な影の形を見るとアートな雰囲気を感じて、ついシャッターを押したくなります。
逆光での撮影でしたがスーパーマルチレイヤーコートとナノポーラスコーティングの優れた逆光耐性が発揮され、アートを感じる写真が撮れました。

一言で言い表すなら、とにかくカッコいいレンズです。
金属をつかったレンズは他のメーカーにもありますが、シグマのIシリーズはメタル感が外見からも操作性からもずっしり伝わってきて、何か特別なギアを手に入れたんだな、という所有欲が満たされるのです。
手のひらにすっぽり収まるコンパクトなサイズなのに手にするとひんやりする触感、金属の重厚感、外装だけでなく構造部品に至るまで金属部品が使われた極上の操作性を味わえます。肝心の描写力も作例の通り素晴らしいです。手に取って見つめるもよし、撮影するもよし、のビルドクオリティに満ちたレンズです。