ニコン NIKKOR Z 50mm f/1.2 S
デジタルカメラグランプリ2021 SUMMER」で総合金賞を受賞した「NIKKOR Z 50mm f/1.2 S」。ニコンZマウントレンズの中でも特に高い基準を満たした「S-Line」の大口径標準単焦点AFレンズです。開放F値1.2の美しい表現力をレビューします。

撮影に向かう途中、駅のベンチに腰掛けて組んだ足先をF1.2で撮影してみました。
レンズ中央部の解像力は凄まじくコードバンの革靴表面のざらつきが細微に描写されています。大きくうねるように形作られた皺をピントが合った部分と大きなボケの対比でふっくらと立体的に感じるよう描写している表現力にちょっとした驚きを感じました。
カメラ:
Z7 II
絞り値:f/1.2
露出時間:1/200秒
ISO:100
露出補正:-0.3ステップ
露出モード:絞り優先

線路の上を横断する歩道から真下の線路をF16まで絞り込んで写してみました。ビッシリ敷き詰められた石の一粒が細微に写し出され、画面を拡大すると枕木に付いた点検作業員の靴跡までもがはっきり見て取れます。撮影に使用したZ7 IIの性能もさることながら4575万画素の能力を100%引き出せるレンズの凄みを感じました。

大きく柔らかいボケ味によって何気なく撮った光景も情感のこもった絵になるので、撮影する楽しみが大きく膨らむレンズですね。
カメラ:
Z7 II
絞り値:f/1.2
露出時間:1/1250秒
ISO:100
露出補正:-1ステップ
露出モード:絞り優先

ピント面をカミソリのような切れ味で写し出すと共に背後の豊かなボケによって立体感に溢れる絵が生み出されるのがF1.2の魅力。街角の何気ない光景が魅力のある作品になってしまいます。
カメラ: Z7 II
カメラ: Z7 II
絞り値:f/1.2
露出時間:1/8000秒
ISO:64
露出補正:-1.3ステップ
露出モード:絞り優先

レンズの基本性能が文句なしに優れているため、絞り込んだ時の描写力の細微さには息を止めて見入ってしまいそうです。将来Z7 IIを上回る解像力を持ったミラーレスカメラが登場しても十分対応できる性能を秘めているのは間違いありません。
カメラ:
Z7 II
絞り値:f/14
露出時間:1/50秒
ISO:360
露出補正:-0.3ステップ
露出モード:絞り優先

大口径レンズながら大きな歪みは感じられず、光学性能の高さは言うまでもなく素晴らしいです。
カメラ:
Z7 II
絞り値:f/9
露出時間:1/50秒
ISO:140
露出補正:-0.7ステップ
露出モード:絞り優先

同じ塀を絞り開放にして斜めから撮ると、いかにピント面が浅く前後のボケが急激に立ち上がるかが良くわかります。ZシリーズのAF性能によってピント面は精密に捉えられるので、このピントの浅い描写を武器にした作品作りが楽しめるのではないでしょうか。
カメラ:
Z7 II
絞り値:f/1.2
露出時間:1/4000秒
ISO:100
露出補正:-0.7ステップ
露出モード:絞り優先

気になった被写体の1点を印象的に浮き上がらせる表現も意のままですね。

50mmの画角は極端な遠近感を作り出すようなこともなく目で感じる自然な雰囲気のまま絵を切り撮れる、そこが標準レンズの魅力だと思います。
カメラ:
Z7 II
絞り値:f/11
露出時間:1/50秒
ISO:320
露出補正:±0ステップ
露出モード:絞り優先

店先の小窓から門番のように姿を覗かせる猫の置物に惹かれて、さっとシャッターを一押し。ピントが極薄の開放ながらZ7 IIの瞳AFがしっかり働き猫を正確にトレース。豊かな前後のボケによって猫の置物が情感のこもった絵になりました。
カメラ:
Z7 II
絞り値:f/1.2
露出時間:1/1000秒
ISO:100
露出補正:-0.7ステップ
露出モード:絞り優先


柔らかく豊かなボケによって被写体をふっくらと浮き上がらせる描写が備わった標準レンズは、ポートレート撮影にもぴったりではないでしょうか。雰囲気あふれる描写力で被写体を魅力あふれる姿に写し出してくれるに違いありません。

露出補正:±0ステップ
露出モード:絞り優先

露出補正:±0ステップ
露出モード:マニュアル

露出補正:±0ステップ
露出モード:絞り優先

露出補正:-0.7ステップ
露出モード:絞り優先
カミソリのようなキレのあるシャープな描写、豊かなボケによって背景を溶かし被写体を浮き上がらせる表現力、目に写らない被写体の雰囲気までも写し出せる表現力、高価ではありますが、素晴らしい光学性能によって撮影者の期待に十分応えてくれるレンズです。光学性能の高さも素晴らしく、この先ニコンのミラーレス機の発展に欠かせない1本となる予感を感じました。