GrandSeiko 〜History GrandSeiko 〜History

Manufacture 卓越した職人技と先進技術の結集

機械式時計の聖地 
グランドセイコースタジオ 雫石

グランドセイコースタジオ雫 イメージ

岩手県雫石町の静謐な森に囲まれて建つ「グランドセイコースタジオ 雫石」は、9Sメカニカルムーブメントを生み出す世界有数のマニュファクチュールです。ここでは、グランドセイコーの機械式時計の一つひとつに魂を宿すべく、先端加工技術を駆使したムーブメントの部品製造・加工から、組立、調整、検査に至るまで、その一瞬一瞬に、卓越した匠の技を惜しみなく注いでいます。時計師たちの繊細な指先が紡ぎ出す技が精緻にかみ合う時、ムーブメントは初めて命を得て、鼓動を刻み始めます。

工房では、1998年、独自の精度規格「新グランドセイコー規格」を満たすキャリバー9Sを完成させました。その後、精度の要となるパーツの素材から見直し、高速振動に必要な高トルクと約55時間のパワーリザーブを実現した自動巻10振動ムーブメント、キャリバー9S85(2009年)を開発。さらに、先進技術によって作られる高精度なパーツを使用することで、従来の機械式時計のスタンダードムーブメント、キャリバー9S55を刷新し、実使用時の精度の安定性を向上させ、約72時間のパワーリザーブを実現したキャリバー9S65(2010年)、10振動ムーブメントにGMT機能を付加したキャリバー9S86(2014年)などを生み出し進化を続けてきました。

そして、ブランド誕生60周年を迎えた2020年、これまでに培ってきた匠の技と先進技術を集結し実現した、グランドセイコー史上最高といえるキャリバー9SA5が誕生しました。着想から実に9年、日本の美意識をもって腕時計の本質を果てしなく追求するブランドの新たなムーブメントであるキャリバー9SA5は、10振動にして約80時間の連続駆動を実現しながら、快適な使い心地と上質な感性価値をかつてない高次元で両立させました。ムーブメントの外観には、雫石の情景をインスピレーション源とした温かみのある流線形の意匠を取り入れながら、細部の仕上げに趣向を凝らすことで、これまでにはないメリハリのきいた美しさをまとわせました。

スプリングドライブとクオーツの
生まれ故郷 信州 時の匠工房

信州 時の匠工房 イメージ

常念山脈や穂高連峰を遠くに望み、澄み切った空気ときれいな水に恵まれた自然豊かな街、長野県塩尻。この地に拠点を置くセイコーエプソン塩尻事業所内「信州 時の匠工房」は、ムーブメントの開発・設計・製造をはじめ、ケース、ダイヤル、針、インデックスなど、パーツの製造から組立調整まで、一貫して行い、スプリングドライブやクオーツムーブメントを搭載した腕時計をつくり出す、世界でも希少なマニュファクチュールです。

初代グランドセイコーを製造した諏訪精工舎の時代から続く伝統と情熱を今に受け継ぎながら、研鑽を続ける精鋭の時計師や技術者たちが、開発・設計・製造・加工・組立調整をはじめとする時計づくりのすべての工程に、最高レベルの匠の技を惜しみなく注いでいます。

スプリングドライブは、着想から実に20年以上をかけて開発されました。その道のりは決して平坦ではなく、越えるべきいくつものハードルが立ちはだかりましたが、技術者たちは、自らが夢見た駆動機構を実現するという揺るぎない志のもと技術と叡智を結集させ、ついにスプリングドライブを完成させました。

そして、ブランド誕生60周年の節目である2020年、磨き深めてきた技術の粋を結集し実現した次世代のスプリングドライブムーブメント「キャリバー9RA5」が誕生しました。工房の技術者たちの揺るぎない信念と情熱によって生まれたキャリバー9RA5は、月差±10秒という高精度を実現しながら、約120時間のロングパワーリザーブを可能にしました。さらに、ムーブメントの薄型化を図りながら、堅牢性を格段に高めるとともに、外観には、自然にオマージュを捧げた美しい仕上げ加工を施し、情感あふれる趣と、これまでにはないメリハリのきいた深遠な輝きを作り出しています。日本の美意識を凝縮した新ムーブメントは、音もなくダイヤルの上を滑らかに動く秒針とともに、次なる未来に向かって、美しい時を紡ぎ始めています。

この工房で生まれたもうひとつの機構、9Fクオーツムーブメントは年差±10秒の高精度を実現しながら、「ツインパルス制御モーター」を搭載することによって、当初、技術者たちが思い描いたとおり長く太い針を回すことを可能にしました。さらに高精度クオーツとしての高い性能を長期間保つために輪列部を保護する「スーパーシールドキャビン」と「組み合わせ軸受け構造」を採用。耐久性に配慮しながら、秒針のふらつきを軽減する「バックラッシュ・オート・アジャスト機構」やカレンダーを瞬時に切り替える「瞬間日送り機構」など、技術者たちは新機構の数々を生み出しました。それらの機構を実現させることによって、大量に生産できるという一般的なクオーツとは一線を画する「究極のクオーツ」をグランドセイコーは搭載しています。キャリバー9Fは、今もなおクオーツムーブメントの頂点として、グランドセイコーを支え続けています。

さらなる高みを目指して、技を磨き続ける技術者たち。グランドセイコーが果てしなく追求する腕時計の本質は、その類稀なる技術の粋によって生み出されているのです。