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9F Quartz 信州 時の匠工房

クオーツの常識を覆す、究極のクオーツ

1988年、グランドセイコー初のクオーツ式時計「95GS」に搭載したキャリパー9581では、当時の年差クオーツムーブメントで使用されていた水品振動子と比べて、耐温度特性、耐衝撃性能のすべてにおいて、優れた高品質の水品振動子を採用し、年差土10秒という高精度を実現しました。しかし、さらなる高みを目指すべく、グランドセイコーの名を付すにふさわしい究極のクオーツムーブメントを生み出したいといら情熱が、技術陣の胸の内から消えることは決してありませんでした。

「良い腕時計とは何か」一それは、たったひとつの素朴な問いかけから始まりました。

「正確であることはもちろん、時刻が読み取りにくければ意味がない。暗がりで、わずかな光でも捉えるには、長く太い針が良い。しかし、クオーツでは、そのような重い針は回せない。では、どうすれば回せるようにできるか」。話し合いが続く中、技術者たちは、「正確で、見やすく、美しい」という腕時計の本質に立ち返りながら、それまでクオーツでは不可能とされていた大きく重い針を動かすというハードルを乗り越えるために、持ちうる技術のすべてを駆使して開発に乗り出しました。

そして、95GSの誕生からわずか5年後の1993年、技術陣の飽くなき探究心のもと、思い描いた理想をかたちにした「キャリバー9F」が誕生しました。年差土10秒という高精度をかなえながら、新機構の「ツインパルス制御モーター」を搭載することによって、堂々とした見やすい針を動かすことを実現しました。

このムーブメントには、ツインバルス制御モーターとともに、秒針のふらつきを軽減する「パックラァシュ・オート・アジャスト機構」など、従来のクオーツの常識を覆した数々の新機軸が盛り込まれています。また、クオーツムーブメントの心臓部であるローター部を組み合わせ輔受けで覆い、保油性を飛躍的に高めながら、廉やほこりの侵入を防ぐ「スーパーシールドキャビン構造」を採用し、クオーツ式時計ならではの電池交換に対する十分な配慮がなされています。普段は裏ぶたに覆われて見えないムーブメントも、ゴールド色で美しく仕上げられました。

高精度であることは、このムーブメントの美点のごく一部にすぎません。ブレることなく美しく動く、見やすい堂々とした針を回せるようになったことに加えて、特筆すべきは、それまでの大量に生産できるというクオーツの「利点」と決別し、クオーツを再定義したことです。その誕生から四半世紀を超えた今もなお、キャリバー9Fはクオーツムープメントの頂点としてその進化を支え続けています。

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