GrandSeiko 〜History

HISTORY 原点。そして、未来

1881

服部金太郎 イメージ

国産時計の礎を築いた服部金太郎
「常に時代の一歩先を行く」精神のもと、服部時計店を創業

世界の時計づくりの頂点を極めるべく、腕時計の本質を追求し、たゆまぬ進化を続けてきたグランドセイコー。その根底には、セイコーの創業者・服部金太郎の揺るぎない信念が根ざしています。それは「常に時代の一歩先を行く」という、創業以来絶えることなく受け継がれてきた精神です。
自らの人生を時計に捧げることを決意した金太郎を突き動かしていたのは「世界に通用する高い精度の時計を自らの手でつくる」という情熱でした。金太郎は、いくつかの時計店で修行を重ねたのち、現在の銀座である京橋采女町の自宅に「服部時計修繕所」を開設。中古時計の修繕・販売から事業を始めました。
1881年には「服部時計店」を創業し、輸入時計の卸売・小売業に乗り出します。

1892-1944

「ローレル」イメージ

先見の明で、国産時計の新たな時代を切りひらく

国内の時計業界の情勢を洞察し、時計製造事業の有望性にいち早く着眼していた金太郎は、1892年に「時計の国産化」という目標を実現すべく、自前の時計工場「精工舎」を設立し、掛時計の製造を始動させます。1895年には懐中時計「タイムキーパー」の生産に成功。そして、1913年には、国産初となる腕時計「ローレル」を発表します。
1932年には、現在の和光本館として知られる「服部時計店本店」が銀座4丁目に完成。その後、1937年には、ウオッチの基幹工場として、東京・亀戸に「第二精工舎(現・セイコーインスツル株式会社)」を、1944年には、長野県諏訪市に「第二精工舎諏訪工場(現・セイコーエプソン株式会社)」を設立。以降、このふたつの製造部門が互いに影響を受け合い切磋琢磨しながら、技術を磨くことにより、服部時計店は国際水準の達成と凌駕を目指し、次なるフェーズへと進化を遂げていくことになります。

1960

「グランドセイコー」イメージ

虚飾を排した高精度の極致「グランドセイコー」の誕生

1960年、「世界に通用する高精度で高品質な腕時計を作り出す」という決意のもとに、「グランドセイコー」が誕生しました。日本の文化的背景を基に実用性に重きを置き、日本人のひたむきさ、誠実さを体現すべく、虚飾を排した質実剛健なものづくりを高い次元で実践し、持つ人に寄り添い豊かな時を刻み続けることを目指しました。そのために、グランドセイコーは、「正確で」「見やすく」「美しい」ことを腕時計の本質と捉え、それらを高い次元で追求しています。初代グランドセイコーに搭載されたムーブメント「キャリバー3180」は、名機・クラウンをベースに特別調整が施されています。当時、最新の耐震装置であった「ダイヤショック」をはじめ、セイコーブランドにはなかった初の機能が惜しみなく搭載され、最高級機にふさわしい仕様が実現しました。
デザインにおいても、クラウンの持つ繊細で優雅な雰囲気と、実用重視の設計思想から生まれたロードマーベルの個性を融合させ、エレガンスと実用性をあわせ持つ外装を完成させました。ダイヤカットを施した大型の針やインデックスを採用することによって、高い認識性を実現しています。多面体カットを施したインデックスは、緩やかな曲面のボンベダイヤルにひとつずつ植字されています。

1964

「GSセルフデーター」イメージ

実用性の進化を象徴する傑作「GSセルフデーター」の誕生

1964年、初代グランドセイコーの誕生からわずか4年後には、実用性能を大きく進化させた高精度腕時計「GSセルフデーター」が誕生しました。「恒久的な使いやすさを備えてこそ、真の高級時計である」という考えのもと、針を回さずに、日付を簡単に合わせることを可能にした「早送り日付修正機能」と呼ばれる独自の特許技術が搭載されています。
防水性能についても、ケースに装着したパッキンを介し、裏からねじリングで固定するといら新しい防水構造を実現したことによって50m防水まで対応させるなど、「品質に優れ、精度が高い」ことの一歩先を行くべく、めざましい発展を遂げました。デザイン面では、グランドセイコーとして、初めてケース素材にステンレスを採用した新たな外装を実現しています。
実用性と高級時計としての品格を備えたGSセルフデーターは、グランドセイコーの第2世代「グランドセイコーセカンド」と呼ばれ、現代に受け継がれるグランドセイコーの哲学「実用面でのたゆまぬ進化」の道筋を示した傑作モデルとして、歴史にその名を刻んでいます。

1966

「グランドセイコー規格」イメージ

世界に誇る高精度と実用性の証「グランドセイコー規格」の制定
スイス・クロノメーター規格を超える厳格な精度基準

グランドセイコーは、高精度と実用性を追求し、1966年8月、スイス・クロノメーター検査基準を超える高精度を実現した独自の機械式時計用精度規格「グランドセイコー規格」を制定しました。この規格では、腕時計を使用する環境に左右されることなく、優れた性能を確保するための厳格な精度基準が設けられています。例えば、腕時計の1日あたりの進み・遅れの度合いを示す「日差」は、クロメーター規格の+10〜−1秒/日に対して、グランドセイコー規格は、+6〜−3秒/日(携帯日差。1969年に平均日差+5〜−3秒に改定)というように、クロノメーター規格を上回る精度基準が設定されています。また、グランドセイコー規格では、重要な検定項目のひとつとして、「第二温度係数」を設けています。この項目は、クロノメーター規格では設けられていませんが、グランドセイコーが追求する高精度と実用性を高次元で実現するためには、不可欠な検定項目でした。
グランドセイコー規格はその後も更新され、現代に引き継がれています。グランドセイコーの称号が与えられるのは、この規格に基づく厳格な検定試験に合格したモデルのみです。言い換えれば、この規格を満たさない機械式時計が世に送り出されることは決してありません。この徹底した精度へのこだわりがあるからこそ、グランドセイコーは、高級腕時計の分野において、絶対の信頼を置かれるブランドとして不動の地位を築き上げ、高く評価されるとともに、長きにわたって愛されてきたのです。

1967

「62GS」イメージ

実用性のさらなる進化
グランドセイコー初の自動巻モデル「62GS」の誕生

1967年、グランドセイコー初の自動巻モデル「62GS」が誕生しました。このモデルは、1966年に発売した国産初の自動巻クロノメーター「セイコーマチック クロノメーター」のケースデザインを踏襲しながらも、同年8月に制定した独自の機械式時計用精度規格「グランドセイコー規格」に見合ったムーブメントを搭載し、グランドセイコーにふさわしい仕様にアップデートを図っています。当時、スイス・クロノメーター検定基準優秀級規格に合格する自動巻モデルの割合が、手巻モデルに比べて少ない状況にあった中、この規格水準を上回るグランドセイコー規格に基づく高精度を実現し、「手巻」から「自動巻」へと実用性をさらに進化させたモデルを完成させたことは、実用性を追求するグランドセイコーにとって、とりわけ意義深いことでした。

「44GS」イメージ

燦然と輝く時計を目指した「セイコースタイル」を確立し、
日本の美を紡ぎ出した高精度モデル「44GS」
卓越した匠の技に裏打ちされた傑作モデル

1967年に発売された「44GS」は、5振動の手巻時計として当時の最高精度を誇るとともに、日本ならではの美意識のもとに生まれたグランドセイコー独自のデザイン文法「セイコースタイル」を確立したモデルです。最たる特徴は、「ザラツ研磨」によって磨き上げた歪みのない平面と直線を主体としながら、逆傾斜になったケースサイドの面を稜線でつなげることによって、面と面が際立つシャープな造形美を実現していること。そこには、時に応じて、光と陰が織り成す無数の陰影が生まれ、表情のある輝きを演出しています。
この光と陰の調和によって現れる幾多の表情こそが、日本人が思慕する美しさであり、グランドセイコーが重きを置く日本特有の美意識そのものです。それらを余すことなく体現した44GSは、日本の美を紡ぎ出したデザインといえる傑作モデルです。

1968

「61GSJ「45GS」イメージ

高精度ハイビートを市販品として実現した、
ふたつの機械式腕時計「61GSJ「45GS」
コンクールで培った技術力を一挙凝縮した革新的モデル

1968年、第二精工舎と諏訪精工舎は、「スイス天文台クロノメーター・コンクール」で培った技術・技能を実用時計に活かすべく、高振動化による高精度を基軸としたふたつのグランドセイコーモデルを発表しました。
諏訪精工舎からは、国産初の自動巻10振動モデル「61GS」が誕生しました。10振動へと高振動化させたムーブメント「キャリバー6145」を搭載したことによって、等時性に優れ、姿勢差、外乱の影響などに対しても、より安定した高精度を実現しています。また、独自の自動巻機構「マジックレバー」を搭載することによって、巻上効率を飛躍的に高めることにも成功しました。
61GSに続いて、第二精工舎による手巻10振動モデル「45GS」が発売されました。このモデルに搭載された日付なしのムーブメント「キャリバー4520」と日付つきのムーブメント「キャリバー4522」は、従来の手巻モデルに比べて薄型のムーブメントサイズを実現しながら、自動巻の61GSと同等の高精度を実現しています。
これらのモデルを実現するまでの道のりは、決して平坦ではありませんでした。従来のムーブメントよりも振動数を高め、高速で部品を動かすためには、トルクの強いぜんまいが必要です。さらに高性能な潤滑油も必須で、ムーブメントの各部品にも高い加工精度が求められます。コンクール用ムーブメントの仕様を市販品として作り上げることは、ふたつの製造部門にとって、かつてない大きな挑戦だったのです。

1969

「V.F.A.」イメージ

機械式腕時計としての正確さを極限まで追求した
超高精度モデル「V.F.A.」

1969年11月、服部時計店は、月差±1分という機械式腕時計では前例のない超高精度を実現した自動巻10振動モデル「61GSV.F.A.」を発表しました。
「V.F.A.」とは、"Very Fine Adjusted"の頭文字をとったグランドセイコー独自の略称で、機械式腕時計としての正確さを極限まで追求した超高精度モデルに与えられる称号です。V.F.A.モデルは、「スイス天文台クロノメーター・コンクール」で世界に肩を並べた第二精工舎と諏訪精工舎が、飽くなき挑戦の中で培ってきたムーブメントの設計・組立調整における技術の粋を凝縮した至高の結晶です。さらに、ムーブメントのひとつずつには、高度な技術を持つ専門の技能者の手作業によって、精緻な組立調整が施されています。
このモデルを開発するにあたって、諏訪精工舎は、グランドセイコー規格よりさらに厳格な高精度規格「グランドセイコーV.F.A.規格」を制定。従来のダイヤル上、ダイヤル下、3時上、6時上、9時上の5姿勢に、腕時計を外しデスクの上に置く時に生じる頻度の高い「12時上」の姿勢を加えた「6姿勢」で、15日間の検定試験を実施することを定めました。技術陣は、当時、グランドセイコーの最高峰モデルであった国産初の自動巻10振動モデル「61GS」の設計をベースに改良を加え、この規格を満たす10振動自動巻ムーブメント「キャリバー6185」「キャリバー6186」を完成させました。当時のグランドセイコー規格では、平均日差が+5秒〜−3秒であるところ、グランドセイコーV.F.A.規格では月差士1分という、機械式時計で初となる月差での精度規格を実現し、当時の最高峰の精度をもちながら、姿勢差や外乱影響による歩度の変化を低減させることにも成功しています。
以降もグランドセイコーは腕時計の最高峰を目指し進化を続け、今日に至っています。