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9R Spring Drive 信州 時の匠工房

グランドセイコー独自の日本の美意識を凝縮したムーブメント

9Rスプリングドライブは、機械式時計と同じくぜんまいがほどける力によって生じるトルクを動力源としながら、ICと水晶振動子によって正確に精度を制御する全く新しいクオーツの調速機構を備えた、グランドセイコー独自のムーブメントです。
着想から実に20年以上もの年月を費やして開発し、さらに5年をかけてグランドセイコーの冠を付すにふさわしい性能を実現させたのち、満を持して2004年に誕生しました。
古来より自然を慈しみ、そこに美を見出してきた日本人は、春から夏へ、秋から冬へと移ろいゆく季節を繊細に感じ取り、折々の風情を愛おしむ心を大切にしてきました。森羅万象は、とどまることなく流れゆく時の中に存在し、光となり、陰となり、果てしなく新たな表情を生み出し続けます。日本人は、この静寂を流れる偉大な時の移ろいに寄り添いながら、独自の感性で向き合ってきました。キャリバー9Rは、そうした日本の美意識を凝縮したムーブメントです。自然界の時の流れを映し出すかのように音もなく滑らかに動く針は、その最たる象徴。その様には、グランドセイコーが尊ぶ日本独自の「時間(とき)」に対する思想が如実に映し出されています。そして、今この時も、腕時計をつける人に寄り添い、絶え間なく移ろう年月と溶け合うように、時代を超えて、正確な時を美しく紡ぎ続けています。

信州 時の匠工房

信州 時の匠工房 イメージ

匠の技 イメージ

日本屈指の匠の技が生み出す、美しい腕時計

「信州 時の匠工房」では時計づくりのあらゆる工程を一貫して行っています。例えば、グランドセイコーの顔となるダイヤルの製造は、金型からプレスでベースプレートを作ることから始まります。職人たちは、ベースプレートにめっきや塗装などを施し、切削や穴開け加工を行ったのち、鏡面に磨き上げられたインデックスや針などのパーツを手作業で取りつけていきます。それらを然るべき位置に配置するために使うピンセットなどの専用工具も、職人が自ら手を加えて精細な加工を施し、その精度を最高の状態に保つべく、日々細かな調整を繰り返しています。

厚銀放射 イメージ

「厚銀放射」など、日本らしい趣を表現したダイヤルの加工仕上げも行われています。繊細な筋目模様が、光を受けて放射線状に広がりながら、奥深い光沢感を放つ「厚銀放射ダイヤル」は、熟練の職人技が光る仕上げ加工のひとつです。ベースプレートに銀めっきを施し、特殊な液体の中で放射線状のブラッシングを施します。その後クリア層を厚く吹き、研ぎ出すことで、平滑な面を作り出し、印刷した後にインデックスを植えていきます。この丹念な工程を行うことによって、独特の美しさを実現しています。

MECHANISM

ぜんまい イメージ

「動力」は機械式時計に用いられる「ぜんまい」

スプリングドライブの動力は、機械式時計に用いられる「ぜんまい」で、電池やモーターに頼らない自己完結型の駆動システムです。
りゅうずを巻くとぜんまいが巻き上がり、ぜんまいのほどけようとする力が、歯車に伝わり、歯車に付いている針を動かします。
スプリングドライブが、グランドセイコーらしい太くて重い針を回すことができるのは、トルクの大きいぜんまい(モーターなどではなく)を利用しているためです。

トライシンクロレギュレーター イメージ

磁力を内包しながら制御する独自の調速機構「トライシンクロレギュレーター」

9Rスプリングドライブの制御システムは、機械式時計に用いられるぜんまいを動力としながら、クオーツ式時計に用いられるIC・水晶振動子の電気信号を利用した独自の調速機構「トライシンクロレギュレーター」です。 この機構は、ぜんまいのほどける力が、ローターとコイルが巻かれた「ステーター」に伝わることで発生するわずかな電気エネルギーを利用して、水晶振動子とICを動かします。 水晶振動子に電力が伝わることで、クオーツと同等の1秒間に32,768Hzという正確な信号をICに発信します。ICは、水晶振動子からの正確な信号とローターの回転速度を比較し、 ローターが速くなり過ぎないよう断続的に磁力のブレーキをかけて、一定の速度に保ちます。ローターの回転が一定に保たれることで、 ローター、歯車、針の順に制御された動きを伝え、正確な秒針の動きを生み出しています。トライシンクロレギュレーターは、伝統的な機械技術と最先端のクオーツ技術をあわせ持つ、革新的かつ独創的な機構です。

CRAFTSMANSHIP

組立・調整 イメージ

匠の技による組立・調整

機械式時計とクオーツ式時計の利点を掛け合わせたスプリングドライブ。その組み立ては、3針モデルで200部品以上、スプリングドライブクロノグラフに至っては400部品以上と複雑を極めます。
必要な箇所に最適な油を注ぐ注油作業は、自動巻スプリングドライブで約80ヶ所、クロノグラフでは約140ヶ所もあります。
時計の設計図は0.01mm単位で記されており、最終的に部品を0.01mm以下の単位で加工・調整していくのは、ロボットでもコンピューターでもなく、人間の目と手なのです。
卓越した匠の技を持つ時計職人の存在が、高精度なスプリングドライブを生み出しています。

9Rスプリングドライブムーブメント

Caliber 9R66 イメージ

自動巻スプリングドライブ GMT「Caliber 9R66」

グランドセイコー初の9Rスプリングドライブムーブメント「キャリバー9R65」の完成からわずか2年後の2006年、スプリングドライブに初めてGMT機能を付加した「キャリバー9R66」が誕生しました。
GMTとは世界標準時(Greenwich Mean Time)の略称で、時針、分針、秒針の3本に加わる4本目の24時針(GMT針)によって、もう一つの時刻を表示できる機能です。

Caliber 9R65 イメージ

自動巻スプリングドライブ「Caliber 9R65」

セイコーがスプリングドライブを発表したのは1999年ですが、効率の良い自動巻機構と72時間パワーリザーブの実現なくして、グランドセイコーに用いることはできないと考えられ、 さらに4年の開発期間をかけて、グランドセイコー初の9Rスプリングドライブムーブメント「キャリバー9R65」が誕生しました。
巻上げ方式、駆動時間はそれまでの「手巻式の48時間」から「自動巻72時間」へと改善され、自動巻機構には、1959年に開発されたセイコー独自のマジック(爪)レバー方式を採用することで、生産性・メンテナンス性・耐久性が向上し、巻き上げ効率も高くなりました。
複雑に重なり合う輪列や受部品の立体的な連なりは、スプリングドライブ誕生の地である信州の山々の奥行きを連想させ、パワーリザーブ用輪列から香箱にかけては、穂高連峰や常念山脈を表現しています。
受と回転錘には統一感のある波目模様が施されています。
「キャリバー9R65」は現在も9Rスプリングドライブの最もスタンダードなムーブメントとして、多くのモデルに搭載されています。

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