シャトー マルゴー CHATEAU MARGAUX
ボルドーワインの女王と言われ、1855年の格付けにて、20点満点でのテイスティング評価が行われていますが、その中で唯一20点の満点を獲得したシャトー。香りの広がり方は、抜栓直後でも他の第1級シャトーにはない官能的で複雑さがあり、余韻までしっかりと残るエレガントを極めた銘柄と言えます。
ワイナリーの歴史について
シャトー マルゴーでブドウ栽培が始まったのは16世紀頃と言われています。1572年から1582年の10年間をかけて、ピエール・ドゥ・レストナック氏が設備とブドウ畑を再構築。17世紀末には、265ヘクタールの土地を所有しており、現在と同じくその1/3である80ha強でブドウ栽培が行われていました。
その後、シャトー マルゴーの名声は徐々に高まっていきますが、1789年フランス革命が起こるとともに、革命家たちによってシャトーの全てが国家財産としてオークションで売却され荒廃。その後、所有者は転々としますが、そのような中でも1855年の有名なメドック格付け時には1級に選出されています。
19世紀の様々な疫病、戦争の時代が過ぎ、1950年にジネステ一族が買収するも、作柄の厳しい年や不況の時代が続き、1977年に売却。それを現在の所有者であるギリシャの実業家、メンツェロプロス一族が購入し、排水、植え替え等の大掛かりな再構築が行われ、見事シャトーは甦りました。
類まれなるテロワール
絶妙な標高の為か、或いは川との距離の為か、畑は霜害を受けることはほとんどありません。
白ブドウの畑だけは霜害を受けやすいので、霜が降りている間中、風・湿度等を考慮しながら、通常明け方まで散水し続けるという対策が取られています。
耕作は伝統的な方法で行われていますが、試験的に一部、馬による耕作も行われています。また、ブドウの寄生虫が増えないセクシャル・コンフュージョンを導入したりする事により、1990年代以来殺虫剤は使われていません。
栽培密度は10,000本/ha。表土に加え、植え替えを行う際に、肥料を施しますが、有機肥料であり、大半は1年以上かけて堆肥にされた牛の肥料を使っています。
温度管理が出来るの木製のファーメンター
醗酵温度はとても大事であると認識している為、ステンレス製と同じレベルで温度管理が出来るの木製のファーメンターを使用しています。木製のメリットは、円錐台形という形と慣性的な温度が抽出を促されること、ワインのボディと色となる果汁と果皮の接触が起こること、また、接触が密になることでブドウが潜在的にもつ優れた品質と味わいをより引出し、豊かで柔らかなワインができる点です。
きわめてデリケートに扱われたプレスワインは質を見ながらブレンドされます。清澄には現在でも卵白を使用。一樽当たり、6個分の卵白を使用します。そして、熟成後、複数のロットを何度も試飲しながらブレンドし、ファースト、セカンド、サードと造りだされていきます。
シャトー マルゴーには熟成用の樽を作る専門の職人がいます。一日3個作る事が出来ますが、それでもシャトーで必要な数の1/3にしか満たないのため、残りはコニャックやボルドーの樽職人から購入しています。
シャトー マルゴーの特徴
シャトー マルゴーの畑では80もの区画があり、そこから50種ほどの違ったワインを仕立て、それを3種のワインに選別していきます。80の区画から数十のブルゴーニュのグラン・クリュのようなワインを個別に作り出すこともできますが、それをせず、ヴィンテージごとにシャトー マルゴーのスタイルを表現するのがボルドーのコンセプト。
複雑かつ精緻に組み合わされながらも透明感すら感じるほどピュアなシャトー マルゴー。味わえば味わうほどに、ユニークなスタイルをしていることに惹かれていきます。「ボルドーワインの宝石」、「ボルドーワインの女王」などと呼ばれ、素晴らしく華やかな香りが広範囲に広がります。
尚、高い品質を誇る白ワインの『パヴィヨン・ブラン・デュ・シャトー・マルゴー』が1920年から生産、セカンドワインの『パヴィヨン・ルージュ・デュ・シャトー・マルゴー』は1908年から一時期生産されていない期間があったものの、1977年以降は再開されています。また、サードラベルの『マルゴー・デュ・シャトー・マルゴー』は2009年。そして2022年のヴィンテージからは白ワインのセカンドである「パヴィヨン・ブラン・スゴン・ヴァン」が生産されています。


