ニコン NIKKOR Z 20mm f/1.8 S
広角の前に“超”が付く超広角レンズ20ｍｍが写し出す世界は、広々とした空間を認識させる描写、独特の歪みによる遠近感や被写体に接近して存在感を強調する描写、被写体をデフォルメして描写する楽しみなど多彩な表現力に富んでいます。
ニコンミラーレス用Ｚマウントに登場した大口径超広角単焦点レンズ『NIKKOR Z 20mm f/1.8 S』はEDレンズ3枚と非球面レンズ３枚を採用し、『S－Line』のラインナップに連なる光学性能を実現しています。ミラーレスの短いフランジバックを活かして軸上色収差の補正や歪曲収差を抑えた高画質によってさまざまなニーズに応える実力を確かめようと、作例撮影に出かけてきました。
広々とした空間を写す為、歩道橋の路面すれすれにカメラを構えて橋を支えるアーチの力強さを感じるアングルを探して撮影してみました。焦点距離20ｍｍの超広角レンズなので被写体が一点に収束していく強烈な遠近感が得られますが、画面端に不自然な歪みは感じられません。NIKKOR Ｚレンズ『S-Line』の名にふさわしい光学性能の高さを実感しました。
カメラ：
Nikon Z 6
絞り値：f/8
露出時間：1/1250秒
ISO：100
露出補正 :-1.0ステップ
露出モード :絞り優先
肉眼で見たら強い日差しによって天井と屋根の影が伸びている、としか感じませんが超広角レンズの広い空間を凝縮する描写力を利用して三角形の空間を画面上に作り出してみました。強烈なパースペクティブ(遠近感)を利用した絵作りを楽しめるのも超広角レンズの魅力の一つですね。
カメラ：
Nikon Z 6
絞り値：f/13
露出時間：1/1250秒
ISO：280
露出補正：-2.0ステップ
露出モード：マニュアル
バスに乗車して座席に座るとすぐ目の前に使い込まれた降車ボタンがあることに気づきました。長年乗客に押され続けて案内の文字がかすれている様子に『このボタンも長い間頑張っているんだなぁ』とちょっぴり感動して、レンズを近づけシャッターを一押し。降車ボタンの存在感が際立つように写りました。
複数のAF用駆動ユニットが連携する『マルチフォーカス方式』によってAFの速度・精度の向上と同時に最短撮影距離での高い解像度を実現しているので近接の描写力は優れています。
カメラ：
Nikon Z 6
絞り値：f/5
露出時間：1/250秒
ISO：250
露出補正：-0.3ステップ
露出モード：絞り優先
参拝に訪れた神社の境内にあるご神木を仰ぎ見るように写してみました。焦点距離が20ｍｍだけあって、パースペクティブ(遠近感)が強烈でご神木が手前に大きく広がるように写りましたが、f16まで絞ったので表皮の皺やヒビなどの質感が細微に描写されて立体感も生まれています。
カメラ：
Nikon Z 6
絞り値：f/16
露出時間：1/80秒
ISO：800
露出補正：-0.7ステップ
露出モード：絞り優先
幾重にも重なるカラフルな巾着袋。この中に願いを込めた絵馬が納められています。絵馬に記入した住所や氏名が他の参拝客の目に触れないよう巾着袋に入れることを考案したそうで種類は10色あります。色鮮やかで見た目も可愛らしい巾着袋に心惹かれて近接してみました。
巾着の布の質感をくっきり描写し発色も素直です。荘厳な雰囲気をまとう境内の中に華やかさを生み出すふくろ絵馬の雰囲気がしっかり感じられます。
カメラ：
Nikon Z 6
絞り値：f/16
露出時間：1/320秒
ISO：250
露出補正：-0.7ステップ
露出モード：絞り優先
青空の広々とした空間が感じられるように画面の片隅に駅に到着するモノレールを入れてみました。先頭車両が光っているのがワンポイントとなり、広々とした空間が画面から伝わってきます。なんといっても広い空間を感じさせる絵が撮れることが超広角レンズの一番の魅力なのです。
カメラ：
Nikon Z 6
絞り値：f/11
露出時間：1/1250秒
ISO：160
露出補正：-1.0ステップ
露出モード：シャッター優先
カメラ：
Nikon Z 6
絞り値：f/6.3
露出時間：1/5000秒
ISO：160
露出補正：-1.0ステップ
露出モード：絞り優先
持ち主の子供は自転車を置き去りにして違う場所に遊びに行ってしまったようです。静まり返った公園に取り残された自転車の寂しさが漂っているかのようです。
カメラ：
Nikon Z 6
絞り値：f/1.8
露出時間：1/8000秒
ISO：160
露出補正：-0.7ステップ
露出モード：絞り優先
超広角レンズで空など広い空間を撮影するときはワンポイントを画面に入れると絵がまとまります。この場面では釣り人が立てたパラソルをワンポイントとして構図を決めてみました。画面全体から見ると小さな被写体ですがシャープに描写されていて高い解像力がうかがえます。
カメラ：
Nikon Z 6
絞り値：f/1.8
露出時間：1/8000秒
ISO：160
露出補正：-0.3ステップ
露出モード：絞り優先
f13まで絞り雨粒が玉となって乗っている蓮の葉が池の一面に広がる光景を撮ってみました。雨粒の一つ一つが細かく明瞭に写し出されています。細微な解像力は風景写真でその力を十分発揮することでしょう。
カメラ：
Nikon Z 6
絞り値：f/13
露出時間：1/100秒
ISO：800
露出補正：±0ステップ
露出モード：絞り優先
次は絞りを開放f1.8で蓮の葉に寄ってみました。超広角といえどもf1.8の大口径と超広角の誇張(パース)によって葉っぱの手前部分は中望遠レンズの様に大きくボケます。画面中央のシャープに写る雨粒の存在感が周囲を包むボケによって高められているのを感じます。
カメラ：
Nikon Z 6
絞り値：f/1.8
露出時間：1/8000秒
ISO：800
露出補正：±0ステップ
露出モード：絞り優先
羽を休めているこの鴨は人慣れしているようでレンズを近づけても気にしません。調子に乗って更に接近するとさすがに鴨も鴨なりの距離感を持っているようで、少し奥に移動してカメラと一定の距離を保とうとします。鴨が動かないギリギリの距離を見つけて撮影すると、鴨を包むような前後のボケ味がやわらかく背景が誇張された遠近感によって広く写り立体感を感じる絵が撮れました。
カメラ：
Nikon Z 6
絞り値：f/2.2
露出時間：1/8000秒
ISO：160
露出補正：-0.3ステップ
露出モード：絞り優先
カメラ：
Nikon Z 6
絞り値：f/1.8
露出時間：1/4000秒
ISO：160
露出補正：-0.3ステップ
露出モード：絞り優先
ポピーに寄れるだけ寄ってみました。雌蕊と雄蕊をシャープに描写していますが、大口径の絞り開放だけあって背景は望遠レンズのように大きくボケて背景から浮き上がっています。強烈に遠近感が誇張されているので背景に写っている花がとても小さく写っています。
カメラ：
Nikon Z 6
絞り値：f/1.8
露出時間：1/5000秒
ISO：160
露出補正：-0.3ステップ
露出モード：絞り優先
カメラ(Z6)の自動歪み補正も効いているので目立った歪みは補正されています。
不自然さを感じない描写です
カメラ：
Nikon Z 6
絞り値：f/5.6
露出時間：1/1250秒
ISO：800
露出補正：±0ステップ
露出モード：絞り優先
カメラ側のゆがみ補正によって歪曲が目立たないため縦横の線がまっすぐ自然に写るので、用途によっては建築物の撮影にも使えそうです。このようなクラシックカーの顔立ちも縦横のラインの歪みが目立たずすっきりしているので凛々しいかっこよさをより感じられます。
カメラ：
Nikon Z 6
レンズ：NIKKOR Z 20mm f/1.8 S
絞り値：f/1.8
露出時間：1/5000秒
ISO：125
露出補正 :±0ステップ
露出モード :絞り優先
公園でシャボン玉遊びをしている親子連れを見かけ、声をかけて写真を撮らせていただきました。せっかく超広角レンズをつけていたのでシャボン玉に迫るように寄ってみたのですが、風が強くすぐにシャボン玉が飛んで行ってしまうためタイミングもなかなか合わず難しい撮影でした。
出来上がった写真にはシャボン玉の表面に光が反射して、青、赤、黄などの色がついた模様が混ざり合うように写し出されていました。一瞬で飛んで行ってしまうシャボン玉の刹那を感じる美しさを的確に捉えたZ 20mmとニコンのミラーレスの実力に感服しました。
カメラ：
Nikon Z 6
絞り値：f/2.5
露出時間：1/4000秒
ISO：160
露出補正 :-0.3ステップ
露出モード :シャッター優先
