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Nikonプロカメラマン製品レビュー【写真家 今浦友喜が語るZシリーズの魅力】
「第三弾」使って実感! 機動力と高画質のZ!

ニコン「ニコンZ」プロカメラマンレビュー マクロ撮影
雨の日、梅の花がかわいらしいしずくのアクセサリーを付けていた。梅はそれほど大きな花ではないが、ぐっと被写体に近づいて大きく捉えられるため、FマウントレンズのAF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G EDを使用した。Z 7に搭載された5軸5段のボディ内手ブレ補正は、マクロ撮影でも効果的に働いてくれる。

カメラ:Z7
レンズ: AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED (FTZアダプター使用)
絞り値:f/3
露出時間:1/320秒
露出補正:-0.3
ISO:160
露出モード:絞り優先
ピクチャーコントロール:ビビッド
ホワイトバランス:4700K

カメラの進化は、写真クオリティーの向上や撮影スタイルに変化をもたらしてくれる。しかし通常、ボディはボディの、レンズはレンズの進化をそれぞれ辿っていくため、撮影スタイルがガラリと変わることは少ない。

だがニコンフルサイズミラーレス「Z」シリーズは、既存のレンズの魅力をも変えてしまうことができる機能が搭載された。それが「ボディ内手ブレ補正」だ。



【広がる撮影領域! 5軸5段のボディ内手ブレ補正】

Zシリーズにはニコン初となる「カメラ内センサーシフト式VR」、いわゆるボディ内手ブレ補正が搭載された。

「VR」といえば、これまで多くのニッコールレンズに搭載されている手ブレ補正機構のことであり、手持ち撮影領域拡大の役割を担ってきた。Zではそれがボディ内に搭載されたといってしまえば単純なものだが、その効果は計り知れない。

レンズに搭載された手ブレ補正はそのレンズだけのものだが、ボディに採用された手ブレ補正は取り付けた全てのレンズでその効果を発揮する。Zレンズはもちろん、FTZアダプターを介して取り付けたFマウントレンズでも手ブレ補正が効いてくれる(Fマウントレンズ使用時は、3軸の手ブレ補正となる)。

これまで手ブレを抑えるために、三脚の使用や高ISO感度で撮影をしなければならなかったレンズや状況でも、手持ち撮影が可能になることがあるのだ。

Z 7ほどの高画素モデルでも標準ズーム域の焦点距離であれば、シャッタースピード1/10秒は90%以上の確率で手ブレしなかった。慎重にシャッターを切れば1/2秒も大丈夫。手持ち撮影が得意な人なら1秒でも止められるだろう。


ニコン「ニコンZ」プロカメラマンレビュー 5段5軸手ブレ補正
橋の手すりに落ちた梅の花を、AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G EDの最短撮影距離付近で撮影した。
このレンズは、コンパクトな鏡筒と1:1の等倍撮影でも高い解像力を持つ優れたレンズだが、手ブレ補正を搭載していないためこれまで使うには少々難しさもあるレンズでもあった。しかし、Z7の強力な手ブレ補正と共に使用することで生まれ変わったレンズと言ってもいい。

カメラ:Z7
レンズ: AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED (FTZアダプター使用)
絞り値:f/7.1
露出時間:1/80秒
露出補正:±0
ISO:4000
露出モード:絞り優先
ピクチャーコントロール:ニュートラル
ホワイトバランス:4700K

Zシリーズに搭載されたボディ内手ブレ補正の効果は、最高クラスの5軸5段。5軸というのは補正方向の数であり、角度ブレのPitchとYaw、シフトブレのXとY、回転ブレのRollの5方向に対応する。

レンズ内手ブレ補正の多くはPitch・Yawの2軸だ。近接撮影に効果的なシフト軸補正と、スローシャッターや動画撮影時に効果的な回転軸補正が加わったことで、これまでよりも一層手持ちでの撮影可能シーンが増えた。

なお興味深い仕様として、手ブレ補正機能をオフにするか電源オフで手ブレ補正機構そのものをメカ的に固定するロック機構が採用されている。耐久性を高めるためのギミックらしいが、持ち歩いている際にカタカタ鳴らないのも安心感があっていい。


ニコン「ニコンZ」プロカメラマンレビュー 5段5軸手ブレ補正



ニコン「ニコンZ」プロカメラマンレビュー ボケ感
現在発売されているZレンズの中でも抜きん出て評価の高いNIKKOR Z 50mm f/1.8 S。最短撮影での撮影でも、高い解像力を維持しボケも美しい。また、輝度の高い白梅でも色収差がまったく見られない。私は、マルチセレクター中央のOKボタンに拡大表示モードを割り当てており、ファインダーを覗いている状態でもワンタッチでフォーカスポイントの100%拡大表示できるようにしている。拡大表示では全画面表示よりも手ブレが目立ってくるわけだが、Zはボディ内手ブレ補正があることで安定した画面のままMF操作も可能だ。またZレンズは、AFレンズ駆動にSTM(ステッピングモーター)を採用しており、MFでもピント位置の調整が極めて細かくできるのが良い。

カメラ:Z7
レンズ: NIKKOR Z 50mm f/1.8 S
絞り値:f/1.8
露出時間:1/2000秒
露出補正:+0.3
ISO:64
露出モード:絞り優先
ピクチャーコントロール:ビビッド
ホワイトバランス:4450K


ニコン「ニコンZ」プロカメラマンレビュー ボケ感
シャープな立体感とピント面から美しくなだらかに続くボケ味を実現した珠玉の一本AF-S NIKKOR 105mm f/1.4E ED。中望遠の105mmであればレンズ内手ブレ補正が入っていたほうが使い勝手がいいだろうが、開放F値の明るさから重量はすでに985gというヘビー級レンズ。この重さで、さらにレンズ内手ブレ補正機構を追加した重さなどあまり想像したくないものだ。しかしZシリーズで使用すれば、ピタリと手ブレの止まったファインダーに圧倒的なボケの画面が浮かび上がる。

カメラ:Z7
レンズ: AF-S NIKKOR 105mm f/1.4E ED (FTZアダプター使用)
絞り値:f/1.4
露出時間:1/2500秒
露出補正:-1 .3
ISO:64
露出モード:絞り優先
ピクチャーコントロール:ビビッド
ホワイトバランス:4200K


ニコン「ニコンZ」プロカメラマンレビュー 手振れ補正ナイト撮影
手ブレ補正の強さは夜にこそ生きてくる。近年はライトアップイベントも増えて、夜こそフォトジェニックな時間となっている。うかうか宿で休憩もしていられない。しかし観光地など人であふれかえる場所では、昼夜問わず三脚・一脚等の使用を禁止している場所も多い。そうした場所でも、Zシリーズの5軸5段のボディ内手ブレ補正があれば手持ち撮影が可能だ。このシーンでは、Z 7の常用低感度ISO64でもブレのないシャープな画像を描き出せた。

カメラ:Z7
レンズ: NIKKOR Z 50mm f/1.8 S
絞り値:f/1.8
露出時間:1/40秒
露出補正:-0 .3
ISO:64
露出モード:絞り優先
ピクチャーコントロール:ビビッド
ホワイトバランス:4700K


ニコン「ニコンZ」プロカメラマンレビュー ローアングル撮影
湯島天神の梅を地面すれすれのローアングルから撮影。観光客は少なかったものの、やはり三脚撮影は避けたいところ。チルト式画像モニターを上に開き手持ちで撮影した。超広角のAF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G EDを使用したが、1/5秒で問題なく撮れたためISO感度も500で済んだ。光量の少ない夕方や夜では、−4EVまでAF撮影を可能にするローライトAF機能がとてもいい。またカメラブレを最大限抑えるために、完全に無振動で撮影できる電子シャッター(サイレント撮影)で撮影している。

カメラ:Z7
レンズ: AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED (FTZアダプター使用)
絞り値:f/1.8
露出時間:1/40秒
露出補正:-0 .3
ISO:64
露出モード:絞り優先
ピクチャーコントロール:ビビッド
ホワイトバランス:4700K



Zシリーズに搭載された5軸5段のボディ内手ブレ補正は、非常に強力で効果的だ。

日中などは、あえてスローシャッターにでもしない限り手持ちで撮れてしまうだろう。そうして三脚の使用頻度が低くなることで、足がよりアクティブになり、これまで撮れていなかった被写体に目を向けることができるようになるかもしれない。

ミラーレス構造を採用して小型軽量を実現したZシリーズ。短いフランジバックで小型化に成功したニッコールZレンズ。ボディ内手ブレ補正の搭載で広がる撮影領域。Zシリーズは高画質と機動力を両立させた、まったく新しい撮影システムだ。



blog/photostyle/nikon/nikonz7(今浦先生)1月/17(カメラマン画像)
今浦友喜(いまうらゆうき)
1986年埼玉県生まれ。風景写真家。雑誌『風景写真』の編集を経てフリーランスになる。自然風景、生き物の姿を精力的に撮影。雑誌への執筆や写真講師として活動している。
カメラグランプリ2018選考委員



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