FUJIFILM X-H2 / XF18-120mmF4 LM PZ WR
X-H2はX-H2sに比べて連射スペックは落ちますが、APS-Cサイズのカメラとして最高の約4020万画素のスペックを誇ります。秋めいてきた京都にX-H2と同じく2022年発売のの「XF18-120mmF4 LM PZ WR」を装着して作例撮影のスタートです。

X-H2には20枚の画像を1枚に処理することで1億6千万画素相当の超高解像画像が得られる「ピクセルマルチショット」が搭載されています。動きのない静物撮影が前提なので、自室にてお気に入りの革ジャンと帽子を素材に作例撮影してみました。大型三脚にX-H2を固定し慎重に撮影した20枚の画像データをPC上で専用ソフト「Pixel Shift Combiner」で処理して1枚に仕上げました。
完成した画像は長辺が15456ピクセルの巨大なサイズになります。塗れたように鈍く光る革ジャンのシボ、鈍く光るメタル製のジッパーの質感、麦わら帽子の細かく編み込まれた藁、写し出された超細微の画像を目にして、とてもAPS-Cで撮影した画像とは信じられませんでした。
カメラ:
FUJIFILM X-H2
絞り値:f11
露出時間:1/2秒
ISO:320
露出補正:±0ステップ
露出モード:マニュアル


ガラス窓に映り込んだ空の青さを強調するためフィルムシュミレーションをVelvia(ベルビア)に設定してみました。

雲一つなく晴れ渡った青空の色味がまるで大海原のように深みが増し、金装飾の階調も鮮やかです。モニターでチェックしながら、さすが富士の色、とうなりたくなりました。肉眼では判別できなかった画面中央部付近の雲状の彫り込みに色彩が施さている手の込んだ装飾の様子もくっきり写し出されています。4020万画素は伊達ではありません。

巨大な本堂の屋根にびっしり敷き詰められた屋根瓦を細微に描写する解像力はフルサイズカメラと何ら遜色ないと感じます。約4030万画素の威力は写真を見れば一目瞭然です。

京都駅から見る京都タワーも裏側の少し離れた場所中望遠で圧縮すれば、雰囲気がガラリとかわります。装着している「XF18-120mmF4 LM PZ WR」の望遠域はフルサイズ換算で180mmにもなるので、手前のイチョウを画面に写し込んで圧縮効果を狙ってみました。

紅葉にはまだ少し早い季節でしたが、柔らかな日差しで逆光に透かされたモミジも美しく輝き心が奪われます。普段の日常では見過ごしてしまう些細なシーンも旅先では新鮮に見えるものですが、(フルサイズ換算で24mmから180mm)まで網羅する「トラベラーズーム」があれば旅行中の新たな出会いも思い出と共にカメラに収められることでしょう。

富士フイルムのカメラには語り尽くせないほど魅力があるのですが、その中でもフィルムシュミレーションは世界中の写真家を惹きつけてやまない魅力に満ちあふれています。筆者の周りのプロカメラマンで仕事は他のメーカーのカメラを使用しても、プライベートでは富士フイルムという方を何人も知っています。
京都の祇園に流れる白川沿いは、春は桜、夏は柳の名所の美しい筋(通り)です。その白川筋の柳をバックに記念写真に収まる女性がいらっしゃいました。柳と振り袖がとてもマッチして美しかったので、後ろ姿を「ノスタルジックネガ」でスナップしました。アンバーの色合いが強まり温かみをより感じるノスタルジックネガの色調は、ほんのりした雰囲気を写し出すのに相性の良いフィルムシュミレーションではないでしょうか。

鮮やかな赤い野点傘を「クラシッククローム」で写してみると彩度がグッと低くなりコントラストが強まって、情野点から情緒さが消えてドキュメンタリーフォトのような硬派な雰囲気をまとった1コマになりました。
プロ写真家をも唸らせるフイルムライクな写真が特別な現像をすることなく味わえる富士フイルムの魅力ある表現力は高画素機のX-H2にもしっかり脈づいています。


早朝、知恩院の前を通りかかると巨大な山門の真下で清掃をされている方を目にしました。その雄大な山門の大きさが小さく写り込んだ人との対比でグッと迫ってくる迫力を感じます。
望遠側の圧縮効果と高画素機の描写力を頼りにスナップショットをしてみたのですが、狙った通り迫力に満ち趣の雰囲気が満ちた写真が撮れました。
高画素の描写力に対応できるフルサイズ換算で183mm相当の画角が気軽に使える利便性は旅行でとても重宝します。

神社に参拝中、いきなり突風が吹き抜け本殿前の舞殿につり下げられている提灯が大きく揺らめきました。シャッターチャンスだ、とX-H2の電源を入れ構えると瞬時に反応して揺らめく提灯を写せました。
X-H2の起動時間は0.49秒で感覚的には一瞬で起動するように感じます。18-120mmのAF反応も早くピントも迷うことなく、電源を入れてからシャッターを押すまでの態勢に一瞬で入れるのは頼もしさを感じます。

高画素機になると高感度耐性は大いに気になりますが、ISO3200までは粒状性もほとんど目立たず気にすることなく普通に使えそうです。

最短撮影距離は全域で60cm、最大撮影倍率は0.2倍とちょっとしたマクロ撮影もこなせるもの重宝します。気になった花や観葉植物、テーブルフォトなどをスナップしておくと旅を終えた後、何気ないワンショットにも思い出が写し込まれていることに気づくものです。

APS-Cサイズの高画素機だと階調の幅が気になります。行列の白馬を白飛びしないように露出に気をつけながら撮影するとハイライトの階調はしっかり出てダイナミックレンジも広いことが確認できました。白馬に跨る侍衣装を纏った女性の凛とした姿が素敵ですね。

華やかな時代祭の見学後、食事やウインドウショッピングを楽しみながらホテルに戻る途中、商店街のアーケードに飾られた紅葉の形をしたネオンを見かけました。秋は名刹や公園だけでなく、街でも深まりつつあります。
そっとX-H2を持ち上げてシャッターをひと押し。時代祭りでセレクトしていたノスタルジックネガのままでしたが、いい塩梅で温かみが増してほんわかと心がなごむ思い出の一枚が撮れました。撮影するときに感じる雰囲気や撮影者の心を多様なフィルムシュミレーションで、しかも高画質で写し出してくれる、素敵なカメラとレンズと一緒に秋の京都を堪能できました。