SIGMA fp L
コンパクトデジタルカメラ並みの小さなボディにフルサイズのセンサーを搭載した「fp」シリーズの総画素数6100万画素の超高画素カメラ「fp L」。フルサイズのデジカメなのかで頂点に立つ画素数は、まるでコンパクトカーにF1マシンのエンジンを積んだかのようなスペックです。
「ティールアンドオレンジ」など好評なカラーモードに新たに「パウダーブルー」や「デュオトーン」などが加わり表現力が更に高まりました。新緑の映える古都・京都やその近郊で高画素数と各種カラーモードの魅力を確かめるべく作例を撮影してみました。
※5月撮影

カメラ: SIGMA fp L
絞り値: f/8
露出時間:1/100秒
ISO:100
露出補正:-0.7ステップ
露出モード:絞り優先


撮影条件が違うと同じカラーモードを使用しても、まったく趣が違う写真になります。雨が打たれるモミジがフォレストグリーンによってしっとりした落ち着いた雰囲気を纏いました。細微感も素晴らしく本格的な風景写真で力を発揮すること間違いなしです。コンパクトなボディなので、山歩きや自然の散策での負担軽減にも重宝することでしょう。

フルサイズならではのボケ味を生かし、遠近感の表現にも深みが出てきます。

「SIGMA fp L」に搭載されている有効約6100万画素のフルフレーム・ベイヤーセンサーには、ローパスフィルターが装備されました。偽色やモアレの発生を抑制するローパスフィルターは解像感が落ちる弱点があるのですが、「fp L」の超画素数では影響はほとんど感じられません。むしろ発色に深みが増すなどの恩恵があります。Foveonセンサー搭載カメラの開発を行ってきたSIGMAが作り出す高画素ならではの高精細な描写と豊かな色彩の表現力は大いに期待できます。

ローパスフィルターが搭載されていても解像感はこのとおり。目が痛くなるほどの細微感溢れる描写力です。カラーモードはティールアンドオレンジをチョイスして、映画のワンシーンのような雰囲気を狙ってみました。

「fp」で評判が高かった「ティールアンドオレンジ」は「fp L」でも健在。
ハリウッド映画で多用されたカラーモードは高画素数で更に表現力の幅が高まりました。

「SIGMA fp L」には様々なアスペクト比が搭載されていますが、その中の一つ「21:9」はシネマのワンシーンを撮影しているような気分が味わえます。「SIGMA fp」でも愛好者が多いアスペクト比ですが、2400万画素の「fp」では1500万画素程度の解像度になってしまう点が物足りなく感じていましたが、「SIGMA fp L」では21:9でも約3800万画素以上の解像度が得られます。作品として十分通用する解像度になりました。
21:9で切り取られた風景はまさに映画のワンショットのような味わいがありますね。

鴨川の飛び石を渡りながら、21:9で鴨川をパノラマ写真の様に写してみました。
別売りの「
ELECTRONIC VIEWFINDER EVF-11」を装着して水面ぎりぎりまで「SIGMA fp L」を接近させてのショットです。思い切ったアングルとアスペクト比でいつも目にする鴨川とは趣が違う味わいの写真が撮れました。

「SIGMA fp L」に搭載されたカラーモードの一つ「パウダーブルー」は画面全体に淡いブルートーンがかかり、さわやかさで透明感あふれ柔らかな描写が得られます。カラーネガフィルムを使用した色調を彷彿させる雰囲気で、FUJIFILMのフィルムシュミレーションとはまた一味違うフィルムテイストが感じられます。「SIGMA fp」の「ディールアンドオレンジ」も素晴らしいですが「パウダーブルー」にもハマる人が続出しそうです。

「パウダーブルー」が醸し出すこの柔らかいな表現力。画面全体を淡いブルーの色調で染め上げ透明感に包まれた描写は、古都の小さな路地に漂う昔懐かしい雰囲気を優しく感じさせてくれます。

カメラ:
SIGMA fp L

「パウダーブルー」に比べて「FOVクラシックブルー」はコントラストがグッと上がりメリハリの付いた青色を表現します。

70年代にポップアートやポスターなどに使われた表現を再現したカラーモード「ディオトーン」も新しく加わりました。枯れ木にびっしり生えたキノコがまるでポップアートの雰囲気になる遊び心満載のカラーモードです。SNSなどにアップする写真に使用すると楽しそうですね。

日常の何気なく目にする光景もデュオトーンで撮影すると、ポップでクールな世界に様変わりしますね。

サンセットレッドをセレクトして撮影した鳥居は朱色が鮮やかになり、参道に漂う神秘的な雰囲気が深みを増しました。6100万画素の超解像度は手ブレを起こしやすく、わずかに手ブレが起きましたが、等倍にして干渉しない限りほとんど感じません。

奥行きを感じさせる場面ですが、高画素数による描写力とサンセットレッドによる色調によって連なる鳥居の臨場感をリアルに写し出すことできました。

画面では伝わりにくいのですが、撮影時にかなりしゃがみこんで俯瞰して撮影しています。背面モニターだけでは首が痛くなってしまって撮影するのが困難なアングルなのですが、別売りの「
ELECTRONIC VIEWFINDER EVF-11」を使用するとローアングル撮影の負担をほとんど感じることなく通常撮影と変わらない感覚で撮影できました。外付けファインダーはすっきりクリアに被写体を写し出し、見え方はとても自然に感じました。

装着していたレンズ24-70mmではテレ側の圧縮感が頼りなく、クロップズームを利用して140mm相当で撮影したカットです。有効画素数6100万画素のファイルサイズはかなり大きいので、クロップ撮影で生じる画素数低下にも余裕があり通常の使用では全く問題ない解像度が得られます。クロップ撮影というと非常時のおまけ的な要素もあるのですが、「SIGMA fp L」では作品として十分通用できる解像度を保っています。

ノスタルジックを漂わせるカラーモード「シネマ」もハマれば楽しいモードです。