SIGMA 24mm F1.4 DG DN | Art
SIGMAのArtシリーズレンズはどれも最高レベルの光学性能を発揮する優れたレンズが揃っていまが、今回発売された「SIGMA 24mm F1.4 DG DN | Art」には14群17枚のレンズ構成にFLDガラス2枚、SLDガラス1枚、非球面レンズ4枚が組み込まれ、あらゆるシーンで周辺部に至るまでシャープでクリアな撮影が楽しめます。

カメラ:
SONY α7 IV
絞り値:f11
露出時間:1/50秒
ISO:400
露出補正:-0.3ステップ
露出モード:絞り優先


国宝に指定された目の前に広がる迫力満点の装飾を24mmの画角で鮮やかに写し出しました。24mmといえば広角の代名詞とも言える画角ですが、切り取った画面には不自然なパースは感じられず自然な雰囲気が保たれています。

スナップでよく使われる28mmに比べると画角がやや広くなりパースもやや強くなりますが、24mmで切り取った光景に不自然な歪みやデフォルメ感はなくナチュラルな雰囲気で描写されています。

F1.4の明るさになるとF2とは数値的には0.6しか違いませんが、写し出される世界は劇的に変化します。被写体に接近したときの背景のボケが格段に豊かになり奥行き感も深まり、狙った被写体がフワっと浮き上がります。どんなシーンを撮影しても情感豊かな描写になり、その魔力に引き込まれてしまうユーザーも多いのではないでしょうか。

絞り込んでしまえばただの竹で出来た蓋なのですが、開放で撮るとフワっと立体的になり空気感も感じるようになります。明るいレンズを使うと何をとっても絵になるので、シャッターを押す回数が増えます。

日常目にする何ということもない光景が作品と呼べるクオリティーに変化するのも明るいレンズの恩恵です。作例撮影の途中に都営バスに乗っただけなのですが、椅子に座っていながら、こんなにも情感あふれる写真が撮れました。

小さく写っているので一見すると見つけにくいのですが、トンボが葉に止まりながら羽を動かしている様子が画面中央部に写っています。トンボが逃げないよう用心して近寄りました。
やや逆光気味なのでコントラストが低くフラットな描写になっているのですが、スーパーマルチレイヤーコートの効果によって目立った影響はなく、中央部はすこぶるシャープに保たれています。開放なのでピント面は浅いですが、画面に小さく写っているトンボの脚に生えているトゲが細微にくっきりと写し出されています。
小さく写っているトンボをこれほど細微に描写する画面中央部の解像力の凄さに驚かされます。

中央部のトンボをトリミングして拡大しました。凄まじいまでの中央部の解像力です。
使用したα7 IVの高解像度もさることながら、その解像力に余力をもって対応できるこのレンズも凄いポテンシャルです。拡大して背景のボケの柔らかさがよくわかります。まるで大口径中望遠のボケ味のようです。

風鈴の丸みを帯びた形を損なわないため、この場面ではF2.8をチョイスして撮影してみました。
風鈴の輪郭がシャープに捉えられ背景のボケ味は開放に比べてやや硬さが出てきていますが、中央の風鈴を浮き上がらせるのに十分な柔らかさを保っています。少し絞っただけで画面に力強さが感じられます。
絞り開放で感じるふんわりした雰囲気が少し絞っただけでシャープな雰囲気に変化する、この微妙な使い分けも写真を撮る楽しみにつながりそうです。背景の玉ボケはF2.8でも丸く美しいですね。

F5.6まで絞り込むとシャープさは一段と増します。

カメラ:
SONY α7 IV

オフィスビルの谷間にひっそりさくパラソルをスナップしてみました。パラソルを引き付けて撮影していないのでF1.4のボケ味はそれほど大きく出ていませんが、24mmのパースが赤いパラソルを印象的に写し出しています。広角レンズで都市風景を切り取って写すのはネイチャーフォトとは違う魅力があります。

同じくビルの谷間に歩道に植えられたパンパスグラスをF1.4でショット。開放からにじみのない高細微な描写と雰囲気を捉えるボケ味はシーンを選びません。Artシリーズに共通した切削アルミニウムで成形されたクールで剛性感あふれるレンズは都会の雰囲気によく似合います。

プライベートでも作例撮影でもよく訪れる上野の不忍池を通りかかったとき、羽休めする野鳥とその背後に広がる蓮の葉の対比に面白さと雰囲気を感じてさっとカメラを取り出してショットしました。広角レンズのスナップでぴたりと構図が決まるとなかなか気持ちのよいものです。