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Nikonプロカメラマン製品レビュー【写真家 今浦友喜が語るZシリーズの魅力】
「第一弾」Z7 vs D800 ニコン高画素機の進化を徹底検証

blog/photostyle/nikon/nikonz7(今浦先生)1月/01
朝日を浴びて輝く富士山に細くたなびく雲がかかった。赤みがかった光で染まる富士山は神々しく、氷点下まで下がった朝の寒さも忘れてシャッターを切り続けた。スッキリとクリアな描写がZ 7の魅力のひとつだ。

カメラ:Z7
絞り値:f/5.6
露出時間:1/200秒
露出補正:±0
ISO:64
露出モード:絞り優先
ピクチャーコントロール:ビビッド
ホワイトバランス:自然光オート




ついにベールを脱いだニコンフルサイズミラーレスカメラ「Z」。そのハイエンドモデル「Nikon Z7」の実力と魅力をじっくり検証してみたい。

さて、ミラーレスというと軽量コンパクトでサブ用カメラという印象を持っている人も多いのではないだろうか。
たしかにZ7は、一眼レフカメラと比べればサイズも小さく軽量で、軽快な撮影スタイルを求めるユーザーにはうってつけのカメラに仕上がっている。

しかし、Z7は小型軽量だけが特徴では決してない。4575万画素の超高画素センサーや最新の画像処理エンジンを備え、ニコン最高画質を達成したZ7が描き出す画質は圧倒的と言わざるを得ない。

そんなZ7の画質を検証すべく、今回はニコン=高画素というイメージを世界に浸透させた「Nikon D800」とのガチンコ対決をレポートする。


blog/photostyle/nikon/nikonz7(今浦先生)1月/02
Nikon Z7(左)とNikon D800(右)



【ニコン最高画質の実力はいかに!? 解像力をいざ検証!】

D800は3630万画素で高画素モデルの先駆け的存在。それに対しZ7は4575万画素の超高画素モデルだ。その差分だけで高画質といわれる4K動画の約800万画素をも超える約1000万画素もあるから驚きだ。
西湖からの富士山。両機種を同じフレーミングと設定にして撮影した写真を部分拡大で比較した。D800もよく解像しているがさすがにここまで拡大率を上げるとエッジがやや太くなっている印象。Z7は無理なエッジ感もなくしっかりと素直に解像している。レンズはそれぞれf/4の標準ズームで撮影しているがAF-S 24-120ミリは開放f値での色収差が確認できる。


blog/photostyle/nikon/nikonz7(今浦先生)1月/04
カメラ:Z7
絞り値:f/11
露出時間:1/160秒
露出補正:+0.3
ISO:100
露出モード:絞り優先
ピクチャーコントロール:ビビッド
ホワイトバランス:晴天


blog/photostyle/nikon/nikonz7(今浦先生)1月/05




【思い通りに描ける最新の色再現!】

色の発色にも向上が見られる。筆者が主に使っているピクチャーコントロールの「ビビッド」もD800と比べるとZ7のほうがスッキリとクリアな発色となっている。またレンズ自体の色味の影響もあるかもしれないが、同じホワイトバランスであってもD800のほうがアンバーに転び空のヌケが悪く見える。Z7の4575万画素の膨大なデータ量でも新画像処理エンジン「EXPEED 6」が高速に処理を行うことで、階調豊かな画像を作りだしてくれる。


blog/photostyle/nikon/nikonz7(今浦先生)1月/07
カメラ:Z7
絞り値:f/8
露出時間:1/600秒
露出補正:±0
ISO:100
露出モード:絞り優先
ピクチャーコントロール:ビビッド
ホワイトバランス:晴天


blog/photostyle/nikon/nikonz7(今浦先生)1月/08
カメラ:D800
絞り値:f/8
露出時間:1/600秒
露出補正:−0.3
ISO:100
露出モード:絞り優先
ピクチャーコントロール:ビビッド
ホワイトバランス:晴天


ホワイトバランスの「自然光オート」がとても使いやすく気に入っている。

これまで風景撮影でホワイトバランスを「オート」に設定すると朝日や夕日、日陰などで自分のイメージとは違う青みがかった浅い色に補正されてしまっていたので、「晴天」に固定することが多かった。しかし自然光オートは自然風景にホワイトバランスのオート調整幅を限定することでその場の雰囲気を残したホワイトバランスが得られるようになり、朝日や夕日などはむしろ晴天ではなく自然光オートで撮るようになった。


blog/photostyle/nikon/nikonz7(今浦先生)1月/09
カメラ:Z7
絞り値:f/5.6
露出時間:1/50秒
露出補正:−0.7
ISO:100
露出モード:絞り優先
ピクチャーコントロール:ビビッド
ホワイトバランス:自然光オート


blog/photostyle/nikon/nikonz7(今浦先生)1月/10
カメラ:D800
絞り値:f/5.6
露出時間:1/40秒
露出補正:−1.0
ISO:100
露出モード:絞り優先
ピクチャーコントロール:ビビッド
ホワイトバランス:オート



【高画素と高感度! 相反する特徴を両立する新次元のミラーレスカメラ「Z」!】

blog/photostyle/nikon/nikonz7(今浦先生)1月/11
星と月を背景にシルエットで描いた富士山。山中湖湖畔の街灯がカラフルで賑やかだ。星を写し止めるためISO感度を1250まで上げているが、ノイズも極めて少なく、街灯の白飛びなども最小限に抑えられている。シャッタースピードも6秒まで短くできたので、雲の形も流れすぎず良い表情で写し止められた。

カメラ:Z7
レンズ:AF-S NIKKOR 20mm f/1.8G ED(FTZアダプター使用)
絞り値:f/2.8
露出時間:6秒
露出補正:−1.0
ISO:1250
露出モード:絞り優先
ピクチャーコントロール:ビビッド
ホワイトバランス:3570K


高画素センサーは低画素に比べて1画素のピッチが狭くなるため、本来は高感度が弱くなる傾向にあるのだが、Z7は高感度撮影に有効な「裏面照射型CMOSセンサー」を採用しているため高感度もしっかり楽しめる。風景撮影では星空など夜景を撮影することがあるが、高感度はおおよそISO6400程度まで使うことがある。両機種のISO6400の画像を比較してみたが暗部ノイズ量が大きく違うことがわかるだろう。


blog/photostyle/nikon/nikonz7(今浦先生)1月/12
カメラ: Z7
レンズ: NIKKOR Z 24-70mm f/4 S
絞り値:f/4
露出時間:2秒
露出補正:−1.0
ISO:6400
露出モード:絞り優先
ピクチャーコントロール:ビビッド
ホワイトバランス:4000K


blog/photostyle/nikon/nikonz7(今浦先生)1月/13




【高画素モデルの新たな姿、それが「Z」】

今回、Z7と2012年3月発売のD800との比較をしてみたが、6年半の差は思っていた以上に大きかった。

単純に描き出される画像を比較するだけでも、今回のレポートの通り違いは十分に分かったと思う。その反面、D800も約3世代前の高画素モデルとして見れば、かなり健闘しているといえる。ただし、撮影の“しやすさ”は別次元だった。

機材重量はもちろん、モニターの見やすさやチルトモニターの有無、AFの精度など多くの点で操作性に差が見られた。大きな違いを感じたのは夕方から夜の撮影。Z7は−4EVまでオートフォーカスで撮影できるがD800はファインダーで−2EV、ライブビューではそれ以下となる。そのためZ 7がさくさく撮影できる状況でもD800はマニュアルフォーカスでじっくりピント合わせをしなければならず、撮影テンポが全く違うことにあらためて気付かされた。

また、超高画素モデルとしてZ7はトータルバランスに優れていると感じた。4575万画素の圧倒的な解像力とそれを生かし切るNIKKOR Zレンズ、低感度から高感度まで階調豊かで鮮やかな色味、それでいて携帯性に優れたコンパクト構造、「Z」は手軽でありながら最高クオリティーを描き出してくれる新時代のミラーレスシステムだ。



blog/photostyle/nikon/nikonz7(今浦先生)1月/17(カメラマン画像)
今浦友喜(いまうらゆうき)
1986年埼玉県生まれ。風景写真家。雑誌『風景写真』の編集を経てフリーランスになる。自然風景、生き物の姿を精力的に撮影。雑誌への執筆や写真講師として活動している。
カメラグランプリ2018選考委員



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