FUJIFILM XF30mmF2.8 R LM WR Macro
人間の視覚に近い画角を持つ標準レンズはスナップ撮影やポートレート、風景写真など幅広いジャンルに対応できますが、FUJIFILM X-T5と並んで登場した「FUJIFILM XF30mmF2.8 R LM WR Macro」は等倍マクロ撮影も可能のまさに万能なオールラウンダー。マクロ撮影からスナップまで標準マクロレンズの魅力を味わってみました。

通常のレンズでは限界の最短距離を更に一歩踏み込んで被写体に近寄り、質感や迫力に富んだ構図を柔軟性に狙えるのもマクロレンズの魅力ではないでしょうか。
カメラ:
FUJIFILM XT-5
絞り値:f2.8
露出時間:1/1800秒
ISO:125
露出補正:±0ステップ
露出モード:絞り優先

露出をオーバーにすることでふんわり柔らかな雰囲気が漂う花の写真を狙ってみました。使用したX-T5でセレクトしたフィルムシュミレーションのASTIAも良い味を出してくれました。

次は彩度の高いVelviaをセレクト、グーっと寄れるだけバラにレンズを近づけて寄ってダイナミックなクローズアップ写真を狙ってみました。色の濃淡がはっきりして画面にメリハリがつき迫力あるクローズアップが撮れました。モニターで写り具合を確認しながら、曲がり方が1枚1枚違う花びらが幾重にも重なり合って一つの美しい花が形成されているんだな、と当たり前のことに改めて感動させられました。マクロレンズの楽しみは見慣れたものから新たな魅力を発見できる、いわば温故知新なのかもしれませんね。
近くにいたカップルがX-T5のモニターに映し出したこの画像をチラ見して、「きれいに写っている」と驚嘆した声を上げてびっくりしていました。嬉しくも感じましたが、私の腕よりも“優秀なマクロレンズとカメラ”のお陰です。スマホで撮影する写真とは一味、いや二味違うことがわかってくれたでしょうか。

渋いクラシッククロームで撮影する花のマクロ撮影もなかなかで、しっとりした落ち着いた雰囲気を感じる味のある写真が撮れます。フィルムライクな発色で定評のあるフィルムシュミレーションを駆使したマクロ撮影が楽しめるのも、富士フイルムならでは面白さではないでしょうか。絞りはF2.8ですが近接撮影では十分なボケ味が作り出せます。解像能力の高さと発色の良いレンズだからこそ各種シミュレーションの面白味を活かしたマクロ撮影が楽しめます。


カメラ:
FUJIFILM XT-5

標準30mmは普段私たちが見ている視覚に近い画角で被写体を捉えてくれる身近なレンズかもしれません。遠近の付き方や背景のボケ方がとても自然で違和感はありません。スナップ撮影と相性がよく、肩肘を張らず日常を切り取るのに最適なレンズではないでしょうか。

カメラ:
FUJIFILM XT-5

御茶ノ水駅側を偶然通りかかったときに、中央線、総武線、丸ノ内線が同時に走行する場面に遭遇してさっと構えて撮影しました。狙っていたわけではなく、とっさの撮影だったのですが、AFがスピーディーにばっちり決まってくれました。
マクロレンズにはフォーカスレンズの移動量が大きいためAFスピードが遅いようなイメージがありますが、このレンズは小型軽量なレンズをリニアモーターで駆動させるインナーフォーカス方式を採用した結果、最短約0.002秒の高速・高精度AFを実現して高い機動力を持っています。狙った場面を確実に写してくれる頼もしい相棒です。



撮影の合間にネパール料理店でカレーを食べたのですが、料理が出てくる間に店内を眺めていると壁につけられた象の壁飾りが目に飛び込んできました。日本ではなかなか目にしない壁飾りで、カラフルで美しい装飾に一目で惹かれました。
お店の方に撮影許可を頂いてXF30mmでグッと近接すると、等倍マクロの本領発揮です。手の込んだ装飾の鮮やかなレタッチがリアルに伝わってきます。テーブルフォト、レストランの素敵なインテリアをさっとカメラに収められるのもマクロのいいところですね。

作例撮影の最中、鷲神社の酉の市が開催されていることを知りました。マクロレンズをもっていれば変化に富んだ写真が撮れそうです。早速浅草に向かいました。
夕刻、鷲神社に到着するとかなりの人が境内に入るため待っています。長い行列に並ぶこと40分。やっとのことで本殿に近づくと、提灯に囲まれた社務所の2階から厄除けの獅子舞が行われていました。人混みの中で本殿には近寄れませんでしたが、解像力の高い中央部で獅子舞の姿をクッキリと写すことができました。

緻密に縫い込まれた金糸の煌めきを際立たせる描写力、撮影で使用したX-T5の4020万画素を誇る解像力にしっかり対応できるポテンシャルを持っていることはこの写真が物語っています。軽量コンパクトな鏡胴の中に非球面レンズ3枚とEDレンズ2枚を含んだレンズ構成によって各種収差を抑えたクリアな性能は最新のX-T5の性能をしっかり引き出せることでしょう。

狐のお面を頭につけて金魚すくいを楽しむ子どもたち。筆者が幼かった昭和時代とまったく変わらない光景ですが、一つ違うのはその様子をスマホで撮影しようしている点です。スマホで写真を撮る楽しみに目覚めて、将来は本格的なカメラとマクロレンズで撮影する醍醐味を味わう大人にステップアップしてほしいですね。