球面レンズの限界を超越、非球面レンズ
基本的に写真用レンズは、数枚の球面レンズの組み合せによって構成されますが、設計技術がどんなに向上しても、球面レンズには理論上、平行光線を完全な形で一点に収束することはできないという、幾何学上の問題があり、実現できる描写力に限界がありました。
そして、大口径レンズの球面収差補正、広角レンズの歪曲収差補正、ズームレンズの小型化。この3つのテーマを解決するために生まれたのが非球面レンズです。加工および形状の精密測定の点で、実現が困難とされ、かつては「夢のレンズ」と呼ばれていましたが、キヤノンは、いち早く製造技術開発に取り組み、1970年代前半には世界初の商品化に成功しています。
製造には0.02ミクロンの研磨精度を誇る独自の量産加工技術を応用。この研削非球面レンズは、Lシリーズならではの研ぎ澄まされた描写性能を実現しています。
さらにキヤノンは、ガラスモールド非球面レンズ、レプリカ非球面レンズの大量生産に成功。Lシリーズ以外のEFレンズにも、非球面レンズの特性を活かし、コンパクトで、優れた描写力を持つ普及レンズを数多く開発しています。